好きになってくれる人だけを好きになれたらいいのにと歌うのは奥華子だけど、そうは問屋が卸さないんで世の中には方想いをテーマに据えた作品が数多く存在するわけさ。ボーイッシュな女子小学生(12)とのほほんとした男子大学生(24)、年齢がダブルスコアというかおそらく干支が同じ時点で成就は困難と思われる。そりゃ10年後なら話は別だけど、現段階では世間から忌み嫌われるロの字がつく性的嗜好呼ばわりされちゃって青少年育成条例に抵触しちゃいますがな。あと刑法176条な。いや本書はめっちゃピュアでせつない片想いですけどね。
偶然出会ったひとりぼっち同士。彼は彼女を少年と勘違いし、彼女もそれを黙認したまま年の離れた友人として交流を深めていく。彼女の恋は自覚した瞬間に積んだに等しい。年齢差に加え、同性と思われている以上恋愛対象外で、真実を知られたら交友関係自体が終わりかねない。小学生の世界の中だけで生きていけたらどんなに楽だろう。最悪と思った男子は意外といい奴で(おそらく中学辺りからぐんと背が伸びてカッコよくなるタイプ)、アクの強い女友達も二人できた。それでも彼女を孤独から引き上げてくれたのは彼だから、代わりなんていないのだ。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます