ネタバレ身に覚えのある痛みが克明に正直に描かれた小説だった。何者にもなれそうにない自分が嫌いで怖くて、何者かにならなくては受け入れてくれそうにない世界が怖くて、それでも誰かの言いなりにはなりたくなくてもがくエスターに、大丈夫だよと言ってあげたいのに、何が大丈夫なのか考えてみてもさっぱりわからない。そのうち諦めがつくから大丈夫だよ、だろうか。そのうちに感覚が鈍麻して痛くなくなるから大丈夫だよ、かな。そんなの全然何の慰めにもなっていないのに。（多分）世界に戻っていくエスターが、大丈夫だと思える世の中でありますように。

ネタバレ面白く読めたけれど、アメリカという国の成り立ちや歴史、現在の社会状況なんかをもっと良く知っていたら、相当感慨深く読めたのになと自分の知識のなさを残念に思った。感じたのは、『幽霊』が存在するのは過去にも現在にも、そこに人間が存在していた、しているからなんだなあということ。人類が消えてしまわない限り、幽霊も消えることはない。でも、もしも人類がこの地球上から一掃されて、もう何者にも邪魔されない自然だけが後に残ったのなら、きっとその方が幽霊たちも安らかにいられるのではないかなと思った。人は仕方のない生き物だから。

ネタバレ身に覚えのある痛みが克明に正直に描かれた小説だった。何者にもなれそうにない自分が嫌いで怖くて、何者かにならなくては受け入れてくれそうにない世界が怖くて、それでも誰かの言いなりにはなりたくなくてもがくエスターに、大丈夫だよと言ってあげたいのに、何が大丈夫なのか考えてみてもさっぱりわからない。そのうち諦めがつくから大丈夫だよ、だろうか。そのうちに感覚が鈍麻して痛くなくなるから大丈夫だよ、かな。そんなの全然何の慰めにもなっていないのに。（多分）世界に戻っていくエスターが、大丈夫だと思える世の中でありますように。