「盗み喰い」市井もの。体の弱い仕事仲間に夫婦仲を約束した女を取られた。本心からの心配だったのか/「滴る汗」公儀隠密。隠密3代目の商家の主人が素性がバレたと思い身の回りの怪しいものを処分するが…。読みながらドキドキした。/「幼い声」市井もの。仕事と親方の娘とも順調。そんな男が罪を犯した幼馴染の女に親切にしたが所詮他人のうわべの同情と見抜かれた/「夜の道」市井もの。裏店の娘が嫁入り前、商家の女に「自分の娘かも」と言われ思い出す/

「おばさん」市井もの。夫に先立たれ沈んでいた時に出会った若者と一緒に暮らして元気が出るが…。読んでいて少し辛かった。/「亭主の仲間」市井もの。商家をの夫が日雇いになり、そこで仲間が出来たと好人物に見える若者を連れてきたが…/「おさんが叫ぶ」市井もの。度の超えた無口の奉公人の娘が好きな人と出会い話せるようになる/「時雨みち」市井もの。女郎で働く若い頃捨てた女に昔の懺悔で金を渡そうとするが断られその女は消える。自分は女を捨てて大店の主人になったものの恵まれた家庭ではなかった。人生やり直しがきかない。

「意気地なし」市井もの。裏店に住む娘が近所の妻に先立たれ残された父娘を放っておけず世話をする/「秘密」市井もの。隠居老人が庭で昔を途切れ途切れに思い出す/「果たし合い」武士もの。厄介者の部屋住として生涯の大半を過ごしてきた男が唯一家族と思う甥の娘を助ける/「鱗雲」武士もの。助けた女は敵討ちにいく。許嫁が変わっていく。