はじめての「辻村深月」。これぞ青春という作風に胸熱。筆者の言葉遣いが私の感性にマッチするらしく，文章が良いなぁと思いながら読み進めた。コロナによって多くのものを奪われた中高生が主役の物語だけど、様々な制限がかかって息苦しい生活を強いられたのは大人も同じ。だからこそ、この物語に強く共感できるのだと思う。

はじめての「辻村深月」。これぞ青春という作風に胸熱。筆者の言葉遣いが私の感性にマッチするらしく，文章が良いなぁと思いながら読み進めた。コロナによって多くのものを奪われた中高生が主役の物語だけど、様々な制限がかかって息苦しい生活を強いられたのは大人も同じ。だからこそ、この物語に強く共感できるのだと思う。

何しろ設定が私たち日本人には馴染み深すぎるのでどうしても"そちら”に目がいってしまうが，ストーリー的には巨大ロボ自体は主役ではない。男尊女卑の世界にあって，世のあらゆる理不尽に抗い，徹底的に戦い抜く主人公・則天の苛烈な個性と生き様こそがこの物語のテーマだ。「私たち女子には無限の可能性がある」ーー武則天の立ち居振る舞いにはそんなメッセージが込められていると思う。

『ハンガー・ゲーム』のような話だった。過酷な環境からの脱出劇という点では似ているが、派手な戦闘ものではない。スティーヴン・キングの小説のようなホラーっぽい要素や、生々しくて思わず目を背けたくなるような残酷さが強く印象に残る。女性というだけで無言のうちに課せられる様々な制約や差別、偏見と徹底的に戦う小説であり、そのような理不尽な立場に追いやられ、抑圧されているすべての女性を奮い立たせる物語でもある。想像の斜め上をいくラストは感動的。