読書メーター KADOKAWA Group

in medio tutissimus ibis.
さんの感想・レビュー

新着
参加予定
検討中
さんが
ネタバレ

in medio tutissimus ibis.
さんの最近の感想・レビュー

後宮 殷から唐・五代十国まで (角川新書)

後宮 殷から唐・五代十国まで (角川新書)

加藤 徹
血統への信仰に従い、宗族という人間を動員するインフラを維持拡大することに血道を…続きを読む
全部救ってやる (2) (マンガワンSSC)

全部救ってやる (2) (マンガワンSSC)

常喜 寝太郎
目の前にもその先にも人に限らず心ある存在が居るんだという事を忘れたら、その活動…続きを読む
全部救ってやる (1) (裏少年サンデーコミックス)

全部救ってやる (1) (裏少年サンデーコミックス)

常喜 寝太郎
君はヒーローになれる。でも助ける相手が具体性を失って数字に換算されたら気が付か…続きを読む
双死相殺 腕貫探偵リバース

双死相殺 腕貫探偵リバース

西澤 保彦
毎度この作者の本の登場人物は複雑で理解し難いと思いながらなぜ読むのかと考えるに…続きを読む
畜生・餓鬼・地獄の中世仏教史: 因果応報と悪道 (歴史文化ライブラリー 460)

畜生・餓鬼・地獄の中世仏教史: 因果応報と悪道 (歴史文化ライブラリー 460)

生駒 哲郎
畜生・餓鬼・地獄は六道の中でも悪趣と呼ばれるが、それは業による煩悩や飢えや煩悩…続きを読む
古代中国の裏社会: 伝説の任俠と路地裏の物語 (1078) (平凡社新書 1078)

古代中国の裏社会: 伝説の任俠と路地裏の物語 (1078) (平凡社新書 1078)

柿沼 陽平
漢の武帝の時代、血統に依らず戦功受益層からなる諸侯を強幹弱枝を狙う皇帝権力が刈…続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/09/24(4111日経過)
記録初日
2014/09/24(4111日経過)
読んだ本
2857冊(1日平均0.69冊)
読んだページ
660093ページ(1日平均160ページ)
感想・レビュー
2834件(投稿率99.2%)
本棚
86棚
性別
自己紹介

in medio tutissimus ibis.
『中間を行くのが、もっとも安全だ』

これはオイディウスの『変身物語』の一節。太陽の戦車を操りたいという息子パエトンの求めに応じざるを得なくなった太陽神が、はじめはそれは危険だからやめるようにといい、ついで向こう見ずな若者の意志が固いとみるやあれこれと戦車の差配について語るくだりである。
さらにその前後を抜き出してみる。

……この道を進むのだ! いくつもの車輪の跡が、はっきりと見えるはずだ。それから、天と地が等しい暑さを分かつようにしなければいけない。それには、進路を下げ過ぎたり、天頂を通ったりはしないことだ。高くのぼりすぎれば、天上の宮殿を焼くことになるだろう。低すぎれば、大地を焼く。中間をいくのが、もっとも安全だ。右にそれすぎて、とぐろを巻いた『蛇』にぶつかってもいけないし、左に寄り過ぎて、『祭壇』に行き当たってもまずい。……
(オイディウス『変身物語 上』中村善也訳 岩波文庫 57p)

中庸を説く警句として引用されるが、もとはと言えば文字通りの意味に他ならないのがわかる。危険な空中の旅をする息子へ安全な道をしつこいくらい言い聞かせる太陽神は、ここではどこにでもいる一人の親に他ならない。
あるいは、案の定迷走して天も地も焼いてしまうパエトンの未来を暗示した、神話的な底意地の悪い予言とも見ることができるか。
それにしても、巨大な火を引いていく戦車の道々には焼いてはいけないものが多すぎる。太陽神をして、そのつとめを「刑罰である」といわしめるのである。
さらに「戦車の乗り手」が、「宮殿」や「大地」に近づきすぎて、それらに火を点けない様にという、軍事力の制御に関する寓意であると読むことができるかもしれない。

このように人口に膾炙した警句が、その実いくつもの顔を見せてくれるのは、なかなかに興味深いことである。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう