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作り話をつぶやきました。

お嬢様ショッピングモールへゆく Mμ
トピック

Mμ
2018/08/27 01:49

「申し訳ないのだけれどマルコを呼んでくださる?」
今時使用人を置いている家なんて珍しいとは思うけれど、私のうちは代々幅広く事業を行い、先祖代々の使用人がいる。
マルコなんて呼ばれているけれど、れっきとした日本人。
本名を円治浩二(まるちこうじ)ということからマルコ。
まぁ、そんなことはどうでもいいのだけれど、今日の私には大切な用がある。
「なんでしょう、お嬢様」
「あのね、また“アレ”をしたいの!」
あからさまな嫌な顔をされた。
ちくしょう、マルコめ。使用人としてあるまじき反応。
しかし、私は私をお嬢様としてだけ扱わないマルコだからこそ慕っているところがある。

「今度もまた図書館でございますか?」
以前私は夜の図書館に潜り込んだ。
正確にはお父様に無理を行って入れてもらった。
体が弱く病弱で自由に出歩けない私の唯一の趣味、読書。
唯一であるがためにこだわりたい。
私だけの書斎、海外から輸入したソファ、ふかふかのクッション、それらをギュッと押し込めた私だけの読書空間がある。
日ごろはお嬢様として、お父様のご友人たちの前では望まぬ私を演じなければならないことは多々ある(お嬢様は優雅で楽だと思われがちだが大間違えだ!)。
私がお嬢様として権力を振るえるのは趣味に関してだけなので、私はこうして慎まやかに父とマルコに無理を言う。
私は知ってしまったのだ。昨今巷では本屋や図書館で夜を明かし、読書にふけるという催し物があるということを!!
その事実を知ってしまってから、少し変わったところで読んでみたくなってしまったのだ。

「今度はね、ショッピングモールがいいの、ほらこの前オープンした時、お父様に連れられてオープンセレモニーに出席したじゃない?私ね、その時思ったの。夜のショッピングモールで本を読めたら素敵だろうなって。あのひんやりとした空間で温かいお紅茶を飲みながら本を読んだらどんなにいいか。マルコ、そうは思わない?」
「しかしお嬢様、ショッピングモールにはたくさんの店舗が入っております。いくらお嬢様でもそのような場で本を読まれるのは。。」
「あら、マルコ。私が汚したり壊したりするというの?」
「いえ、そのようなことは思っておりませんが、お嬢様は時々わたくしの想像を超えることをお話になりますが故。。」
「心配?そうね、マルコの言いたいことはわかったわ。では私が問題なく過ごせることを証明するためにも今回の件は必要だと思うの。お父様に頼んでくださる?マルコ」
マルコは再び嫌そうな顔をする。
ふふふ、してやったりだ。
こうして私はショッピングモールで一晩読書をする権利をもぎ取った。

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