成瀬になりたい！成瀬のように生きてみたい！

恩田陸の表現力に圧倒される、その一言に尽きるような思いで読み進めた。音楽やコンサートはある意味で紋切り型の表現が多々あると思うが、この長編の中で、一つ一つ、次から次へと奇をてらうことなく雰囲気を作り上げてくれる。言葉の海はどこまでも広く深いと感じさせてくれた。

「蜂蜜」と、「遠雷」。この2つの言葉と表紙の彩りに魅力をまず感じる。2次予選真っ只中で終えた上巻。遠くから遠雷が鳴り始めたことを想像すると、このまますんなりとは終わらないだろうか。

これまで、あまり表に出てきていない植村直己の物語。初版は昭和54年2月ということで、植村直己がマッキンリーで遭難するちょうど5年前。本人はどのようにこの本を見ていたのだろうか。

成瀬になりたい！成瀬のように生きてみたい！

僕にはまだ、芸術が何なのかわからない。でも、芸術を支え、そこに価値を追い求めるパトロンたちのストーリーにはどんどん引き込まれた！