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2024年4月の読書メーターまとめ

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読んだ本
11
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2572ページ
感想・レビュー
11
ナイス
50ナイス

2024年4月に読んだ本
11

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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プロイセン的家父長の権化であるかのようなイメージの一方で、第一次大戦中はスパの大本営で飼い殺しのような状態にあり、戦後に戦争責任だけは押し付けられるという彼の悲喜劇は、その人格の不安定さに由来しているようだ。母親への反発と祖父への崇敬、同性愛的な志向。普段は超タカ派的な虚勢を張っていても重要な局面に立たされると急に消極的になり、戦争等の破局はなるべく回避しようとした結果、軍部には見放され、一般には大戦の元凶と見なされた。本人のパフォーマンスと性格の弱さのせいではあるが、最も誤解された君主の一人であろう。
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2024年4月の感想・レビュー一覧
11

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本書の論旨はわかりやすく、日本に比べて朝鮮半島(特に北朝鮮)の鉱物資源の豊富さがよくわかる他、戦時中に総督府が敷いた総動員体制や工場設備等が戦後の北朝鮮に引き継がれていること、現代韓国の教育界では併合後に朝鮮が貧困化したという戦前日本の誤った統計(それも戦前に訂正済なのに)が意図的に使われ続けている等の事情なども大変興味深く思った。ただ少し章ごとの構成にムラがあり、特に第4章「戦時経済の急展開」では企業名等の列挙が多く、退屈な部分もあった。もう少しブラッシュアップすれば大変な良書になるだろう。
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冒頭に曰く、社会学とは世間話の延長であると。斯界の大家である筆者がそう達観した見地そのままの内容であり、学説を意図的に排除し、たまに社会学の泰斗の名が出て来る程度で、身近な事象をテーマに教養ある老人(著者は昭和5年生まれ)が雑談する趣向。自然と世界観の古さは感ずるものの、気軽に読むことができるが、著者もかつては社会学の様々な学説・思想との対決の結果、この立場に落ち着いたはずで、その対決を抜きに(他の著書で語られているのかもしれないが)社会学と銘打った書でこの雑駁な調子は少し違和感。
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プロイセン的家父長の権化であるかのようなイメージの一方で、第一次大戦中はスパの大本営で飼い殺しのような状態にあり、戦後に戦争責任だけは押し付けられるという彼の悲喜劇は、その人格の不安定さに由来しているようだ。母親への反発と祖父への崇敬、同性愛的な志向。普段は超タカ派的な虚勢を張っていても重要な局面に立たされると急に消極的になり、戦争等の破局はなるべく回避しようとした結果、軍部には見放され、一般には大戦の元凶と見なされた。本人のパフォーマンスと性格の弱さのせいではあるが、最も誤解された君主の一人であろう。
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主にトクヴィルの『アメリカのデモクラシー』を出発点に、デジタル時代の政治・民主主義について様々な想像力を膨らませるという斬新な内容で、当世人にとってのデジタルは、トクヴィルにとってのアメリカと同じ意味合いを持つという大胆な類比がベースとなっている。また、ファンダム(少し古い表現で言うと、オタク文化に近いか)が今後の民主主義にとって重要な契機となりえる(これもトクヴィルが見た19世紀アメリカのプロテスタントのセクトの類比で語られている)という点にもかなりの分量が割かれている。やや衒学的ながら知的刺激は多い。
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題名から何となくわかるが、あまり中公新書らしからぬ軽いノリの書で、いわば「東京DEEP案内」のマイルド版というか、地誌的な記載もあるにはあるが、中公新書ラクレや三笠書房の「知的生きかた文庫」等であった方がしっくりくるような内容となっている。とはいえとても読みやすく面白く、娯楽的に気軽に県境の地誌を学ぶことができる。県境は令制国の国境や、或いは藩境などを引き継いでいることが多く、飛び地などにもそれぞれ掘り下げると面白い来歴がある。県境付近に住む地元の人(高齢者が多い)たちとの、すれ違う会話は味がある。
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18歳未満の介護者についての啓蒙書である。終章で、著者が育児と仕事(研究)の両立に悩んでいる時に、ヤングケアラー問題を知り、成長を見られる育児とは異なり、衰弱を見届けることになってしまう(より重い)介護を、子供が担うことに衝撃を受けたというくだりがあり、強い印象を受けた。また、元ヤングケアラーの体験談として、社会のために子供の能力を伸ばしていくという学校の価値観と、どう対応しても能力が低下していく要介護者(老人)のケアという介護の価値観の相克が耐え難かった、というものがあり、これにも心を動かされた。
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個人的に環境・リサイクル関係のテーマには関心が薄いのだが、本書は主に産業・貿易的な観点からリサイクルが扱われており、また非常にわかりやすく読みやすい構成・内容であった。そもそも古紙やペットボトル、発泡スチロールなどの一般的なリサイクル過程について何の知識もなかったため面白く読むことができたし、途上国と先進国での処理や規制の違い、バーゼル条約の詳細など煩瑣な部分についても、それほど苦にならなかった。バーゼル条約のくだりで、日本は行政の担当者が基本的に二年で異動してしまうことが弱点とされているのが心に残った。
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副題のとおり帝国議会の誕生に至る経緯を追った書。わかりやすい内容で、幕末から明治初期の政治史のおさらいにもなる。公議所、集議院、左院、元老院など帝国議会の前身組織については、存続期間が短くその実態をよく掴めていなかったが、本書は帝国議会史ではなく帝国議会前史であるので、詳しく解説されている。伊藤博文がシュタイン等の下で勉強し実力をつけて、元老院の保守派と自由民権派双方の異論に対して自信をもって対応し、素志を貫徹したのは見事である。
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2024/04/16 19:24

なお伊藤と共に憲法・議会の生みの親である伊東巳代治や金子堅太郎は本書では自然と登場回数が多いが、その後彼らは昭和期まで枢密顧問官として影響力を有しており、ロンドン海軍軍縮条約に反対して統帥権干犯問題を起こすなど、後から見ればだが明治憲法体制の自壊につながる判断をしている。このあたりの事情について、今後調べてみたいと思った。

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財政危機論・楽観論双方の問題点を指摘しながら、日本の財政の現状について解説し、積極財政の立場から財政・金融政策の統合を提言する書。財政・金融の初歩から近年の財政・金融史までわかりやすく解説されており、門外漢にとっても親切な構成に思えたが、一部高度な内容になるのは事実で、著者の主張が正しいかどうかの判断はできなかった。これまでの日本の財政・金融政策は相互抑制的に(反対の方向で)なされる傾向があり、具体的には尚早な金融引き締めが日本経済停滞の原因であったという所論はわかりやすく説得的であった。
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小中学生向けの本かと思うほど非常に平易で、懇切なわかりやすい内容でありつつ、ウメ、アブラナ、タンポポ、イネ、アジサイ、ヒマワリ、ジャガイモ、キク、イチョウ、バナナという身近な植物の意外な生態を知ることができ、新たな興味を掻き立てられる。また純粋に生物学的な生態だけではなく、文化や故事、産業・食にまつわる話も多く記載されている。文系にとっても難しい話はほとんどなく、飽きずに気軽に読むことができる。例えば日頃の散策でも、花や草木をこれまでとは違う視点から眺めることができるようになった。
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日本語と英語の構造の違いについて解説した書。丁寧な解説ではあるが、一部列挙的で退屈な面もある。日英語の翻訳を専門とする人向けに書かれているようで、文法やある程度の語彙の知識がないと読みづらいかもしれない。英語と対比することで、普段全く意識せずに使われているような日本語の独自の構造や、日本語のいわば「心意気」のようなものを明るみに出していくところが面白い。わかったつもりでいても、翻訳するとなると確認しないとわからない情報がある一方、翻訳すると消えてしまう情報も多い。言語の機微に触れることができる。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/07/10(4702日経過)
記録初日
2004/02/03(7416日経過)
読んだ本
943冊(1日平均0.13冊)
読んだページ
285736ページ(1日平均38ページ)
感想・レビュー
386件(投稿率40.9%)
本棚
0棚
性別
自己紹介

来歴紹介

○小学生:小さい頃から歴史が好きでしたが、戦国時代→奈良時代→平安時代と興味が移りました。祖父の影響で歴代天皇を暗記。信長の野望をよくやっていましたが、歴史物に限らず、当時の主要なゲーム(SFC、PS世代)はあらかたプレイ。真・女神転生の影響で世界の神話に興味を持ち、子供向けの古事記伝を読んだりしていました。トムソーヤー、ハックルベリーフィン、宝島、ロビンソン・クルーソー、海底二万里など冒険物も好きでしたが、大草原の小さな家シリーズのようなメルヘン的なものも好きで全巻読破(後にドラマ版も一部見ました)。
○中学生:NHKスペシャル「映像の世紀」(1995年版)に感動し世界史に目覚める。全11巻を今に至るまで繰り返し見ています。その影響で、ナチス・ドイツや、ハプスブルク帝国に興味を持ちました。他方世界文学(トルストイ、ブロンテ姉妹など)も読み始めました。ただ部活に多くの時間を取られ、あまり勉強はしていませんでした。
○高校生:高校2年生までは大体インターネット等で遊んでいましたが、特に王朝関係本を中心に、世界史関連書籍を読み続けました。受験勉強のお陰?で、興味のなかった古典と英語の面白さを知りました。受験勉強後は保守思想関連の本を乱読。
○大学生:大学1年生の時に取った西洋思想史の授業の影響で、歴史から思想に関心が移る。哲学史関係本を読み漁り、特にカトリックの神学に惹かれる。アウグスティヌスを耽読し、卒論はトマス・アクィナスでした。他にも中世思想やキリスト教神秘主義関係の本を大量に読む。この頃は古今和歌集、泉鏡花、E.T.A.ホフマン等にも親しんだ他、エドマンド・バーク、ジョゼフ・ド・メーストルという保守・反動の思想家との運命的な出会いもありました。トマス・ア・ケンピスの『キリストにならいて』は今に至るまで最も影響を受けた本です。
○就職後(20代):しばらくはドイツ観念論やニーチェ、或いは東洋思想も含めて、思想関係の本を主に読んでいました。その後古典和歌や漢詩、平家物語など古典に潜心。古語辞典を読むのも好きでした。地誌に興味が出たり、日本史を改めてシリーズ物で最初から読み直したり、山川世界各国史を読んだり。人文系全般に関心が広がっていきました。
○近年(30代):仕事と家庭の関係で、読書に向けられる時間と気力が減り、悩んだ結果、中公新書を片っ端から読むことにしました。中公新書を主に出版の新しい順に、全く興味のない分野のものであっても読んでいます。その理由は以下のとおり。①本を選択するのが億劫、②中公新書は他の新書に比べてハズレが少ないように思われる、③分量が多い単行本は読む時間・気力がない、④決して自発的には手に取らないような本も読むことで視野を広げたい。

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