風が吹けば桶屋が儲かる方式にどんどん連想を展開して思考の自家中毒に陥る主人公。若い人は思い込みが激しくて大変だなぁという感想なんだけど、十代じゃ色々知らなくても当然だよね

事件物の誰が？なぜ？どうやって？の三本立てに、脱税スキームのなぜ？どうやって？が加わるので構成が複雑で、舞台も熱海にアメリカ本土にハワイにシベリアと、ネタが盛りだくさん。その上とどめとばかりに、係累を辿ると○○に繋がるんです！の八墓村方式まで。読んでるだけでも情報処理に戸惑うのに、書いてる人はすごい！「国家はただの道具だ。利用できる人間が利用すればいい」ところが大多数の人間は国家に利用される側だ。人類共通の敵は国家かもしれないと途方に暮れる読後感

「日本の凋落を決定づけたのは安倍晋三元首相の長期政権だった」この主張の裏付けをまとめた本でとても分かりやすいけど、「銃殺された」と書くのは悪趣味が過ぎる。経産省出身の著者は諸悪の根源は経産省！と言い、財務省出身の森永さんは『ザイム真理教』で諸悪の根源は財務省！と言い…ホームグラウンドはよく見えるんだろうな。「ある財務省幹部OBは「三年以内に日本は破綻すると思う。絶対に」」財務省がそれを言うのか…。もうね、今の日本がなぜこうなっているのかが色々説明がつくね

文体含めて色々と荒いけど、時代かなぁ。高い知能の男が同じく知能指数の高い子どもたちを選別しているのを「歪んだ優生思想」で片づけているけど、単に自分に似ている人に好感を持つ類似性の法則なんじゃないのかな？だとすればラストの「仲間だ」というセリフとつなげて、どういう人たちと仲間になりたいかという基準が人それぞれ違うんだよーというきれいなお話でまとまった気がするんだけど、「歪んだ優生思想！謎の組織！」てな方に行っちゃうからいやいやｗてなっちゃいました

風が吹けば桶屋が儲かる方式にどんどん連想を展開して思考の自家中毒に陥る主人公。若い人は思い込みが激しくて大変だなぁという感想なんだけど、十代じゃ色々知らなくても当然だよね

その、消費税全廃というのを一度やってみてほしい。だってずっとこのままではこのままではって言いながら増税してるけど悪くなる一方なんだし

死亡率の高い職場で使い捨てされる若者が労組「人間の砦」結成。関係ないけど石川達三の日教組の話は『人間の壁』。人が人を同じ人間とみなすだけのことが、なぜこんなに難しいのか？敵が巨悪なので読んでいる間ずっとハッピーエンドを祈っていたけど、これ自体が太田さんの祈りなんだなと思った。小説は現実を俯瞰する。共謀罪も、皆が忘れたころに政府の悪意によって発動するのだろう。現実が本書のように清々しいムーブメントで終わるはずもなく。でも登場人物で一番リアリティあった紙コップ氏に同意しないだけでも、社会は変わるぞ！