「青空ってさぁ、見てると吸い込まれそうになるよね。雲が一つもないときなんか特に。俺は好きだな」
放課後、屋上、床の上。彼はいつものように寝っ転がりながらのんびりと、そう言った。
「青空見てると元気もらえるっつーの?なんかわかんないけど元気でる。あ、特にほら、運動会のときなんかそう!運動会の空はサイコーだよな」
彼は眩しそうに目を細めて、太陽の光を全身で浴びる。私に降り注ぐ光とは違って、綺麗で透明なキラキラした光。チャイムが鳴った。
「あーあ、ここで授業したいな」
彼は体を起こし、私に向かって眩しい笑顔を見せる。
「行こうぜ」
私はうなずいて、立ち上がりながらスカートの埃を払い、彼の後に続く。屋上の扉を閉めるとき、少し空を見上げる。
私は青空が嫌い。
これが唯一、彼と合わない点。
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