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奈良登大路町,妙高の秋 (講談社文芸文庫 しM 1)

感想・レビュー
8

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isbm
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★★★☆
0255文字
salvia
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特に『仙酔島』は端正で美しい作品だと思う。信濃・伊那谷の老舗の老女ウメは、旅先で老船頭夫婦の情愛を足袋の繕い方に見て、自分と亡き夫との日々を思い、胸を熱くする。夫婦のことは夫婦にしかわからない。『奈良登大路町』は古美術を愛する男たちの話で、ウォーナー氏に「つよい純粋な精神」を見る「私」の静かな語りが胸に響いた。他の作品も読みたいと思う。
0255文字
ゆか
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ネタバレ勝又浩の解説に、「瀧井孝作が「残菊抄」の母親の方の話を雑誌「八雲」に載せようしたところ、川端康成が「少し弱いところがある」というので引っ込めた」とある。勝又浩は、島村の作品を「小林清親のような版画」の味わいとしており、続編などで物語的ふくらみがでたというが、私は、余韻を残す静止画こそが、島村の魅力に思えてならない。「仙酔島」では老船頭頭が老妻を罵る場面で、老妻の白足袋と老船頭の紺足袋に「丹念に木綿糸で刺した」との描写。ここで何を読みとるかは、読書に委ねられており、そこが心地よいのだ。「神田連雀町」でも→
ゆか

→おってきた叔父が、忘れものを渡す場面で終わっており、佳津子の拒絶と、迷いをこちらが推測する楽しみを残している。続編の「佃島簿暮」が蛇足に思える。島村本人がでてくるエッセイのような「奈良登大和路町」では、奈良飛鳥園の知識人達や、日本文化を守ったウォーナーの話を知ることができる。「焦土」では、志賀直哉の素朴な人柄をしり、「妙高の秋」では小学校時代の話などもしることができて面白い。(古寺巡礼を小学校の生徒が読んでいるなんて)また読みたい作家が増えた。

04/01 11:33
0255文字
vasejaune
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(^.^)島村利正さん、はじめて。少し難しかったけれど、文章がとてもよかった。とくに「残菊抄」がよかった!
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ロータス
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堀江敏幸さんが何かの本で薦めていたので読んでみたが、それぞれの作品が一行一行味わいながら読める完璧な文章による実に心洗われるものであった。まるで自分ひとりしかいない静かな美術館で、細部まで丁寧に描かれた風景画と向き合っているような感じがした。表題作二作がやはり良かった。この人の本をもっと読んでみたい。
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ワッピー
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祖母の生涯をモデルにした「仙酔島」、菊売りの母娘の物語「残菊抄」、奈良を戦火から守るために尽力した米国人と飛鳥園の林氏との交流「奈良登大路町」、志賀直哉の疎開「焦土」、自らの軌跡を振り返りつつ、故郷に帰り兄妹と語らう「妙高の秋」、飛鳥園時代を振り返りつつ、また奈良を訪う「斑鳩へ」、老人の世話をする住津子の出奔「神田連雀町」「佃島薄暮」を収録。端正でブレのない作品の中でも、「仙酔島」冒頭の巨視的な視点から次第に主人公に収斂していく描景の見事さにやられました。他の作品も時間をかけて読み進めたいと強く思います。
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アメヲトコ
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短編8作を収録。師の志賀直哉を彷彿とさせる美しい文体が味わい深く、佳作揃いですが、とくに初期の作品である「仙酔島」の冒頭部における高遠の描写は上質な日本画を見るかのよう。
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YO)))
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『貴種ならぬ、庶民の流離の相』(解説より) 何れも味わい深い八篇。戦時下など、過酷な情況をも恬淡と、しかし決して諦念をもって突き放すことなく。如何な場合に於いても細やかな情緒を汲み上げることを忘れない、やさしくも力強い眼差しがそこにはある。菊売りの母娘二代の不幸せ「残菊抄」、戦中の志賀直哉、瀧井孝作両氏との交流を描いた「焦土」が特に良い。
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奈良登大路町,妙高の秋 (講談社文芸文庫 しM 1)評価84感想・レビュー8