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2024年9月の読書メーターまとめ

Sils
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感想・レビュー
11
ナイス
211ナイス

2024年9月に読んだ本
14

2024年9月のお気に入られ登録
1

  • 俵屋文太

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Sils
ネタバレ東北新幹線「はやて」車内という『グラスホッパー』より更に限られた空間で、物騒な業者が密集する。初読の折は王子が恐ろしすぎたが、今回は木村ファミリーのしたたかさも何とか楽しめた。鈴木のその後や、鯨に通じる特性も描かれる。人殺しがいけないのは国家の都合とか、ルワンダ虐殺の構造など、ヘビーな内容もあるが、七尾のつきのなさ、文学好きの蜜柑とトーマス好きの檸檬の掛け合いは、軽妙かつ示唆的で読みごたえがある。ラストも素晴らしいが、あの二人には本当に復活してもらいたい。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
11

Sils
ネタバレ業界紙『月間KAMI-ZINE』の懸賞付きクイズのキャラクター「紙人32面相」。図書館や古書店の本に剃刀の刃を仕込んだ「カミ人30面相」。どちらも密室がらみで、それは偶然ではなかった。塾でのカンニングのからくりまでも紙がらみ。カンニングというと、いつもなら弁解の余地なく卑怯卑劣と思ってしまうが、愛あるチームワークを応援したくなった。桜桃葉が装丁した本として『模型の家の殺人』が出てくるのも面白い。もはや紙鑑定かつ神探偵。
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ネタバレ前作同様、土生井の推理に渡部が動く流れかと思いきや、ご近所のフィギュア作家で、紅茶とジャズの好きな團との出会いで様変わりした。猫の虐待に使われた白い粘土、アメコミの事故紙、紙でできたペーパーナイフなどなど、紙鑑定の面目躍如。遺恨のある自然堂にダメージを与えられるのにそうはしなかった渡部。3話とも子どもが登場して彼らに癒しを感じたという。次作にも新たな展開がありそう。
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ネタバレ23年前に消えた相馬の友人。彼の捜索を母親から依頼された鑓水が見たのは、冤罪を生む下地となる司法の構造だった。思い込みや都合で情報を取捨選択し、短期間でそつなく役割をこなそうとする警察、検察、裁判所。組織より人、無辜の人を犠牲にせぬよう自白以外の証拠をじっくり積み上げてほしい。読後もその気持ちは変わらぬが、真犯人を逃がす覚悟もできず何とかならないかな。少なくとも、間違いや責任をしっかり認める組織の方が信用できる。子供時代から相馬はいいやつだった。鑓水と修司の勇気と機転に今回も喝采。
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ネタバレ東の青竜、京都大学。南の朱雀、龍谷大学。西の白虎、立命館大学。北の玄武、京都産業大学。陰陽五行説に由来した配置の大学が競うホルモーにまつわる物語。安倍らで五百代目なのだから、大学で競うはるか昔からホルモーは存在していたのだろう。吉田神社に奉納する「伝統の舞」にレナウン娘のCMソングが使われるわ、楠木がオニに新技をつけさせるわ。不易流行を感じる。京都の祭りや土地の雰囲気が、見えないものの存在する世界にしっくりくる。魑魅魍魎の跋扈する中、臆さず青春してるのが、おかしくもあり、少しまぶしくもある。
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ネタバレ世界中の様々なお料理やお菓子に出会えるカフェ・ルーズに行きたくなる。味わったこともなければ聞くのも初めてのものが多く想像が膨らむばかり。新型コロナウィルスのパンデミック後、生活や通念が変容し、考え方の違いに隔たりを感じたり、平和について思いを巡らせたりした日々。忘れかけていたものを思い出す。性、家族、結婚など、アップデートしているつもりでも、自分の中にまだまだ無自覚にある「普通」の傲慢さによって、人を傷つけてしまうかも。瑛子や円ほどの敏感さは難しくても、しなやかではありたい。
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ネタバレ神探偵と誤解された紙鑑定士、渡部圭がプラモデルを手掛かりに浮気調査を成功させ、家のジオラマから行方不明者を探す依頼を受けることになる。正しいことをして仕事を干されてしまった伝説のプロモデラー土生井の人柄と推理は好ましく、渡部とのコンビネーションも心地よいが、焼酎をガソリンに頭を働かせるのは心配。重い内容や緊迫した場面も、展開の速さや真理子の豪快さに助けられ頁を繰る手を止めずに読めた。紙やプラモデルの話も興味深い。装丁に作中で出てくる紙も使われている。本文に使われた4種類の紙、目でも指でもわからなかった。
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ネタバレ『マリアビートル』後の業界は、有名業者に依頼が集まり、無名の若手が手柄を狙う二極化の時代。腕利きの殺し屋「兜」が妻子を持ち生き方を考え直し、足を洗おうとしたために命を狙われる。恐妻家としても一流の「兜」。人情のあれこれを持たずに過ごしてきた彼が、いびつな形でしか表わせなかった妻への愛。可笑しみもあるが、いたって真剣なのが伝わる。「キッズパーク開園」のチラシがとってあったのがいい。菜の花印なのちゃんクリーニングもにくい。蟷螂の斧は図らずも父子の共同作業に。印影の「兜」が蟷螂の顔と前足に見えて仕方ない。
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ネタバレ東北新幹線「はやて」車内という『グラスホッパー』より更に限られた空間で、物騒な業者が密集する。初読の折は王子が恐ろしすぎたが、今回は木村ファミリーのしたたかさも何とか楽しめた。鈴木のその後や、鯨に通じる特性も描かれる。人殺しがいけないのは国家の都合とか、ルワンダ虐殺の構造など、ヘビーな内容もあるが、七尾のつきのなさ、文学好きの蜜柑とトーマス好きの檸檬の掛け合いは、軽妙かつ示唆的で読みごたえがある。ラストも素晴らしいが、あの二人には本当に復活してもらいたい。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ早期退職した主人公のおじさんが、純喫茶巡りを趣味にして看板メニューを頼むのだが、のんきな振る舞いと無邪気な感想に動揺する。コーヒーや料理の描写が素敵なのとは裏腹に「味わっている場合か!」と思ってしまう。だが家族や様々な知人から、時にはあたりも強く「何もわかっていない」と言われるのを読むうちに庇ってやりたくなる。恵まれていることに気がつかず、物事を熟考せずにしかたないと受け入れがち、って誰にもあることでは?と。結局、我が身を振り返ることに。わかってないなりに現実を見据えて、次のステップへの覚悟を決めたい。
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Sils
ネタバレ凄惨な話は避けがちだが、図書館でふと手に取ったこの本は、神戸の殺傷事件を彷彿とさせる設定でうろたえる。加害者や被害者や家族でなくても、また、正和やつぐみほど因果はなくても、罪の意識にさいなまれたり人生が狂わされたと思うとつらい。下種な報道や出版は消費する側の問題でもあると突き付けられる。言わなかった罪、逃げた罪で、言わないという罰を受け、そこに救いが生じるだろうか。秀和や母も重い。冒頭のくだりが、最後の方でやっとつながる。牧野のスピーチにあった「作品が、より良きものに光を与える存在であってほしい」に共感。
が「ナイス!」と言っています。
Sils
ネタバレ高2の時に父を事故で亡くした柏木聖輔は、大学進学で地元鳥取を離れ東京で一人暮らしていたが、母をも突然死で亡くし大学を中退。働かねばならなぬが適当には決められぬと焦るなか出会った惣菜屋「おかずの田野倉」。そこでの出会い、大学のバンド仲間、父を知る人など、人と情に寄る辺を感じつつ、目標を定め将来を見据えていく。聖輔は人への配慮が滲み出るいいやつ。鈍感な高瀬のおかげで余計に引き立つ。いいやつは人に譲って貧乏くじを引くと思われる場面もあろうが、人や心はむしろ豊かになる。譲る譲らないの境を見出す聖輔はかっこいい。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2024/07/07(106日経過)
記録初日
2024/05/31(143日経過)
読んだ本
54冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
16201ページ(1日平均113ページ)
感想・レビュー
37件(投稿率68.5%)
本棚
4棚
自己紹介

2024.6~
伊坂幸太郎さん、米澤穂信さん、坂木司さん、小川洋子さんが好きで、貪るように読んでいました。再読にあたり、これまで夢中で味わっていたものを、なんとか字に残し心に留めおきたく始めました。
季節労働者で活動にムラが生じますが、コツコツ楽しめたら…。

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