なんだこの話。特に悽惨な事件が起こるわけでもなんでもないが、前半から既に、独特の嫌なムードがずっと漂っている。得体の知れない化け物の、種明かしがされないような感じ。面白かった。

世にはびこる所謂「ファスト教養」的なものどもに対しての違和感や、反面抱いてしまう少しの共感を、著者が見事に調査・批評してくれている一冊。特に巻末にある参考文献の一覧を見ると、その全てを読み込んだわけではないにしても、その努力、誠実さに頭が下がる。 既存の社会や所与のシステムに最適化するだけの安易なショートカットとしてのファスト教養、イージーな自己啓発を取り込んでいく先で自覚無く肥大する、他者への想像力の欠如を詳細に解説する章は特に興味深く読んだ。

なんだこの話。特に悽惨な事件が起こるわけでもなんでもないが、前半から既に、独特の嫌なムードがずっと漂っている。得体の知れない化け物の、種明かしがされないような感じ。面白かった。