読書メーター KADOKAWA Group

2025年2月の読書メーターまとめ

平楽
読んだ本
8
読んだページ
3030ページ
感想・レビュー
8
ナイス
155ナイス

2025年2月に読んだ本
8

2025年2月のお気に入られ登録
1

  • レイ

2025年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

平楽
古き良き英国推理小説の雰囲気を着々と築き上げていくミステリー作品。物語冒頭から作中作であること、探偵役であるアティカス・ピュントの余命が幾ばくも無いことが示されていることから、一筋縄ではいかない物語が展開されると思いきや、上巻である本書は事件の舞台である、とある村の人間模様を徹底的に描いていく地味なつくり。ただ、演出の妙技が素晴らしく、だれることなく読み進めていける。事件をきっかけに、村人達が疑心暗鬼になっていく様がリアル。次第に人物間の相関図と時間表が克明に浮き上がってくるのが心地良く、読み応えがある。
が「ナイス!」と言っています。

2025年2月の感想・レビュー一覧
8

平楽
下巻冒頭で唖然。上下巻の分冊が、これほど意図的かつ意義的に機能することに驚いたし、単純ながら作中作でこの手法をとった作品はありそうでなかった。古典ミステリーから現代ミステリーの移行はスムーズだし、互いに散りばめられた要素を照応しながら謎解きが進む展開も実に画期的だ。ただ、現代編の登場人物、主人公のスーザンも含めて性格悪すぎやしないかい? 作家も編集者もガチで嫌い合っている。読者として、この人達が作った本を読まされるのは、ちと微妙な気分になる。もちろん、この読み心地も含め著者の企図するものなのだろうけれど。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
古き良き英国推理小説の雰囲気を着々と築き上げていくミステリー作品。物語冒頭から作中作であること、探偵役であるアティカス・ピュントの余命が幾ばくも無いことが示されていることから、一筋縄ではいかない物語が展開されると思いきや、上巻である本書は事件の舞台である、とある村の人間模様を徹底的に描いていく地味なつくり。ただ、演出の妙技が素晴らしく、だれることなく読み進めていける。事件をきっかけに、村人達が疑心暗鬼になっていく様がリアル。次第に人物間の相関図と時間表が克明に浮き上がってくるのが心地良く、読み応えがある。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
女二人の共依存と支配をテーマにしたイヤミス作品。物語冒頭からずっと違和感が付き纏うのだが、中盤に差し掛かるとこの作品のミステリー的仕掛けに気付ける。ただ、そうするとどんでん返しとしては弱いのでは? との違和感がまた付き纏うわけだが、それもまた著者の巧みな心理誘導という何とも企みに満ちた構造が素晴らしい。細かな日常描写と登場人物が誰しも普通なようでいて変というのが読みどころ。メインの二人だけでなく、脇に控える人々も皆、何かしらの悪いもの=認知バイアスに取り憑かれている。正しく愛こそ最大の呪いというわけか。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
現代に生きる誰しもが逃れられない社会問題を扱った社会派ミステリー。本作が発表されて二年以上経た後、相模原の殺傷事件が起きるわけだが、こういうソシオパスが現実に生み出される社会土壌の穴がいよいよ見て見ぬふりができない規模にまで拡大している。本作のメインテーマとなる高齢化社会と介護の問題は人口統計学的に予測できたもので、その歪みのしわ寄せは社会的弱者にくる。ただ、この先下手をすると一億総社会的弱者となりかねない未来においては誰しもが当事者になる問題であり、圧倒的なリアリティを持ってこの物語が身に迫ってくる。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
アフリカのソマリアを舞台に自衛隊がドンパチするミリタリー冒険小説。西部劇を彷彿とさせる活劇はスピード感溢れ、リーダビリティ強し。ひょっこり現れ、自衛隊を戦地に巻き込むヒロインの魅力が薄かったり、終始ご都合主義な展開で引っかかる箇所は多数存在するが、それでも勢いと平易な文体で魅せるバランス感覚の妙技で最後まで退屈することはない。死地の中、各隊員の脳裏に浮かぶフラッシュバックが自衛隊という組織の報われなさ、歪さを掘り下げていく演出がかなり良い。映画的な映像表現が文章化されており、娯楽小説として仕上がっている。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
ライトノベルの文脈で描かれる「知る」をテーマにしたSFエンタメ。情報過密社会のアイデアがガジェット優先で描かれている。近未来の世界観ながら目新しいものはなく、むしろ懐かしさすら感じるのは脳に装置を埋め込まずとも携帯装置で大概の情報取得や発信が可能になった今の世を体験しているからだろう。生成AIがネットを走る中で人が知的超人になる必要性は感じない。むしろオフラインでの知的探求に重きを置いた方が個性的になれるとすらいえる。情報過剰に疲弊した時代において、本作が提示する「すべてを知る」という行為は余りにチープ。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
大学内の駄目だこりゃなドタバタ劇と文学批評のアカデミックな講義を立ち替わり繰り返し記述したメタ文学作品。唯野教授の軽佻浮薄な立ち回りと、大学人としての講義のクオリティの高さが対照的。文学批評の概観が掴め、勉強になる。高い能力があってもそれを隠し、出る杭にならないよう苦心しなければ大学組織に居場所はない、という何ともいえない残念な組織全容が(多分に誇張はあるだろうが)、案外どこの業界でもあるあるな話でげんなり。地ならし、おべっか、裏金と学問とは関係ない要素が幅を利かし、案の定、崩壊に行き着くのが実に風刺的。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
系図屋という耳慣れない職業の探偵が文字通り奔走するミステリー作品。トリックや心理誘導などのミステリー要素ではなく、あくまで系図に拘り抜いて事件を解決する手法が珍しい。姓名、戸籍謄本、家紋を辿ることで事件の犯人に迫る。和歌山の紀伊大島を駆け回ったり、ノルマントン号事件の経緯を辿ったり、目まぐるしくも忙しい。大正風な世界観の構築や文体、膨大な参考文献の渉猟など著者のこの作品にかける意気込みがページの端々から感じられる。奇想天外探偵小説と銘打たれているが、実態は地道なフィールドワークの連続で読み応え十分だった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/03/09(5113日経過)
記録初日
2011/01/03(5178日経過)
読んだ本
1821冊(1日平均0.35冊)
読んだページ
592517ページ(1日平均114ページ)
感想・レビュー
1821件(投稿率100.0%)
本棚
446棚
性別
血液型
AB型
自己紹介

平楽と書いてタイラと読みます。暇をみては読書に励むも、積読本の山が崩せず、自責の年にかられる日々。本は貯まれど貯蓄は貯まらないセンスオブワンダーを絶賛体験中。“なるようになる”をモットーに、平穏で楽しい暮らしがおくれるよう、鋭意努力しております。

崇拝する作家四天王
稲見一良/皆川博子
アルフレッド・ベスター
ホルヘ・ルイス・ボルヘス

好きな作家七傑
伊坂幸太郎/乙一/京極夏彦
古川日出男/道尾秀介/森見登美彦
ジョージ・R・R・マーティン

偏愛する作家三怪人(←失礼)
舞城王太郎/麻耶雄嵩/ジョナサン・キャロル

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう