アメリカによる秩序が崩壊しグローバル経済が従来通り機能しなくなった社会では、各国・地域の地政学的な条件や人口推移の状況により、生き残るための条件は異なる。 下巻では、エネルギー、工業用原料、製造業、農業といった分野毎に、秩序後の世界について考察されている。 基本的には、資源と生産と消費が近接し輸送上のリスクが少ない地域が有利になるという。グローバル化が進展する前の条件に戻って考えることが必要になるが、日本のような狭い島国に多くの人口を擁する国では、生き残りに向けた戦略が難しいことは間違いないと思われる。

アメリカによる秩序が崩壊しグローバル経済が従来通り機能しなくなった社会では、各国・地域の地政学的な条件や人口推移の状況により、生き残るための条件は異なる。 下巻では、エネルギー、工業用原料、製造業、農業といった分野毎に、秩序後の世界について考察されている。 基本的には、資源と生産と消費が近接し輸送上のリスクが少ない地域が有利になるという。グローバル化が進展する前の条件に戻って考えることが必要になるが、日本のような狭い島国に多くの人口を擁する国では、生き残りに向けた戦略が難しいことは間違いないと思われる。

第二次大戦後、世界経済のグローバル化が急速に進展し、資源の調達や製品の輸出先を世界中に拡大し、経済発展を遂げてきた国も多い。 このようなグローバル経済を支えてきたのは、圧倒的な軍事力と経済力を得たアメリカの力によって、世界の海上輸送の安全性や世界通貨ドルの支配といった秩序が形成されていたためであるという。 本書では、アメリカを中心とした世界秩序が崩れつつある今、そのような秩序を前提とした世界も崩壊する、という事実が豊富なデータを基に示されている。グローバル経済の弱点が強烈に問題提起されており悩ましい。

私たちの日常の多くは無意識の行為に支えられている。全ての行為を常に考えて意識して生活していたのでは、必要以上に心配や焦燥が発生し、平穏な日々を送ることができなくなるという。しかし一方で、考えずに行動することは、うまくいっているうちは良いが、問題が生じた場合には原因や理由が見えてこないという欠点もある。 このような不可解な無意識の世界について、心理学や心理療法という観点における様々な考え方を交えて解説されており、考えさせられる。著者によれば、無意識の本質は、自己了解にあるという。