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2024年10月の読書メーターまとめ

平楽
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感想・レビュー
15
ナイス
124ナイス

2024年10月に読んだ本
15

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

平楽
初読みの作家さん。滅茶苦茶面白かった。硬軟入り混じる短編集でネタの引き出しの多さに終始圧倒された。収録作の中でもお気に入りは「加速してゆく」「恋澤姉妹」「11文字の檻」の三作。特に表題作の「11文字の檻」は状況設定から問題解決に至るまでの経緯の斬新さが素晴らしく、この人天才じゃね? と心底感心した。不条理なルール、AI、人間の脆弱性を的確についていく手腕は完璧な脱出ゲームものとして後世に語り継がれるクオリティに達している。おまけに自作解説がユーモアに富んでいて本当に笑える。隅から隅まで大満足の一冊だった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
15

平楽
強烈な幻魔感に満ちた作品。自分とは何か? 自分が見ている世界は定かなのか? という問いかけをこれでもかと繰り返してくる。表題作の読書体験はかなり危険で、人・場所の入れかわり立ちかわりが激し過ぎて頭がおかしくなる。勝手に喋る舌を止められない老教授を描く「マダー・タング」の絶望感も相当心を削ってくる。クリーチャー要素をなくしてサイコスリラーに全振りした『サイレントヒル』のような短編集といえば分かる人には分かるかも。ただ、収録作中、唯一のユーモア作品である「九十に九十」の編集者の悲哀ぶりが一番面白かったりする。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
源氏物語の宇治十帖を語り直す、というか騙り直す大著。その語り口は独特で、この著者ならではの世界の流れを著述するという壮大でクロニクルな展開を積み上げていく。物語が分裂し、競合し、融合し、混沌を成す様は読んでいて頭がこんがらがってくるが、これぞ物語が生み出す世界そのもの。現世など所詮虚構の集合体であり、虚構より幾筋もの現世が生み出されるというメタ的な感覚を得られる。案外自分達の世界を取り巻く社会や歴史なども、偽書や偽史の集積で形成されているのかもしれない。人は何度裏切られようと、都合の良い嘘を好むものだ。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
初読みの作家さん。滅茶苦茶面白かった。硬軟入り混じる短編集でネタの引き出しの多さに終始圧倒された。収録作の中でもお気に入りは「加速してゆく」「恋澤姉妹」「11文字の檻」の三作。特に表題作の「11文字の檻」は状況設定から問題解決に至るまでの経緯の斬新さが素晴らしく、この人天才じゃね? と心底感心した。不条理なルール、AI、人間の脆弱性を的確についていく手腕は完璧な脱出ゲームものとして後世に語り継がれるクオリティに達している。おまけに自作解説がユーモアに富んでいて本当に笑える。隅から隅まで大満足の一冊だった。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
前回の事件から傷心の探偵葛城を励ますため、学友と共に彼が引きこもる青海館へ赴く助手の田所。よもや探偵が住まう館が事件の舞台になろうとは。前回同様、差し迫る天変地異に起こってしまった殺人事件。傷に塩を塗り込むような展開に葛城のメンタルはもうズタボロ。しかも彼の家族は皆、何かがおかしい。おまけに助手の田所はもっとおかしい、とどんだけ探偵をいじめ抜けば気が済むんだ? 著者の悪魔的プロットの冴えにドン引き。複雑怪奇な事件の様相にページ数も分厚くなろうというもの。しかしこの事件の顛末、被害甚大でこの先どうすんねん。
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平楽
ポストアポカリプス或いはディストピア的な世界観なのに、その中でそれなりに順応した人間達が絶望することなく暮らしている。この独特な空気を体現したユーモア短編の数々は新しくも懐かしい。収録作「たのしい超監視社会」は著者自身の解説にある通り、オーウェルの先を行った向き合わねばならない現代性を帯びている。「宇宙ラーメン重油味」の馬鹿々々しさは楽しく、表題作「人間たちの話」の切実さは身につまされるものがある。人間=自分をサピエンス(賢い)と呼ぶ唯一の哺乳類。という著者のスタンスが良い。表紙イラストも実に合っている。
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平楽
発売当初、SF界隈でちょっとした話題になっていた本書。ライトノベルでありながら現代SFや量子力学の良質な入門書となっており、とても勉強になった。自分以外の人間がロボットに見える毬井ゆかりを中心人物とし、主人公の波濤マナブが駆け回る。哲学的ゾンビ、フェルマーの原理、平行世界に万物理論とこれでもかと難しいSF要素を詰め込んでいるのに、作中の流れを損なうことなく、自然に分かり易く解説されているのが素晴らしい。シスターフッドもののライトノベルとしてもきちんと読み応えがあり、運命に抗う主人公を素直に応援していた。
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平楽
表題にあるような恨みの要素は薄め。黒髪が日本の怪談や怪奇幻想文学においてどのような役割を担ってきたかを詳らかにする作りとなっている。短編あり、インタビューあり、エッセイあり、今や懐かしき貞子論ありと、バラエティ豊かなアンソロジー。編者はアンソロジストとして定評のある人だが、流石の碩学で作品のセレクションと流れが実によく考えて編まれている。怖いというよりも純粋に興味深いといった印象。髪の話を怪奇という形で、よくここまで深められるよなと感心した。ただラストにどえらい資料をもってきており、これには背筋が凍った。
平楽
公式が認める二次創作集とは面白いことを考える。同人誌的なノリなのかなと思いきや、どれも素人離れした珠玉の短編作品ばかりで予想外だった。個人的には「explode/scape goat」、「The happy Princess」、「マルドゥック・クランクイン!」の三作品が推し。前述二作品は<マルドゥック>シリーズの正統スピンオフといった感じで本格的なSF短編としても十分読ませる骨太なものだった。後述の一作品は変化球かつコミカルな仕上がりでこういう参加の仕方もありか、と二次創作をメタしたユニークな作品だった。
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平楽
まぁ、読み通して一言でいってしまうと、駄作。何が悪いかははっきりしている。主人公に全く共感できないことだ。人の生き死にをショー仕立てにした賭博のノミ屋、十九歳女子。何で、こんな主人公デザインした? しかも薄っぺらい思考を垂れ流しっぱなしの一人称形式。いくら世界観凝ったり、文体を工夫してもキャラクター小説でこのキャラはあかんて。ストーリーも空中分解のご都合主義。この主人公のために命を賭ける仲間って、相当アレやぞ。ラストも着地出来ず、それっぽい独白で無理矢理(完)。寒過ぎる。酷い作品には酷い感想しか書けない。
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平楽
どえらいもん作ってもうたぁ、からのでドタバタ劇が壮絶。南方熊楠を主役に昭和初期に活躍したそうそうたるメンバーが集い、畏れ多くもヤベェ自動人形を作り上げる。粘菌コンピュータなる発想も凄いが、昭和考幽学会なる怪しさ爆発の秘密団体が繰り出す悪ノリし過ぎなイベント企画がもう本当におバカ。宗教、哲学、心理学、博物学にロボット工学まで全部ごった煮した悪夢の闇鍋パーティーといった感のある奇想SF長編。思いついてもまず書けん、というか途中で空中分解しそうな大ネタながら、見事にギリギリの綱渡りで書ききった著者の豪腕に脱帽。
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平楽
冒頭、いきなり表題作で頭をガツンとやられた。強烈な作風が多い著者の中でも傑作短編に焦点を当てた本書。饒舌体とも呼べる独特な文体ながら、大変読み易い。ただ、それ故にシームレスに狂気の世界へ連れていかれるので注意が必要。この著者の何が凄いかって、ゴリゴリの怪奇小説ながらほぼほぼ超常現象が起こらないこと。人間の頭の中の狂気だけを抽出して、恐ろしいほど不条理で悪夢的な世界を構築している。「いなか、の、じけん」など説話風な物語が複数提示されるのだが、その田舎住民の狂気というか愚行の列挙に開いた口が塞がらなくなる。
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平楽
【再読】ルサンチマンを拗らせたユーモア・マジックリアリズムといったテイストがこの著者の持ち味なのだが、本書はかなり異色で、真面目に幻想怪奇小説の王道を突き進んでいる。単行本を読んだ学生時分は、モリミーにしては地味な作品だな、とあまり印象に残らなかった。ただ、大人になって読み返すと印象は激変。一編一編、様々な考察の余地があって、連作短編集としてかなりレベルの高いことをしている。全編を通して見え隠れするケモノの不気味さや京都という舞台を仄暗く照らす筆力の冴えは相当なもの。怪しげな古道具の不穏さも素晴らしい。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
相変わらず人間の狂気を描く手腕が凄まじい。収録作五編全部ぶっ飛んでいる。ここから、こうきて、こうして、こう! 何で!? という感じに話の展開がわけわからん。人間って脳を発達させて知性を獲得したのではなく、単に肥大した脳によって狂ってしまったイキモノなのではないか、と思ってしまう。収録作の中でも一番すんなり読めたのは「パッキャラ魔道」。壮絶な玉突き事故に巻き込まれたとある家族。父さんの救助活動がきっかけで家族が壊れ、地獄の結婚式に至るパオパオパンパンパン! な作品。ちょっと自分でも書いていて意味がわからん。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
バブル時代のスパイ対決と近未来ディストピアがセットになった中編集。著者が度々テーマにしている監視社会を前面に出しつつ、八組の作家の共同企画<螺旋プロジェクト>の一角を占める。表題作は嫁姑戦争に東西冷戦を絡め、どうにも頼りなくて危なっかしい夫を守る物語。軽妙かつ含みを持たせた展開は後の「スピンモンスター」に繋がるのだが、これ一編でも十分に楽しめる。アナログとデジタル、人智と人工知能といった照応から、次第に分断と戦争という重い問題を深堀していく手際がこれまでになく鮮やか。天秤をつり合わせるのは本当に難しい。
が「ナイス!」と言っています。
平楽
シューマン漬けにして、シューマンに取り憑かれたといっても過言ではないミステリー作品。音楽小説、幻想小説、純文学の要素もたっぷり含まれていて、ちょっと欲張りに過ぎるのではないかと思うが、徹頭徹尾シューマンを軸として破綻なく、それでいてアンビバレントな作品に仕上がっている。主人公である私と後輩の天才ピアニスト永嶺修人の交流から生まれる影とは一体何なのか? センチメンタルな音楽談義から愛憎と狂気の旋律が生み出された時、呆然自失の真相が浮かび上がる。精緻かつ静謐な雰囲気を纏いながら、読後の衝撃と破壊力は凄まじい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/03/09(5013日経過)
記録初日
2011/01/03(5078日経過)
読んだ本
1780冊(1日平均0.35冊)
読んだページ
577992ページ(1日平均113ページ)
感想・レビュー
1780件(投稿率100.0%)
本棚
437棚
性別
血液型
AB型
自己紹介

平楽と書いてタイラと読みます。暇をみては読書に励むも、積読本の山が崩せず、自責の年にかられる日々。本は貯まれど貯蓄は貯まらないセンスオブワンダーを絶賛体験中。“なるようになる”をモットーに、平穏で楽しい暮らしがおくれるよう、鋭意努力しております。

崇拝する作家四天王
稲見一良/皆川博子
アルフレッド・ベスター
ホルヘ・ルイス・ボルヘス

好きな作家七傑
伊坂幸太郎/乙一/京極夏彦
古川日出男/道尾秀介/森見登美彦
ジョージ・R・R・マーティン

偏愛する作家三怪人(←失礼)
舞城王太郎/麻耶雄嵩/ジョナサン・キャロル

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