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中国戦線、ある日本人兵士の日記──1937年8月~1939年8月 侵略と加害の日常

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Toska
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一つ前に読んだ『日中戦争従軍日記』の著者と同じ第16師団に属し、ほぼ同じ期間(1937〜39年)従軍した歩兵の日記。二人がどこかですれ違ったこともあるかもしれない。内容はこちらの方がはるかに簡素だが、白兵突撃を詳しく描写している辺りは流石に歩兵。また、黄河決壊後の苦しい行軍が祟ったのか、大腸炎で長期の入院を強いられたことも。野戦病院では「戦友○名死亡」の記述が続き、悲惨な状況がしのばれる。
Toska

本人が撮った写真が収録されているのも特徴だが、正視に耐えない残酷なもの(敵兵の処刑)が含まれているので注意。そもそも「捕虜を取る」という感覚が皆無で、捕まえた敵兵は「明日殺すことにする」とごく普通に書かれている。戦陣訓を待つまでもなく、虜囚は殺す/殺される=だから降参しない、というのが日本軍の常識になっていたのだろう。無論、徴発(略奪)の描写も頻発。娘さんの前書きによれば、著者は晩年病気に苦しんだ時、一言だけ「罰が当たった」と漏らしたのだという。こうした戦い方は、兵士たちの心をも蝕んでいたのだろうか。

07/23 13:26
Toska

編者(笠原十九司)の解説は、師団の戦闘行動や戦後に現地で行った聞き取り調査なども含む重要なものだが、ちょっと饒舌にすぎる印象。本文をぶった切る形で長大な解説が繰り返し挿入され、内容的にも日記から逸脱するケースが少なくない。兵士の日記と言いつつ、編者がそれを乗っ取っているのでは?とすら。これなら、最初から笠原氏の名前で一冊書き、日記を主要な参考資料と位置づけた方がスマートだったように思う。

07/23 13:33
0255文字
Arte
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日中戦争に従軍した兵士の日記と、その背景の解説を収録したもの。解説が話を広げ過ぎて何だかな、と思わないこともなかったが、この解説がないと日記がさっぱり分からないのも事実なので、これで良いのだと思う。作者は筆マメな技術者で、愛国的なたぶん当時の普通の人。
Arte

日本軍上層部はまんまプーチンで、兵士の生命は軽視、食料は現地調達が基本(だから日本軍が行軍した場所は飛蝗が来たようなもの)、自軍の兵隊の生命も軽視だから、もちろん現地の中国人の生命など言わずもがな、南京占領後は捕虜を取るという発想がないので、敵と巻き込まれた地元民は皆殺し。南方戦線で日本軍は大量餓死したけど、中国戦線では餓死しなかったのは、その分現地で奪っていたから。とにかく酷い日本軍だが、昔の中国の話や今のロシア軍を考えると、近代化されていない軍隊はどこもこういう方式なのではなかろうか。

04/05 18:10
Arte

作者は途中でカメラを手に入れ、写真も撮っているが、蒋介石が黄河を決壊させた後の洪水が凄い(その後は消化器疾患が流行る)。あと、今の中国国歌が、この時代に抗日の歌として流行った映画の主題歌だとは知らなかった。37年からの2年間で作者は除隊しているが、太平洋戦争で再徴兵されなかったのかな。そして、この日記を出版することを是とした娘さんが凄いと思う。

04/05 18:10
0255文字
三木 伸一
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編者の 笠原十九司 (かさはら とくし) という人は「南京事件」の記述をする時、意図的に「通州事件」のことに触れないようにしていると思う。「南京事件」は 昭和12年12月に起きたが、これに対して「通州事件」とは、その5か月前に、北京の東12kmのところにあった通州という町で起きた「中国兵による邦人の集団虐殺事件」のことである。約260名の邦人が「極めて猟奇的な殺害方法」によって殺され、当時の新聞は大々的にこれを報じた。当然日本軍兵士は事件の事を知っており「その復讐を100倍返しで南京で行った」と思われる。
0255文字
老人秘唱
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先ずこの日記を提供した遺族に敬意を表します。この悲惨な侵略紀行の姿を無意識に描いた本人―当時の日本人の平均な姿だったと思う―他国人を人間と見做さない無知識さが恥ずかしくも明瞭に出ている。そして、糧食補充の貧弱さ―昔から日本人は「現地調達」を是としていたことに、呆れる。 これでは、略奪・暴行・強姦が連発するのも無理はない。戦争と言へば日本人は「焦土と化した爆撃」を思い出すだろうが、我々の親兄弟が行ってきた中国への暴虐・加害を知らされなった事への事実を、知るべきだという実証本だ、と思う。
0255文字
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