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2024年4月の読書メーターまとめ

サイトー
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12
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感想・レビュー
12
ナイス
138ナイス

2024年4月に読んだ本
12

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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いい題名だなと思って読むと冒頭の描写でやや面食らってしまう。読み終えて再び題名のことを、想う。成瀬は同じフィットネスクラブに通う女性から保険金詐欺と轢き逃げ事件が同一犯によるものだったのか調査を依頼される。次第に二つの事件を結びつける背後には悪質なセールス販売を行う組織が浮かびあがっていく。ヤクザの内偵調査で浮き彫りにされる事件の類似性が「探偵」めいた仕事をする成瀬の首を苦しめていく。最後の方の描写は勇気づけられる人もいるのではないだろうか。自分はそれよりも刊行当時の後ろ暗い世界を閉じ込めた作品に思えた。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
12

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『葉桜~』を読んだ勢いで読める気がしたので読む。元は「ぷに☆ふご~」というエロゲを小説版にしたもの。表層的には至極真っ当なポルノ小説。学園で起きた連続強姦事件を追う主人公が愛欲を頼りに閉鎖的な自己の内面世界を昇華させるべく物語は展開する。終盤で前向きな世界の肯定へ辿りつくのは、この時代のある意味では「幸福」な世界解体の欲望と意志表明だったと思う。役割語の氾濫でメタを補充していきつつ、接続助詞は整然としているのは少し面白い。しかしメタフィクションの限界もこの作品は期せずして提示してしまっているのではないか。
が「ナイス!」と言っています。
サイトー
いい題名だなと思って読むと冒頭の描写でやや面食らってしまう。読み終えて再び題名のことを、想う。成瀬は同じフィットネスクラブに通う女性から保険金詐欺と轢き逃げ事件が同一犯によるものだったのか調査を依頼される。次第に二つの事件を結びつける背後には悪質なセールス販売を行う組織が浮かびあがっていく。ヤクザの内偵調査で浮き彫りにされる事件の類似性が「探偵」めいた仕事をする成瀬の首を苦しめていく。最後の方の描写は勇気づけられる人もいるのではないだろうか。自分はそれよりも刊行当時の後ろ暗い世界を閉じ込めた作品に思えた。
が「ナイス!」と言っています。
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木良市で幾度も発生している連続放火事件の犯人を追う新聞部はある憶測の基に犯行現場を押さえようと奔走する。「元小市民」であるところの小鳩と小山内の姿に移り替わると彼らなりの感情が見えてくるのは読んでいて面白かった。地の文では一切描写されない小山内の内面は作中最大の謎として横たわり続けているが、他人をある意味では冷たく排し、そして少なからず利用してきた上での彼らの姿があると思うと、出しゃばりがちな推理への興味とその傲慢さが彼らの身にはね返ってきた過去もまたあったのではないだろうかと想像させるような巻だった。
が「ナイス!」と言っています。
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前作のとある出来事により関係を解消した小鳩と小山内。2年目の高校生活を送る彼らの街で連続放火事件が巻き起こる。事件を追う新聞部の瓜野や小鳩に好意を寄せる仲丸を介して描写される2人の姿は「小市民」の皮を被っていた俗人的な別の側面を1枚1枚剥きながら本性を露にしてゆく。上巻では事件と復讐の名のつくものに首を出さずにいられない性格が相変わらず頭を覗かせていて、趣味が高じて異常さや狂気の尺度が当てはめられる所は文民統制がまだ保たれている街(時代)ならではの味わいがあった。下巻で2人が無事でいられるか少し心配。
が「ナイス!」と言っています。
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英国で平凡な暮らしを送っていたアーサー・デントだけを残して地球と地球の生命体はすっかり消滅してしまった。友人であり人間を装った宇宙人で元銀河帝国の大統領、フォードと共に故郷を失くした彼の果てしない宇宙の旅路がここから始まる。ガイド社の銀河ヒッチハイクガイドを手にして──。 銀河を舞台にした大きなスケールで何をするかと思えば、みみっちい諍いやあまりにもくだらない応酬がこれでもかと盛り込まれたシリーズ第1作。その後のシリーズのタイトルが全て登場している。退潮とミーイズムの時代に生まれた愛おしいおかしさだった。
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巻頭の「まるで綿菓子のよう」が文庫書下ろしなのにびっくり。収録作だとその後に続く「シャルロットだけはぼくのもの」「シェイク・ハーフ」「スイート・メモリー」が個人的には好き。前作よりも短編集としてまとまりがあった。探偵的であることや「小市民」としての立場に筆が伸びていて、夏の茹だる気な焦燥感が苦みのように残るのが面白かった。本作の主題はともすれば読者にも訴えかけてくるけれど、続く季節の中で描かれる謎と探偵行為の一面を覗かせただけのようにも写った。
が「ナイス!」と言っています。
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「終章」で話が閉じていた方が美しかったとどうしても思ってしまった。しかしどうあれ、話の閉じ方は鮮やかな終わり方をしていた。タイムリープ現象の原因となった人物と出来事に焦点が当たってゆく下巻。因果律の操作を手放しで扱いそうになる題材で無条件ではなく限定的な時間遡行能力を展開していく話運びは簡潔であるからこそこの読み味が堪能できた。
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月曜日の過ごした記憶のないまま火曜日を迎えた翔香は、奇妙な現象を体験していることに気が付きはじめる。自身の日記には若松和彦に相談するようにと記されており、彼女はこの不思議な時間の空白をめぐる出来事の原因を解明しようと試みる。 下巻までの間に一連のタイムリープ現象についての仮説と条件が提示され、「どんな時間の飛び方をしているか」に説得的な骨組みが作られていくのはミステリ的な読み味が確かにあった。主題として入り組みやすい時間テーマを扱いながら人物を絞ってわかりやすさが保たれていることは筆者の為せる技だろう。
が「ナイス!」と言っています。
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それにしても過去にいわくつきの事件があった建物があるというのはなんと魅力的に写るものだろうか。そう改めて思わせる作品で面白かった。『十角館~』の惨劇から3年が過ぎた後でなおも中村青司の遺した館は住人とそこに訪れる者たちに人が人として縛り付けられてしまう因果を与えているかのようであった。鎌倉の森に建つ館に集った人々によって行われる交霊会と不可解な殺人を巡って江南と鹿谷が遭遇する異様な謎の仕掛けに施された謎は単純なのだが、それだけに江南が襲われた理由や館の真相は密室の変型を成して余りあるものがあった。
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サイトー
プチ・ブルよろしく自らを慎ましやかな「小市民」に位置付けていこうとする高校生の事件が繰り広げられる。互いの関係を「依存でなく互恵関係」と言い表すけれど、もちろん読んでいるこちら側にとってのそれは本作の数編で描かれるように依存関係にしか見えない。探偵であることを退いているのだけど、実際のところは積極的に事件に関わろうとする二人の姿には真相をつきつめたいということへの恐れ、自己内省と批判の矛先を永遠に回避するべく退潮させたい意欲が仄見えてくるのがほんの少し興味深かった。
が「ナイス!」と言っています。
サイトー
「家の家」「ビルディング」「うるう町」「ここはどこでしょうの旅⑦」がよかった。ありふれた街並みの風景でまだこういう表現・視点があるのか、という驚きと奇想がいつも凝らせれていて読んでいて楽しかった。どこにも存在しないはずの街やモノが読後にはふとどこかに浮ついていたり、溢れているかもしれないという気にさせてくれるのはこの作者ならではの作風あってのものだと思う。今回はまた新たなコマ割りや構図が出てきているのも面白かった。
が「ナイス!」と言っています。
サイトー
読みやすかった、ということに理由がある娯楽としての殺人芸術。単なる刺激物の謎が提供される読み物としての作品としてではなく、読み物として謎を用いつつ人物と事件の入り組み具合を語りの牽引力で纏い描く。そのために小説が小説として終わるような作品で佳かった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/07/22(667日経過)
記録初日
2022/07/25(664日経過)
読んだ本
125冊(1日平均0.19冊)
読んだページ
41180ページ(1日平均62ページ)
感想・レビュー
125件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
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