ネタバレキャラクターものとしてはそれなりにおもしろく読めたが、前半のミステリ部分が真相解明無しに進んでいくため素直に楽しめなかった。四章の自動車墓場からはある程度挽回したし結末も悪くなかったが、前半の負債が大きく総評としては微妙。そしてなにより誤字脱字、助詞・助動詞の使い方が気になった。

ネタバレ小説に打ちのめされたのは久しぶりな気がする。小川洋子が解説で述べているように（素晴らしい解説）、終始閉塞感が漂っている。けれどその中には、いくつも胸の奥底が震える場面があり（讃美歌のシーンの他に、壁の一段目が完成し、ポッツィがその上を渡っていくところなど）、余計結末には打ちのめされる。裏表紙にある「衝撃と虚脱感」という言葉がこれほどぴったり当てはまるとは思わなかった。物語の持つ灰色がかったエネルギーが、読み手のエネルギーをごっそり奪っていく。

ネタバレキャラクターものとしてはそれなりにおもしろく読めたが、前半のミステリ部分が真相解明無しに進んでいくため素直に楽しめなかった。四章の自動車墓場からはある程度挽回したし結末も悪くなかったが、前半の負債が大きく総評としては微妙。そしてなにより誤字脱字、助詞・助動詞の使い方が気になった。