☆ serial number 281(2024:Dec-27) ☆ 物語の土台となった事件は実際に福岡市で発生している。アジアの玄関口と自称するだけあって人も物も往来が激しいのだが中には厄介なものもやって来る。熔は金属を溶かすことであり(どこぞの偉い人が会社の金をしっかり熔かしたように(既読))賭け事などでお金を失うこともいう。で,本作品で熔けたものはGoldなのだが,小説にあるように,この事件の頃「金の現物の裁定取引(消費税分の差益獲得)」という事象が税関の目に余っていたのも事実である(②へ続く)。
②(承前)☆ 解説にあるようにこの「最凶バディ」のピカレスクロマン的魅力はやはり大阪という風土に起因するように思う。物語の舞台が中部地方以西に偏るのもむべなるかなだが,事件の真相を解きほぐす過程は警察モノと変わらず,一枚噛んで上前をゴッソリいただこうというところは悪漢系かつタフガイ系(乱闘シーン直前の組み立てからキチッと計算ずくで,読んでいるほうはVシネマを見ている感覚になる。この辺が手練れの旨みで,がっしりと重い手応えだ。そういえば先日作者が中心となって文士劇を行ったらしい。いろいろと面白い人である。