いいのよ、一人でも。
そう貴女は言ってたね。
誰かの顔色を窺って、云いたい言葉を呑み込むなら
いっそ一人が良い。
云うべきことを言って、そこで軋轢が生まれるならば
発言を控えるよりは一人が良い。
女はさぁ、群れると怖いのよ。
ヒエラルキーが生ずる訳よ
群れずとも排除されたりもするけれけどね。
誰かに媚びたりするのは性に合わない
端から避けるだけ。
で、淘汰された貴女の交友関係は、本当に数えるだけ。
親も兄弟もそこには存在しない。
あゝ、そんな生き方もあるんだね。
それは自由ってことなのかい？
煩わしい人間関係のドロドロは御免こうむりたいけれど、
人はある程度持ちつ持たれつ、相身互いじゃないのかい？
長く生きてきてと言うほど齢はくっちゃいないけれど、
人はあったかいよ。
人はありがたいよ。
こんな私を見捨てたりしないで、辛抱強く支えてくれるのだもの。
貴女が振り切ったあの人は今も傷を抱えたまま生きているよ
貴女が振り切ったあの人は今は前を向いて生きているよ
貴女が振り切ったあの人は変わらず自分の道を歩いているよ
何処なんだろうね。
貴女と私を遮る目には見えない線は。
だって、私には貴女を十分理解できる確かなモノがわからない
いつからなんだろうね。
探りさぐり寄り添った振りをしていた姿は。
だけど、それに気付かぬ貴女じゃないはず
必要なの。助けてよ。ありがとう。そんな言葉を言う貴女を
想像など出来っこないけれど。
云いたいんでしょ？
唇を閉じているのは、開いたら最後、
ほとばしる感情をわかっているからだよね。
いいんだよ。
いいんだよ。
いいんだよ。
もう、解放してやりなよ。
貴女らしくないなんて評価を気にするほど愚かじゃないはず。
だから、そっと寄り添ってごらんよ、貴女から。
それすら出来ないなら
本当に貴女は独りだよ。
たった独りだよ。
未来永劫独りだよ。
貴女はそんなに強くない。
貴女はそれに耐えられない。
そうか、無理か。
わかっているさ。痩せ我慢は。
ならば私のすることは一つだ
さよなら。
さよなら。
さようなら。