いかにも志麻子さんらしい、ねっとりとした怖い話でした。岩井志麻子と横溝正史のせいで、岡山弁は不穏な印象が。楠子は、甲斐荘楠音へのオマージュかな。去年開催されていた甲斐荘楠音展に行きそびれたことを思い出しました。彼の描いた怖いような美しいような儚いような、それでいて図太くも思える女性が、岩井志麻子の作品にはピッタリです。

キッカケの殺人事件とは全く別の着地点で、少し肩透かしです。後半の展開も急で無理矢理感も。

相変わらず胸の痛くなるような人生を見せてくれます。ほんとに救いのない話で、読んでいて辛かったです。シリーズ前作も読んでいたはずですが、全く記憶になし。 余談ですが、白石さん、細やか過ぎて兄だったらちょっと気持ち悪くて鬱陶しいかも。

真梨作品は、どんな展開のオチになっても良いから、ある意味作者は楽かもしれません。今回もまさかこの人が絡んでいたとは思わないラストでした。次はどんな作品が出て来るんだろう？

一枚岩の平家一門の中では、ちょっと浮いた存在だった池殿こと平頼盛が主人公の謎解きもの。う〜ん、やっぱり池殿あんまり好きじゃないので、私にはイマイチでした。