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日本近現代史研究会

コメント

辻貴之
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これらは、いずれも国家および国政担当者のあるべき姿についての言及であった。そして、こうした西郷の一連の言葉を貫いていたのは、「太平に馴れる」ことを拒否する精神であり、国としてのあるべき姿を国政担当者としてひたすら追い求め、国家の体面を損なわないためには、場合によっては、国家の滅亡と自身の死も辞さないとする「戦いの精神」であった。そして、この精神が、小にしては彼をして常に戦場にあらしめんとし、大にしては王道外交の信奉(提唱)者とさせたのである。