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寒い夜 (岩波文庫)

感想・レビュー
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Mill
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ネタバレひたすら主人公の優柔不断、はっきりしないところにイライラした話だった。 嫁を守り切るわけでもなく、母親を庇い通すでもなく、その場その場をやり過ごしている感じで、正直嫁さんが出ていったのも当たり前だろと。 あと、嫁さんが出ていった後も主人公を思っている描写あったけど、そんな女性はそうそういないような気もする。この辺り、女性作家が書いたら心境の機微をうまく、納得いく形で書いてくれそうだなと思った。
Mill

あと気になったのが、日本との戦争をすべての災いの原因として見てるような感じ。実際戦争のせいで、貧しい生活を送っているんだろうけど、家庭内の不和とかも全部戦争のせいにしているような。だから戦争が終われば八方丸く収まる、っていう希望的観測(あるいは、現状から目をそらすための言い訳)になってて、だからいざ戦争が終わっても家庭内不和は解決されず、というオチになってるように感じた。もちろん俺自身は、戦争は絶対悪という前提だけど。

09/03 22:46
Mill

主人公は「善良な小市民」って感じで描かれていて、「こんな善良な人が報われない世界はひどい」って所があったんだけど、善良ではあるかもだけど、それ以上に「しゃんとせんかい」としか思えなかった。

09/03 22:50
0255文字
芋煮うどん
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第二次大戦末期の中国・四川のある家庭の話。メーンは嫁姑の不仲だが、救いがまったくない。
0255文字
イシザル
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内容はほぼ「渡る世間は鬼ばかり」。ほぼ嫁と母の喧嘩に夫の愚痴。でもこのどうでもいい無駄話は、カタルシスのない無情で侘び錆びなラストの前フリだ。細工は流々仕上げを御覧じろとはこのことだ。
0255文字
やいっち
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いい加減、読んでいてうんざりする。嫁と姑が仲が悪い。その間でオロオロする夫。嫁は外交的で積極的、前向き。それが姑には浮気っぽくて、息子には冷たいと映る。息子がいるが、恐らく姑の影響下にある。嫁には家に居場所がない。日本軍が大陸に侵攻し、ドンドン彼らの村にも迫ってくる。逃げるべきだろうが、そうはいかない。母(姑)と嫁の意見が対立しているからだ。
麻呂まゆっ! @たまに麻呂兵衛3号

「作家的な良心の有無を問いただしたくなる。」…私も、そんな気分になった本があります。著名な作家です。あえて名前は伏せますが…。

08/14 00:30
やいっち

麻呂まゆっ!さん 作者はアナキスト(自称他称とも)なのですが、作品の中に思想的な説教臭さはありません。そこだけは認めておきます。一般論として文学においては、悲劇的な状況をこれでもかと描く、そんな作品はあります。あり得ると思います。それでも、例えば悲しい歌でも、歌うことで何かしらの救いや共感や癒しを得るように、文学にはどんな作品であろうと、最後にはカタルシスがあってしかるべきだと思います。ある意味、文学と呼べる最低条件、あるいは必須の条件。本作にはそれがまるでありません(あくまで吾輩の印象ですが)。

08/14 08:19
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0255文字
コカブ
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日中戦争下の重慶。汪文宣は、母親と妻の樹生との3人暮らしだった。汪は半官半民の出版会社で働くが、重要な地位とはいいがたく、仕事にしがみついている状態だった。銀行で働く妻は汪よりも収入が多い一方、嫁姑の折り合いが悪くて家庭内はもめていた。2人の息子は寮に入って学校に通っていて、つなぎとめるものもない。母親は樹生が浮気をしているといって汪を攻め立てた。汪が病気になって寝込む中、日本軍が重慶に迫るという噂が何度も流れ、樹生には奥地の蘭州転勤の話も出てくる。汪は、責任は自分にあるとして他人を責めないのだった…。
コカブ

これだけ折り合いの悪い嫁姑が同居しようというときは、どんな決断があったのだろうと思う。日中戦争下の中国人というのは、あまり考えたことがなかった。重慶は空襲までで日本軍の地上部隊が届くことはおよそなさそうだったけど、やはり庶民は恐怖を感じていたんだというのが、正直な感想だった。それで社会が混乱したり、家庭生活にも影響が出たりしているわけで、戦争は市民生活に大きく傷跡を残すのがよく描かれていたと思う。個人ができることは小さいわけで、汪がかわいそうになってしまった。

08/04 14:03
0255文字
Tomoko.H
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貧困、病気、嫁姑の不和…どれもどうにもならず、またその他の何に対しても将来に何の希望ももてない状態のただ優しいだけのへなちょこ亭主。数少ない友達も逝ってしまい、嫁姑自身も、たぶん息子も全員が不幸。終始やるせなさで貫かれた小説だ。老舎の『駱駝祥子』にしてもイーユンリーの『さすらう者たち』にしても、中国社会の底辺の人々を描いたものは、救いがない。
0255文字
大雪(おおゆき)
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巴金は現代中国の作家で、本作品「寒い夜」は日中戦争時の重慶を舞台にしています。30代で半官半民のちょっとブラックな企業に勤めるサラリーマン、いわゆる事実婚で銀行勤めの妻、そして息子の嫁さんを忌み嫌う姑、会社で唯一気に合の合う友人、文学の夢破れて今は零落した同級生が出てきます。この30代リーマンがとにかく切なすぎる。会社ではやりがいもなく、給料も安く、周りからは疎まれる。家に帰れば姑が嫁イビリをしている、それを見て「悪いのは僕なんです!」と頭を抱える。そんな中、妻の勤め先で長身イケメンの上司が言い寄り…
大雪(おおゆき)

後半、汪文宣のカミさんが疎開先から長文の手紙を送られ読むシーンがあるが、ここは心が搔きむしられるような感覚を抱いた。汪の妻(夫とは同い年でもある)はややリベラルな、というか、姑とは決定的に合わない。夫に対しては「ずっと謝って小さくなってる貴方が嫌だった!」と痛烈に手紙で心情を吐露する。夫はなんとかしたかったのだろう。でも、全部裏目だった。妻はささやかな「自由と希望」を生きたかった。誰が非難出来ようか。妻は最後に一人残される。これからどうしよう、「時が決めてくれるわ」と残して小説は終わる。

12/02 07:55
大雪(おおゆき)

巴金「寒い夜」を読んで、これはもう一つの「この世界の片隅で」ではないかと思った。片方は広島、片方は重慶。立場も何も違うけど、なんかこの両作品を重ね合わせてしまった。「寒い夜」、これほど精神的にえぐられる小説を読んだことがない。すごい小説。魯迅は知ってても巴金はあまり知られてないかもしれないが、ぜひ読んで欲しい。ただ、精神状態が悪い時とより一層陰鬱になりそうなので、そういう時に読むのはおススメ出来ませんが…

12/02 08:00
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0255文字
Harumi
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巴金に興味があったので読んでみた。日中戦争の時代、四川省の話である。まず、当時、中国に会社組織があったのが驚きである。辛亥革命、陳独秀の新青年あたりで時代が変わったのだろうか?物語は相容れない二人の女性を軸に進んで行くと思っている。新旧の争いだとしか形容しようがない。どちらの気持ちも良く分かる。だけれども、まだ僕は結婚もしたことがないので、後者、若い女性を応援したくなる。若い内は着飾って遊んでいいとですよ。子供が出来て落ち着いてしまえばそれはそれ。オレ何の話してんだ?笑
0255文字
藤月はな(灯れ松明の火)
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日中戦争下の中国で嫁姑の価値観の違いなどの争いによって心身共に食い潰されてしまったインテリ男を描いた作品。現代劇にも通用できそうな普遍的な家庭の「誰も悪くはないのは分かっている。だけど、他に抑えられなかったのか/譲歩できなかったのか/自分の気持ちを伝えても良かったのでは?」と思ってしまうようなギスギスした状況が客観的に淡々に描かれているのが、逆に辛い。特に樹生が出て行ってから喫茶店で誰もいない席に樹生の好きなミルクコーヒーを頼む文宣の姿には泣けてくる。でも文宣のお母さんは息子に依存しすぎで、これはキツいよ
藤月はな(灯れ松明の火)

ラストの樹生の選択は『風と共に去りぬ』みたい。

04/17 20:26
fseigojp

なんか映画になりそうです コン・リー主演で

04/17 21:06
0255文字
nene
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「寒い夜(原題『寒夜』」という題がすべてを語っている。
0255文字
みか
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2016年6月25日読書会課題本。日中戦争中の1944年冬から、1945年の終戦直後までが物語の時代背景。しかし、舞台の街は戦地ではなく、戦争は不明確で誇張されたうわさとして伝わるのみ。戦争よりも、主人公の苦しい内面や、家庭生活にすごく重点を置いて描いている。舞台を現代に移しても、充分に成立する物語だと思った。主人公・文宣について、人物評価は分かれるだろう。文宣の情けなさ、弱さに共感できるかどうか。共感できなければ、読んでいてイライラするだろうし、文宣の苦痛を、自分の痛みとして読むと、辛くて涙しかない。
みか

文宣の弱さ、情けなさ、惨めさとは対照的に、妻の樹生は活発で溌剌として、生命力に満ちあふれている。樹生のたくましさは、『風と共に去りぬ』のスカーレットを思い起こした。『寒い夜』の中で、樹生が文宣に宛てて書いた長い手紙が引用されている。樹生は、もう一人の主人公と言える。

01/22 21:22
みか

文宣の母がなぜ息子の妻をあれほど激しく憎むのか、全く理解できなかった。母親は息子を大切に思っているのに、息子の愛した女性に対しては、ひたすら憎み、蔑み、激しく罵って攻撃する。母親は、息子の人生の幸福=息子夫婦の家庭の幸福だとは考えていないのだろう。母親の考える家庭の幸福は、<母親と息子+孫>という単位であり、息子の妻が余計者だから攻撃して排除する。父親がすでに他界していることが実は重要で、母親が息子に向ける愛情は、夫の身代りのようなものかもしれない。

01/22 21:23
0255文字
ラウリスタ~
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中国の現代小説を読むのはほとんど初めて。舞台は日中戦争中の中国、日本軍はどこどこまでやってきた、次はこの街か、と戦々恐々とする人々。そんな中主人公は、妻と母との間で板挟みになり、肺病にもかかり、憔悴していく。30代半ばにして今にも死にそうな主人公とは裏腹に、自由と活気に満ち満ちた綺麗な奥さん、戦場となりそうなこの地と、夫を捨てて疎開するのか、すわ二人の運命は。これを読んでると、中国人が抗日戦争ドラマで盛り上がる理由がよくわかる、と言ってもこの小説では一人の日本人も出てこないのだが。
0255文字
お気楽さかい
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★★★★1/2 昼ドラ文学の金字塔。姑と嫁がひたすらいがみ合っていたりマザコン亭主が不治の病に倒れたりというだけの物語なのに、どうしてこんなにもやるせないのか。どうしてこんなにも強く心を打たれるのか。1947年の中国小説だが、描かれている内容はとても普遍的。喫茶店でコーヒーを二人分注文するところと、ラストの暗いもの寂しい通りの場面が強く印象に残った。
0255文字
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