形式:単行本
出版社:新潮社
形式:文庫
出版社:河出書房新社
われわれは、本当は中断されたはずの物語を、完結した物語だったかのように仮構し、粉飾し、封印して現実を生きている。(=喪の作業)しかしキャラクターは複数の生を生きることができる。彼らの生そのものからは意味が生じない。彼らはいくらでも生き返るるから、喪の作業が成立しない。キャラクターの生(現実と結ばれていない虚構の生)は、実は人間の生よりもはるかに切実に物語を求める。事件と事件をつなぐ理由の糸、必然性を求める。虚構では全てに意味が求められる。
新井素子が宣言したように、小説とは作家のためでも読者ためでもなく、編集者や書店員の為でもない。何よりもまず現実と言う単独性の支えを失い、可能世界の海を亡霊のように漂っている「キャラクター」と言う名の曖昧な存在の幸せのために書かれている。そしてそれこそが、文学が人間に自由と寛容をもたらすと言われている事の根拠なのだ。
そのぐらいの軽い気持ちで読むのが、一番いい読み方(?)かもしれませんね。
(苦笑)
元々は高橋源一郎の「小説家にしか小説はわからない」「批評家はどんどん小説を発表すべき」という発言に田中和生が噛み付いて、論争に発展した最中に発表されたのが『キャラクターズ』でしたから、支持しやすかったのではないでしょうか?鼎談も実質東・高橋×田中の構図でしたし。
へー、自分は田中和生って人は存じないんですが、そんな経緯があったんですか。なるほど挑発的な中身になるわけですね。
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