土を耕し土を愛する伊佐夫の生活の綿密な描写は髙村さん!と思ったが、雨の描写もいつもながら印象的だった。農作物も動物も人間も、雨(水)がなければ生きられない。やはり生き物は自然の一部なんだよな。裕福でも貧乏でも都会暮らしでも田舎暮らしでも、どんなに足掻いても誰にも平等に死は訪れる。
っていたから、というだけではないだろう。その伊佐夫も、16年前に交通事故に遭い植物状態になって、半年前に死んだ妻の昭代が生前他に男を作って不貞をはたらいていたのではないかという疑惑を払拭できず、うじうじと考え昭代という死者にとらわれている。昭代の妹久代と結婚していればまた違う道を歩んでいたのかもね、とも思う。下巻になって伊佐夫のボケが進み目が開いていても現実と夢の境がなくなる事、記憶の中の風景と現実が混在していく描写には恐怖を覚えた。→
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