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2024年2月の読書メーターまとめ

MUNEKAZ
読んだ本
11
読んだページ
3439ページ
感想・レビュー
11
ナイス
165ナイス

2024年2月に読んだ本
11

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

MUNEKAZ
もとはオックスフォードのベリショ。原題は「北米植民地」みたいな感じかな。ヨーロッパからの植民者が、先住民を一方的に排除してみたいなお話を打ち砕く、多様なアクターがせめぎ合う闘争の場として北米植民地の歴史を描く。イギリス、フランス、スペインが設けた植民地を個別に紹介することで、その置かれた状況や先住民との関係の違いが把握しやすく、単線的な歴史理解を改める助けになる。これら複数の帝国を束ねた先に「アメリカ合衆国」という新たな帝国があり、本書がハワイ王国の併合で終わっているのが何とも象徴的に感じるところである。
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2024年2月にナイスが最も多かったつぶやき

MUNEKAZ

2024年1月の読書メーター 読んだ本の数:11冊 読んだページ数:3906ページ ナイス数:209ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/577057/summary/monthly/2024/1

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2024年2月の感想・レビュー一覧
11

MUNEKAZ
やっぱりある時期までのアメリカ政治のキモは、連邦と州の権限争いにあるよなぁと本書を読んで思う。歴代のアメリカ最高裁判事たちの重要判例を紐解きながら、現代日本のような中央集権国家に生きている身にはなかなかピンとこない、連邦VS州というアメリカ政治史の底流にある闘争がよくわかる。人種差別も中絶問題も州の自律的な立法を尊重するか、連邦による規制を認めるかの憲法解釈にかかっている。そこに判事たちの属人的な要素も絡まって、読み物としても面白い。アメリカの成り立ちが、自立した植民地の連合であることを再認識させられる。
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MUNEKAZ
ワシントンってアメリカ初代大統領として誰もが知る存在だけど、んじゃ何した大統領なのと聞くと意外と見えてこない。むしろジェファーソンやハミルトンの方が政治家としては目立っている。それじゃお飾りだったのかというとそうではなくて、共和政ローマを理想とし、自らの「徳」で共和国をまとめようとした稀有なリーダーの姿が浮かび上がってくる。戦争の英雄から独裁官にもならず、王の如き終身大統領にもならなかったのが一番の功績なのかも。イギリス流の王のいる共和政ではない、大統領のいる共和政という新たな形を築いた人物である。
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MUNEKAZ
もとはオックスフォードのベリショ。原題は「北米植民地」みたいな感じかな。ヨーロッパからの植民者が、先住民を一方的に排除してみたいなお話を打ち砕く、多様なアクターがせめぎ合う闘争の場として北米植民地の歴史を描く。イギリス、フランス、スペインが設けた植民地を個別に紹介することで、その置かれた状況や先住民との関係の違いが把握しやすく、単線的な歴史理解を改める助けになる。これら複数の帝国を束ねた先に「アメリカ合衆国」という新たな帝国があり、本書がハワイ王国の併合で終わっているのが何とも象徴的に感じるところである。
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「長い19世紀」に関する認識のアップデートにはちょうど良い一冊では。国家体制の変容やジェンダー関連、ユダヤ人に関する話題などドイツに言及した章が多めかな。また総論を書いている方がイタリア史の専門なので、英仏に偏らずイタリアに関する言及が多めなのがちょっと新鮮な印象。両国とも19世紀に「生まれた」強国であり、時代精神を代表するところがあるのかもしれない。奴隷は開放するけど移民は酷使する。「文明化の使命」を唱えながら植民地を獲得する。この理想と傲慢のダブスタ具合が帝国主義の時代らしいところである。
MUNEKAZ
2024/02/23 00:01

読メだと登録がヘンで、ロシア民話を扱った本の感想が表示されている。

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MUNEKAZ
ベル・エポック期のヨーロッパの文化をサクッと総覧できる一冊。産業や芸術はもとより思想でもめちゃめちゃでかい転換点だよなぁと読んでてしきりに思う。これまで「宗教」が担っていた部分が「科学」に置き換わっていくというか、「神が告げた」から「専門家が述べた」に物事の正統性を判断する重点が移り変わっていく様に感じられる。差別も偏狭なナショナリズムも全部「科学的な」根拠が求められる時代に入った。そしてそれは今も続いている。
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MUNEKAZ
世界史の教科書で扱われる万博はロンドンの第1回だけど、本書はパリ万博。ナポレオン3世の晴れ舞台という印象も強いが、そのデザインを描いたのはサン・シモン主義を信奉する官僚だった。というわけで「万有」の博覧会。すべての産業製品を一堂に会し、高度資本主義の精神をフランス国民に教育する場として万博が開かれたとする。でもこの精神ってどこまで後世に伝わったのだろうかな。最終的に目指したのが常設のでかい博物館だったというあたり、今の国際イベントとは全然違うよなぁと。高邁な理想は風化し、非日常の祝祭が残ったということか。
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1848年のウィーン革命を民衆の視点から描く。べらんめぇ口調のウィーンっ子たちに導かれながら、楽しい乱痴気騒ぎだったはずの革命が、無慈悲な皇帝軍との対決まで怒涛のように流れ込む様を巧みに読ませる。市民革命の主役の「市民」がそもそも一枚岩ではないこと、つまり城壁の中の「市民」と壁の向こうの「労働者」という断絶。さらにこれにの民族間の緊張関係が重なり、革命側の内情を混沌としたものにさせる。1848年に立ち上がった「市民」とは何なのか。貴族VS民衆という単純な構造では捉えられない問題を考えさせてくれる。
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MUNEKAZ
後半は芸術や科学の動向、女性の社会進出、大戦直前の政治状況の分析を扱う。正直、教養が足りないので文化史の部分は流し読みなのだが、今の大衆社会の原型がこの時代にあるのかなと。そしてその根底には自由主義と資本主義が世界を進歩させるという楽観があり、それが大戦で全部ご破算になりましたよと。というか何より本書で分析されているのは、ほぼヨーロッパの話題であって、アメリカもアジアも刺身のつまのような扱い。19世紀というのが、まさにヨーロッパの時代であり、そのスワンソングの時を(左派の立場から)描いた一冊として読める。
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MUNEKAZ
読み始めてから気付いたが、これって三部作の3つ目なんだね。無知なので全然知らず「以前に述べたように~」が頻出するから、ちょっと焦った。内容としてはWWⅠまでの40年間を、一流の歴史家が重要なトピックごとに語るという感じ。難解なのだが、たまに出てくるレトリックや指摘にハッとしたりして、やっぱりそういうところに大家の著作を読む楽しさがある。「ナショナリズムは軽いカクテルとして嗜まれた時に、本当の人気を得た」なんて、言い得て妙だと思いませんか。民族社会主義なんて珍妙なものが生まれた側面を上手に掬い取っている。
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MUNEKAZ
プランテーションでの砂糖の大量生産・大量供給が、近代社会に与えたインパクトを様々な角度から検証する一冊。読みどころは、やはり第2章の「生産」に関する部分かな。ヨーロッパに先駆けて新大陸で行われた「プロト工業化」として、砂糖生産を扱っている。まぁこの辺の議論がピンとこなくても、砂糖と人類の歴史的な関係が人類学の見地から書かれているので、単純に砂糖にまつわるトリビア本としても楽しめる。オチの現代社会(刊行時のね)を扱った章は、なんとなく学部生時代に読んだ社会学の本を思い出したり。面白いです。
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MUNEKAZ
「食」を通して、大英帝国のキモが土地ではなく交易のネットワークにあるということを示す一冊。ヒト・モノそして食物が行き交い、各地の食文化を破壊し、混交し、創造する様は興味深い。南米原産のとうもろこしが、アフリカやインドの伝統食に使われ、西アフリカ発の米作りが、北米植民地の胃袋を支える。ただそのネットワークは本国イギリスの食生活を支えるのが第一義であって、戦時には本国のために植民地は切り捨てられる。WWⅡ中、配給が全国民に行き渡ったブリテン島と、何百万人という餓死者を出した英領インドの差は鮮烈である。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/05/22(3268日経過)
記録初日
2015/05/10(3280日経過)
読んだ本
1197冊(1日平均0.36冊)
読んだページ
374020ページ(1日平均114ページ)
感想・レビュー
1172件(投稿率97.9%)
本棚
12棚
性別
現住所
愛知県
自己紹介

歴史関係の本ばかり読んでます。

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