1冊目の短編集『まどろみ消去』とは、また違ったテイスト…ストーリーは記憶に残りにくいが、加速度の緩慢な衝撃が潜在意識の奥に刻まれるような作品が多いと思った。特に巻末の「僕は秋子に借りがある」は、最後に読んだせいもあるかもしれないが、僕の心に鈍い傷を残した。若い男達は一般的に、自分勝手で欲望の対象にならない女性の気持ちを斟酌する能力に欠けている。そして、そのような女性は奥ゆかしく文学的で、要望をストレートに言葉にしない。その魅力が彼の中で開花するのは、彼の知恵と心が成長し彼女と再会する道が断たれた頃なのだ。
「気さくなお人形、19歳」に登場する小鳥遊 練無(たかなし ねりな)は、Vシリーズに登場するキャラクターのようですけど、中々魅力的です。ただ、女性が「僕」という一人称を使って語るミステリーは、苦手なんだけどなぁ~
寄せ集め感は拭い切れないですけれども、森先生の違う断面をマイクロスコープで拡大観察しているような楽しさに溢れる短編集でした(^^♪
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