
ともに喜び、時に悲しみ、互いに思いあい、仲を深める。そうして他者から友人へ、そしていずれは自分を構成するのに不可欠な存在となる。 しかし他者とは完全には分かり合えない、同一の存在ではないからだ。それでも、その「わからなさ」を受け入れ、理解の範囲を広げようとする営みが本書では描かれている。 漠然と対話とは平和的な営みであると捉えていた。しかし本作を通して、それが必ずしもそうではないのではないかと感じた。
暴力と支配には強い親和性があり、暴力は常に支配を目的に行われる。だとすれば他者をコントロールしようとする行為には程度の差こそあれ暴力性があるといえるのではないだろうか。私たちが普段意識せず行っている会話や、何気ない日常のなかに暴力性が含まれていないとは言い切れない。他者との関わりは、自分という存在を揺るがし、不確かなものにする。そこには常にある種の痛みが伴う。それでもなお、私たちは他者と関わることをやめることはできない。その痛みを引き受けながら関わり続けることこそが、人と人との関係なのではないだろうか。
幻想怪奇小説を探しに古書店を徘徊するノンクオリア。ボルヘスやレイブラッドベリの著作を収集中。澁澤龍彦やその系譜の山尾悠子さんの作品も読みたいがなかなか手を付けられていない。
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