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2024年5月の読書メーターまとめ

Yasunori Hosokawa
読んだ本
7
読んだページ
2581ページ
感想・レビュー
6
ナイス
105ナイス

2024年5月に読んだ本
7

2024年5月のお気に入られ登録
1

  • Misaki

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Yasunori Hosokawa
銀行に務める女性が横領を重ねるようになってしまう、そのプロセスがメインで描かれますが、またもやそこに至る女性の描き方が素晴らしくて、本当に角田光代さすが、って思ってしまいました。銀行職員の横領というとTHE事件という感じがしてしまいますが、日常的な空間にふとしたきっかけで口を開ける裂け目に直面し、それを塞ぐようにひたすら金銭を使い続けてしまうことから犯罪に至ってしまう。それを主人公だけではなく、その周辺の友人などを通して見事に描いています。
Yasunori Hosokawa
2024/05/03 12:35

自分が今まで読んだ角田作品全てそうなのですが、どうにも埋め合わせようのない暗闇に入り込み、行くところまで行ってしまった後に不思議な開放感のある場へと出ていく、それは実はそうしないと物語として収まりが悪いということだったりするのかもしれないですが、救いようの無さをこれでもかというくらい描いた後に来る何か、というのを感じさせるのは凄いなと毎回思います。

Yasunori Hosokawa
2024/05/03 12:35

女性銀行員のこれも過去にあった事件がモデルになってたりするんでしょうか。話がかなり具体的でモデルがあり、それについての細かな調査類があったとしか思えないのですが、モデルになった事件などについて著者コメントのようなものは探しても無さそうでした。エッセイなど読むと出てくるんでしょうか。

が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
6

Yasunori Hosokawa
この訳本は発売と同時に購入したまま積読でしたが、やっと読みました。超絶な難解さで悪名高いだけあって、自分は個別箇所の大半をきちんと理解できてないですが、全体としては想像していたよりずっと面白いと感じることができました。超訳だとか批判が多いみたいですが、読んでみるとそうでもなさそうなのと、なんとなくレベルな理解でも読了できたのはこの長谷川訳のおかげと感じます。
Yasunori Hosokawa
2024/05/31 10:40

どうも自分は精神が自己確信しつつそれを乗り越え続ける永久運動のようなものは次第に薄っぺらい形骸化した、空虚な空回りへと転落し、どこかで破綻が生じるように思ってしまいます。例えばM.ウェーバーの予言もそういうものだったと思いますが、ヘーゲルの絶対知というのはそうならない何か仕掛けが、あるいは外的な要因があると想定しているのかどうか。それは国家間の戦争だったりするのかもしれませんが、本当にそうなのか。インターネット時代にも有効なのか。

Yasunori Hosokawa
2024/05/31 10:40

今回読んだ長谷川宏訳は本書を驚くべきわかりやすさで訳した、といった形で発売当時話題になったと記憶しています。自分はそれにつられてとりあえず買ってしまったのですが、全く手を触れずにあるときPDF化して放置してました。研究者からは結構批判があるのと、現在だと最新の熊野純彦訳が文庫で出てるのでそちらがよいのかもしれないですが、今回熊野訳も買って時々比較して読んでみたのですけど、長谷川訳のほうがわかりやすく、悪い翻訳とは全く感じませんでした。次に読むときは熊野訳で挑戦してみたいと思います。

Yasunori Hosokawa
実際にあったいわゆる三面記事をモデルにして描かれる6つの短編。週刊新潮で昔から連載されてる『黒い報告書』を思わせますが、必ずしも男女問題だけではなくて、親子兄弟など親密な人間関係が、親密であるが故に引き出す狂気を、ああなるほどそうだったのか、と読者に感じさせてしまう形で描写されます。こういうの本当に角田光代は上手いなぁ、このままこれシリーズ化して続けてくれないかな、と感じてしまった一冊でした。
Yasunori Hosokawa
2024/05/18 09:58

あとこれ読んで思ったのは、凶悪犯罪的なものはやはり人間関係が濃いところに発生しやすいのだなと。一方で現実社会では凶悪犯罪は減り続けていて、以前警察庁の人だったと思いますが、そういった統計の発表時に減った理由を聞かれて「ネットなどで人間関係が希薄になったからではないか」と言っていた記憶があります。そういう意味では他人を憎悪することが少なくなった、というより憎悪すらできない社会になりつつあるのかもしれません。

Yasunori Hosokawa
2024/05/18 09:59

一応冒頭に例によってこの小説は「フィクションであり事実とは異なる」と書いてあるわけですが、作者は事件の取材的なことはやっているのだろうか。いつも読んでいて気になってしまうのですが、どこかにそういったインタビュー、あるいはエッセイのようなものないでしょうかね。どうも事情を知ってて書いてるような気がしてしまう(笑)。

が「ナイス!」と言っています。
Yasunori Hosokawa
人生の選択肢をテーマにした6つの短編集。選択といっても人生の大きな岐路とかそういうものではなく、今ある自分ではない、「もしあの時こうしていたら」の自分を思うことによって、タイトルの通り実際の「平凡」な日常を描き出す。非凡な人物、異常な状況というのは極端に偏った単純さがありますが、平凡は超複雑でとらえどころが無く、この短編に繰り返し思い描かれる選択の自由が事柄のハッキリとした輪郭を拒絶してしまう。平凡はだから物凄い表現するの難しいと思うのですが、またしても角田光代さんは描けてしまっていて驚愕です。
Yasunori Hosokawa
2024/05/15 13:25

精神科医の中井久夫氏が、多重人格というのは実際は人格数が少なくなってしまう病で、健康な人格は超多重人格だ、と述べていた記憶があります。普通の状態というのはその超多様な状態の間を行き来できる自由さにあるのでしょう。「平和」も同じではないか。戦時というのはハッキリとした社会的目標設定がなされ、死を前にした決断というものが迫ってくるために、複雑さが回避されてしまいそうですが、平和な時代は常に「あれもこれも」と想像を膨らませ、そのよく分からない状況の中で何かしらの選択をし、しかし特段何もできないような気分が続く。

Yasunori Hosokawa
2024/05/15 13:25

そういう平和で平凡なものというのはだから扱いが最も難しい。何かその自由さを制限するようなショッキングな事件や、あるいは現実から離脱したファンタジーに飛んでしまうほうが楽なんだろうと思います。それを真正面から受け止めて描くというのですから凄いと思うと同時に、「平凡」というものは一方で説明的なものだったり、哲学的思考のようなものではなく、小説のような形式でこそ最も接近できるのではないか。今回この作品を読んで改めてそう感じた次第です。

が「ナイス!」と言っています。
Yasunori Hosokawa
上下巻分です。噂通りの素晴らしい作品。こういう小説ないのかな?と思ってたらあった、という感覚になる作品で、謎めいたところもあれば幻想的なところもあり、シリアスなシーンも、という全部入りのような感じですが、しかしそれで全く破綻しないで楽しく読み進めることができるという、不思議な傑作。あと、非常に映像的というか、章立てなどはそれこそネットフリックスドラマ、あるいは日本の漫画の連載形式をイメージできる、そんな感じがしました。
Yasunori Hosokawa
2024/05/12 21:59

これがソ連時代の不遇の扱いで出版できず、死後26年経ってやっと検閲削除ありで世に出たというのだから驚きですね。完全版出版後は世界的ベストセラーになったということで、埋もれたままにならずに本当によかったなと思います。

Yasunori Hosokawa
2024/05/12 22:00

今回読んだのは岩波文庫版のものですが、この翻訳は以前池澤夏樹編集の世界文学全集として出ていたものと同じということで、もともとそちらでもかなり評判よかったと記憶してます。同じものが文庫化されててよかったです。翻訳はとても読みやすく、日本語としての違和感がこれほど無いものも珍しいのではないでしょうか。

が「ナイス!」と言っています。
Yasunori Hosokawa
本との関係を人間のそれと重ねて綴られる短編集。帯には「読書の魅力は、この本がすべて教えてくれました」とありましたが、そういう話とはちょっと違います(笑)。読んでて思いましたが、自分はランキング的な観点でばかり本を選んでいて、こういう人間関係のように偶然出会う本と関係を持つ、ということがほとんど無くなってしまいました。昔は情報量が少なかったからか、自分に知識が無かったせいか、書店でたまたま見つけた本、というのがあったと思います。そのことをこの小説読んで思い出しました。
Yasunori Hosokawa
2024/05/04 18:37

時々時間があるときは大きめの書店に立ち寄って眺めて歩くことがありますが、amazonで検索して探したりするのとは全く違って、色々刺激があります。それもまた書店の意図、システムなんだと言ってしまえるのでしょうけど、どうも属性や売上などで分類、ソートするのとは異質だと思ってしまうのは古い発想なのかどうなのか。

Yasunori Hosokawa
2024/05/04 18:37

角田光代作品で短編集は初めてでしたが、今まで読んだ長編とはちょっと違って爽やかで軽快なものばかりでした。なのですが、やはり文章は凄いし、うーむそうか、と考えさせられる、いや、感じさせられるものばかりです。こうやって自由自在に書けてしまうというのは本当に凄いですね。おすすめ作品です。

が「ナイス!」と言っています。
Yasunori Hosokawa
銀行に務める女性が横領を重ねるようになってしまう、そのプロセスがメインで描かれますが、またもやそこに至る女性の描き方が素晴らしくて、本当に角田光代さすが、って思ってしまいました。銀行職員の横領というとTHE事件という感じがしてしまいますが、日常的な空間にふとしたきっかけで口を開ける裂け目に直面し、それを塞ぐようにひたすら金銭を使い続けてしまうことから犯罪に至ってしまう。それを主人公だけではなく、その周辺の友人などを通して見事に描いています。
Yasunori Hosokawa
2024/05/03 12:35

自分が今まで読んだ角田作品全てそうなのですが、どうにも埋め合わせようのない暗闇に入り込み、行くところまで行ってしまった後に不思議な開放感のある場へと出ていく、それは実はそうしないと物語として収まりが悪いということだったりするのかもしれないですが、救いようの無さをこれでもかというくらい描いた後に来る何か、というのを感じさせるのは凄いなと毎回思います。

Yasunori Hosokawa
2024/05/03 12:35

女性銀行員のこれも過去にあった事件がモデルになってたりするんでしょうか。話がかなり具体的でモデルがあり、それについての細かな調査類があったとしか思えないのですが、モデルになった事件などについて著者コメントのようなものは探しても無さそうでした。エッセイなど読むと出てくるんでしょうか。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/07/07(711日経過)
記録初日
2021/04/20(1154日経過)
読んだ本
216冊(1日平均0.19冊)
読んだページ
92039ページ(1日平均79ページ)
感想・レビュー
90件(投稿率41.7%)
本棚
1棚
自己紹介

最近老眼が進んできたために焦って読書中の50代男性です

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