読書メーター KADOKAWA Group

2024年5月の読書メーターまとめ

in medio tutissimus ibis.
読んだ本
12
読んだページ
3450ページ
感想・レビュー
12
ナイス
48ナイス

2024年5月に読んだ本
12

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

in medio tutissimus ibis.
左右の政治対立によるエコーチェンバーと結果の正義の追求、SNSに晒された子供の鬱、自由を奪うパラノイア的子育て、マンモス化した大学の官僚主義が、アメリカの大学に学生の過保護、感情的になること、善悪二元論を蔓延らせており、その結果は言葉の暴力への肉体的な暴力での応酬であり、魔女狩りである。無論、米国にも教育現場にも限った話ではない。特に、開明的であるべきメディアや教育現場の思想的多様性を失った部族化、敵対感情に根差したアイデンティティ政治の問題は根源的で深刻だと思う。大切なのは「真実に向かおうとする意志」。
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
12

in medio tutissimus ibis.
左右の政治対立によるエコーチェンバーと結果の正義の追求、SNSに晒された子供の鬱、自由を奪うパラノイア的子育て、マンモス化した大学の官僚主義が、アメリカの大学に学生の過保護、感情的になること、善悪二元論を蔓延らせており、その結果は言葉の暴力への肉体的な暴力での応酬であり、魔女狩りである。無論、米国にも教育現場にも限った話ではない。特に、開明的であるべきメディアや教育現場の思想的多様性を失った部族化、敵対感情に根差したアイデンティティ政治の問題は根源的で深刻だと思う。大切なのは「真実に向かおうとする意志」。
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
コンセプトとは、価値の設計図であり、己の一貫性を保つための判断基準となり、顧客が出資する理由として機能する。それは普遍的な正誤を得るよりも、ニッチを創造する為のものである。コンセプトのストーリー設計は、二通りの筋道で考えられる。インサイト型は、①顧客の需要があるが②しかし競合他社が満たしておらず③そこで自社の独自性を主張し④それを端的に説明する筋道で作られる。ビジョン型は、①固有の過去を社会的使命として普遍化し②目指すべき困難な未来を目標として具体化し③その為の現在を導くもの。英語で二単語程度が望ましい。
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
原理的にはイスラム教の論理は近代社会となじまないものだというのは確かだが、折り合いをつけて妥協してきた歴史があるのも確かであって、今日そうはなっていないのはインターネットで経典とそれに立脚した過激な思想に簡単に触れることができるようになったためというのが著者のの主張。キリスト教で言うと出来立てのプロテスタントみたいなのでそりゃ危険だ。個人的にはさらに若者が多く、あと結婚が文化的にハードル高いのも問題。もてなくて金のない青年は気が狂うしかないのだ。文化の違いを理解せよと言われてもすぐにカネの話にしちゃうな私
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
ギャルやギャル男を貫くテーマはギャップである。彼らは一方でノリの良さや逸脱した武勇伝を演出しながら、若気の至りから早急に落ち着いていて一般社会でも通用することも理想とする。落ち着くことのできなかったOBOGをケツモチとして利用し時に闇社会への誘いを受けながら、建前としては法の一線を越えようとはしない。代表や幹部は構成員を労働力や金を搾取する対象とする一方で、彼らを繋ぎ止める為に必要なナゴミと友愛の演出を欠かさない。サークル運営への真面目さが白眉。今はSNSの隆盛によってその生態も大きく変わっているだろうか
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
ペストから立ち直ったルネサンス期イタリアでは、各地に分散した分権組織を管理するためにメディチ家が【簿記】を生み出した。宗教改革を経て独立したオランダでは、プロテスタンティズムに則り商売を良しとする風土を求め集まった商人は長期的な資金調達の為【株式会社】と【証券取引所】を発明した。産業革命を迎えたイギリスでは、巨大な初期投資を必要とする鉄道会社の運営のために【利益計算】が始まった。新大陸アメリカでは旧世界の資本家からの投資を募るために、会社の監査と【情報公開】を行うようになったため規模の経済を実現した。
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
ロシアとの関係は歴史的にかつ対中の為に重要だが、さりとて経済成長のカギを握る西側と対立することもできない。しかしパキスタンを支援していた過去のある米国はじめ欧米との利害や価値観を完全に共有してもいない。対中のためにクアッドに引き込んだ日本の安倍元首相は暗殺され、ロシアと西側の対立が深まる中で何方に与することもできないインドは、格別な支持なしにだが中立を保ちたい弱小国グローバルサウスの代表というポーズを取っている。インドは無難な選択をしているが、それはどの陣営にか反対陣営の弱い輪と見なされ得るのではないか。
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
歴史的な優生学への拒否感と、社会制度の整備が重なった結果、偶然の生まれつきの能力が人生の多くを決定する優性社会に我々は生きている。能力、即ち実際に発揮できる行動は、大部分が遺伝子で説明できる。脳は予測器であり、その嗜好は己の能力に沿ったものを選び、没頭する。従って、人間関係の様な環境もまた、その嗜好によって選択されるからには、九割がたが遺伝で説明がなされる。問題は、この能力の偶然性と決定性が知られていない結果、知能に過大な価値と尊敬が向けられている事であり、人間の本性である社会構築の健全性を損なっている。
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
人間はまず直感的に行動し、理性がその道筋を合理化する。従って、全ての行動した人間には主観的に他の行動者が過剰に非合理に映る。そして、人間を律する道徳は多元的であり、リベラルはケア、自由、そして公正を重視するが、忠誠、権威、神聖を軽視する点で保守主義者と対立するし、ケアをも軽視するリバタリアンとも異なる。こうした道徳システムは、利己主義を超越し社会の構築を可能にするものだ。だが、そうして集団に帰属することは他集団への偏見を合理化しかねない。従って、信頼関係のない相手と政治宗教スポーツについて話してはいけない
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
死んでくれマスメディア、若く強いまま! くらいの勢いのタイトルで確かにビジネスモデルとしてのマスメディアは死に絶えたようなものなのに、懸念の通り会社としては副業のおかげかどっこい生きてる。生き恥。垂直型ビジネスモデルが技術の進歩とグローバリゼーションによって水平型になってダメになったと書くと半導体みたいでやんした……。コンテンツはネットの後追いで、人材はネットに流出し、プラットフォーマーも今や脱税許さないとかアプリストア解放しろとかいろいろ首輪つけられつつあるのに。日本型の社会風土の功罪をすごく感じる。
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
今日の我々からすれば、生物は遺伝子の系統から分類されるものであるが、この方法はまだ日が浅く、形態を頼りに身近なもので例えたり類推したりするのが人類史の多くの時代の流儀である。そこに我々は一種意外な空想を見る。ウミウシを見て海のウサギと言ったり、カメレオンを地上のライオンと呼んだり(普通のライオンも地上にいるのだが、この場合「地を這う」ようなニュアンスだろうか?)、クワガタを見られる土地と角にちなんでルカニアの牛と名付けたかと思えば、やはりその地に連れてこられただけの象もまた牙の為に同じあだ名を付けられる。
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
何という世の中だ! 自力救済できない半文明国が主権国家を名乗るからだ! 野蛮人どもに主権を認めるなっ!(海原雄山ボイス)。実際、宗教やナショナリズムといった狂気を持ち込まない合理性に則った戦争による戦災の撲滅というのは非常に美しい理想ではある。でもそれは、戦争や外交を完全情報ゲームにするという不可能事が前提だ、とリアリズムの立場から申し上げなければいけない。あと、日本の話題が出てくるたびに[要出典]ってつけたくなるの勘弁してくれ。しかし文句は無限に言えるが、ここまでの極論は逆に他山の石としては有用で刺激的
が「ナイス!」と言っています。
in medio tutissimus ibis.
地政学冬の時代の本。20年後たって、地政学本が珍しくもなくなり、日本が自由で開かれたインド太平洋と称してGDP2位になった中国封じ込め政策の音頭をとってるのは隔世の感がある。マハンだのマッキンダーだのは知っていたけど、地政学は地理+政治だが英語のジオフラフィックは土地+描写だからもともと政治色があって地政学も学問というよりバリバリ政治だよ、本場のアメリカがそもそも学問と政治の垣根が薄いよ、という前提の部分は知らなんだ。政治というかリアリズムの根底にあるパラノイアな部分がアメリカ関連に漏れ出ててちょっと怖い
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/09/24(3558日経過)
記録初日
2014/09/24(3558日経過)
読んだ本
2665冊(1日平均0.75冊)
読んだページ
604524ページ(1日平均169ページ)
感想・レビュー
2642件(投稿率99.1%)
本棚
84棚
性別
自己紹介

in medio tutissimus ibis.
『中間を行くのが、もっとも安全だ』

これはオイディウスの『変身物語』の一節。太陽の戦車を操りたいという息子パエトンの求めに応じざるを得なくなった太陽神が、はじめはそれは危険だからやめるようにといい、ついで向こう見ずな若者の意志が固いとみるやあれこれと戦車の差配について語るくだりである。
さらにその前後を抜き出してみる。

……この道を進むのだ! いくつもの車輪の跡が、はっきりと見えるはずだ。それから、天と地が等しい暑さを分かつようにしなければいけない。それには、進路を下げ過ぎたり、天頂を通ったりはしないことだ。高くのぼりすぎれば、天上の宮殿を焼くことになるだろう。低すぎれば、大地を焼く。中間をいくのが、もっとも安全だ。右にそれすぎて、とぐろを巻いた『蛇』にぶつかってもいけないし、左に寄り過ぎて、『祭壇』に行き当たってもまずい。……
(オイディウス『変身物語 上』中村善也訳 岩波文庫 57p)

中庸を説く警句として引用されるが、もとはと言えば文字通りの意味に他ならないのがわかる。危険な空中の旅をする息子へ安全な道をしつこいくらい言い聞かせる太陽神は、ここではどこにでもいる一人の親に他ならない。
あるいは、案の定迷走して天も地も焼いてしまうパエトンの未来を暗示した、神話的な底意地の悪い予言とも見ることができるか。
それにしても、巨大な火を引いていく戦車の道々には焼いてはいけないものが多すぎる。太陽神をして、そのつとめを「刑罰である」といわしめるのである。
さらに「戦車の乗り手」が、「宮殿」や「大地」に近づきすぎて、それらに火を点けない様にという、軍事力の制御に関する寓意であると読むことができるかもしれない。

このように人口に膾炙した警句が、その実いくつもの顔を見せてくれるのは、なかなかに興味深いことである。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう