形式:単行本
出版社:現代企画室
おおお、ホセ・ドノソではないですか!やっぱりこれもぶっ飛んだ感じなのでしょうか。
そうなんですよ~!なかなかすごい読み応えでどこかに打ちあげられて帰って来れない気分になりますね!
作者の生国チリの政治状況や歴史を反映した寓話的な物語として読むのがおそらく正道だが、そんな対応を無視しても、権力闘争の物語として十分面白い。
「社会主義の夢」の挫折に関するエピソードの一つだけれど、ソ連のスターリニズム下の「収容所列島」中国の文化大革命、カンボジアのポル・ポト虐殺共産主義の「キリング・フィールド」に対して多すぎじゃないだろうか。 確かに作者のホセ・ドノソは、チリの小説家の第一人者ではあるが、前作の「夜のみだらな鳥」と比較しても、写実的すぎやしないだろうか。「夜の・・」はそれこそ「読み砕く」という言葉が適切なほど難解で、泥沼のようにおぼれてしまうことでしか理解しえなかったほど読み応えがあったのだが、これは、寓話としても
インディアン=大衆、大人=政治家、子供=アジェンデ政権、外国人=アメリカ資本という象徴化があまりにも安易に読み取れてしまう。もちろん一つの物語として、エピソードもキャラクターも充分自立しえているのだが、それにしてもちょこちょこと「登場人物」として出てくる「作者」のいらん注釈が、物語の読み取りの妨げになっている。同じ作家の、明らかに前作より落ちるという作品の質にがっかりした一冊となった。
「夜のみだらな鳥」はどんだけイカれているのか、相当手強そうだなとビビりつつ、読まずにはおられない。
そろそろ『夜のみだらな鳥』読みたいですよね~(*^▽^*)
うんうん、はやくだしてー!水声社さん。
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