白い空気が続く坂道、温度のない湿度もない。重さはある。上っているのか、下っているのかわからないが坂道だと認識している。単調な白い道。否、白ではない、薄墨の暗さ。墨色が濃くなって背のあまり高くない男が近づいてきた。姿勢からして若くない。老人でもない。彼は言った。「私は死神です。私と一緒にまいりませんか」わたしは求めていたのかもしれない。死神との出会いを。心身共に疲弊した毎日だった。しかし、「貴方は死神ではない」と答えた。彼は力を語ろうとした。わたしは疲れてはいたが「貴方には人を魅了する美しさがない」と拒絶、ではなく彼が死神であることを否定した。彼は消えた。目が覚めた時、死神の条件をメモした。「美男であること」メモを枕の下にいれたがその夜は現れなかった。
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