かなり体力のいる本だった。体幹を鍛えてまっすぐな姿勢を手に入れるための筋トレみたいな。ところで、昔の彼は「○○が俺よりいい大学に行くの嫌」「俺より名の知れた会社に入るの嫌」「どんなに仕事ができても女は結婚したら家庭に入るべき」「家のことを完璧にしつつパートで貯金して」「俺を立てて俺の親とうまくやって」と言ってた。彼の世界では、恋人や妻は俺のために進んで犠牲になって献身してくれる存在。交わらない世界線。彼は今、息してるだろうか。私は、少なくとも当時よりは楽だ。必要最低限の人としか話し合う気はなくなったけど。

綴られている期間と場所が自身の当時の生活圏と重なっていて、人の日記を読みながら、かつての自分が半透明の亡霊のようにちらちらと脳裏に現れる。私が成仏していない。「いったん流そう」にほろりとし、木島シャイ子に笑う。おさい先生のイラストも岸先生の写真も好き。おはぎ日記を外で読んでしまって、音を立てずに泣いた。死という絶対。大切な存在との別れ。私の人生から途中下車したあなた。あなたの人生から途中下車した私。一人残った私自身、握りしめた切符が何処行きなのか知らない。手を開いたときは自分との別れの時なのだろうか。

かなり体力のいる本だった。体幹を鍛えてまっすぐな姿勢を手に入れるための筋トレみたいな。ところで、昔の彼は「○○が俺よりいい大学に行くの嫌」「俺より名の知れた会社に入るの嫌」「どんなに仕事ができても女は結婚したら家庭に入るべき」「家のことを完璧にしつつパートで貯金して」「俺を立てて俺の親とうまくやって」と言ってた。彼の世界では、恋人や妻は俺のために進んで犠牲になって献身してくれる存在。交わらない世界線。彼は今、息してるだろうか。私は、少なくとも当時よりは楽だ。必要最低限の人としか話し合う気はなくなったけど。