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証券スキャンダル (岩波ブックレット)

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nobody
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「野村証券と住友銀行。」という出だしで以前感想を書いたが、奥村の以下の言と符合していたのは偶然か必然か。「会社による管理が最も徹底していたのが住友銀行であり、野村証券であった。この両社はそれぞれ収益力が抜群で、その社内組織は軍隊組織と同じで、命令一下全員がきびしいノルマに従って突っ走る」。なぜか皆が口を閉ざす証券会社の狡猾極まる悪辣ぶり、そのやり口を提示したものとして、貴重である。「『政治銘柄』という言葉が証券界にはある。選挙が近づくと必ず『○○株は政治銘柄だから上がる』という噂がでる。政治家が買えば必ず
nobody

上がるというが、もちろん政治家だけで株価を動かすことができるはずもない。それには必ず発行会社と証券会社が協力して株価をつり上げ、それに政治家が乗って儲けるという仕掛けになっている」「一九八八年の税制改正でとうとう日本でも有価証券のキャピタルゲイン課税をすることになった。ただし、そこには大変なごまかしがあった。というのはキャピタルゲインについては申告分離課税と源泉分離課税の選択制になっており、源泉分離課税を選択すれば、売却額の二〇%の利益があったとみなし、それに五%の税金をかける。なんのことはない売却代金の

04/28 23:17
nobody

一%の税金を払えば、所得の源泉は追及されないのである。このみなし課税こそは、証券界が入れ知恵して政府に採用させたものだが、これは事実上の有価証券取引税であって、キャピタルゲイン課税とはいえない。これによってアングラマネーは救われた。そして証券界もこれで救われた。このごまかしに政府も野党も乗ったのだが、こうしてアングラマネーはますます株式市場に流れ込んでくるようになった」「日本的買占めを行う買占め屋としては様々な投機師グループや仕手筋、あるいは自民党の政治家などがあったが、そこに新規参入してきたのが暴力団」

04/28 23:28
0255文字
扉のこちら側
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2017年13冊め。1991年6月、野村証券など大手証券会社が大口顧客に損失補てんをしていたこと、野村証券・日興証券が暴力団による東急電鉄株の買い占めに加担していたことに始まる証券不祥事事件。社会問題から政治問題へ、そして臨時国会が「証券国会」と呼ばれるほど大きな騒動となった流れ。80年代の日本の異常投機と、法人資本主義構造の脆さが露見された。
扉のこちら側

【岩波ブックレットNo.223】

01/09 13:22
0255文字
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