…そうすることで仮想の構成員を生きているだけなのだ。そして、ときにはそれに自分で押しつぶされ、あるいは押しつぶされる前に自死を選ぶよう自らを追い込んでゆくのだが、本来の組織から見れば、そういう自分たちの思いのすべてが幻想であり、組織の論理や、それへの自負や執着もまた幻想だろう。/否、この幻想はただの幻想ではない。ありもしない幻想の集合に対して、ときに三好のようになにがしかの抗議の声を上げる者がいるのは、まさに自らが人間として生きるためにほかならないのだ。ただ抗議によって人間になり、ただそれだけを支えに、…
… 自分たちは日々警察官という幻想の存在を生きているということだ。否、見ているのは幻想だが、その幻想に震わされているこの体験だけは現実だというところに、自分たちの〈いま〉があるというべきか。そうだ、組織で生きる苦しさとは、幻想でしかないものが身体の体験となる、この一人芝居のことなのだ──。”
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長文感想[https://washibane.hatenablog.com/entry/2024/10/31/220824]