書簡や回顧録などオリジナルの歴史資料に不可避的に含まれている錯誤をどこまで選別して真相に近づけるかというのが歴史記述の核であり最も面白い部分であるわけですが、そのあたりの謎解き的スリリングさは他の方以上に秀逸な印象があります。龍馬本人についてはやはり良い意味での商売人気質が一番強いという印象、年配者の見識を尊重しつつ時代にアダプトさせていこうとする意志が感じられるところです。トータルとしては薩摩に上手く利用されてしまった感がありますが。
龍馬と非常に近い立ち位置で、ある段階までは龍馬以上に活躍していたような記述のある上杉宗次郎(近藤長次郎)などは、どこかの歯車が別の組み合わさり方をしていればもっと名前が知られていたであろう興味深い人物のように見えます。そのほか、目をひいた人々は池内蔵太(細江徳太郎)、福岡孝弟、戸田雅楽(尾崎三良)…といったところ。長崎の商人 小曾根英四郎についてネット上でははまとまった記事を見つけられず、残念。
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