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天皇と和歌 国見と儀礼の一五〇〇年 (講談社選書メチエ 641)

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ししおどし
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平成29年刊。雄略天皇の万葉集の巻頭歌から上皇陛下までの御製を取り上げ、和歌は言葉の雅にとどまらず儀礼に深く関わり、この国の文化の頂点として文化形成や政治に連綿と影響を与えてきたことやその中心が天皇であったことを勅撰和歌集の歴史ととともに描く。特に醍醐天皇、後鳥羽上皇、後柏原天皇、後水尾天皇、明治天皇は卓越した御方。あとがきに天皇へ対する偏りのない多様な見方を維持し天皇への親愛の情を表したかったとあるが、その苦心したところが、同じテーマで戦前に教育を受けた人が書いた本とはひと味違うようである。
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のりたま
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明治天皇が京都に残した貴族のために作った向陽会について、論文に書くべきだったのに書いていないことがあるのではないかとビクビクしながら読んだが、そもそも向陽会には触れていなかった。ほっとしたが書いていないだけでご存じだろうから詳しく知りたいと思った。タイトルの天皇ではないが、上皇后の短歌についても知りたかった。上皇が上皇后の影響で勅撰集を企画されないかしら。
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6呎5吋es
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能ややまと絵をみるなかで和歌の知識があったほうが理解が深まると感じ、とりあえずルールの本とともに通史的なこちらも手に取ってみた。 あらゆる時代の権力者(藤原氏や幕府)から権威として利用される天皇。和歌は儀礼的な側面も大きく、天皇の元では勅撰の歴史書ではなく和歌集が編まれるようになり、日本文学の頂点として権威づけされる。そして明治維新後、その御製は学校教育や新聞などを通じて国民の心をコントロールするツールとして政治利用される。
6呎5吋es

五七五七七の言葉が持つバイブスは王朝文化が観念的なものと成り果てた現在でも有効で心に強く訴えかける。そんな言葉が最高の権威である天皇から発されたら陶然としてしまうよなと強く感じた。また私の祖母は戦前から教師をしていたので、自分の身内がそういったプロパガンダに加担していた事実にも気づかされた。 共同体にとっての、権威という虚構の重要性や甘美さ、怖さなどがよく理解でき、図らずも、ここ最近日本史を勉強して感じていた「なぜ武士は朝廷を滅ぼさなかったのか」という疑問へのヒントにもなった。

12/31 12:28
6呎5吋es

身内に教育者がいたので個人的にナーバスになってしまったけど、本書は特定の政治思想のバイアスがかかっていない中庸な内容なので安心してください。 メモ:その前後で文化が断絶してしまうほど、応仁の乱の影響は大きなものだった。

12/31 12:28
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紺
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天皇と和歌との関わりの通史。思想や個々があまり偏らないよう努めておられるせいか、それ自体の努力はすごいと思うけどもっと掘り下げた説明が欲しい。勅撰和歌集の意味、現在の歌会の意義、面白いなあ。
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ちあき120809
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五・七・五・七・七のたった31文字で世界を創造する短歌は、言葉一つにありったけの意味が込められ、前後の文脈や読む人の心情等様々な因果が混然一体となって、いくつもの解釈の余地を生み出す。この多義性こそ、短歌が千年以上に渡って広く人々に親しまれ続ける所以ではなかろうか。それにしても、筆者の「季節の推移や恋の心情をことばの技法を駆使して繊細に歌い上げる」という古今和歌集的美の定義づけは秀逸である。
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takkan
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天皇と和歌の歴史。もちろん数人の天皇に焦点を当てているわけだが、和歌と天皇の通史として面白かった。
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さとうしん
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大覚寺統・持明院統の両統迭立時に、勅撰和歌集の撰者をつとめる家柄も二条家と京極家とに分かれたという話と、応仁の乱以後勅撰和歌集の編纂ができなくなってしまってから、天皇による積極的な歌壇の運営や古今伝授といった形で伝統の保持を図ったという話が面白かった。近現代の部分は記述がやや食い足りなかった。
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しゅてふぁん
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御製の和歌と共に日本史のおさらいが出来た。興味深かったし、面白かった。在位中に勅撰和歌集の企画が頓挫してしまったことを嘆く伏見天皇の和歌がせつない。『我が世には集めぬ和歌の浦千鳥/空しき名をやあとに残さむ(新後撰集・雑上・1331)』(後に企画が復活し『玉葉集』が成立した。)『古今集』の秘伝を伝える『古今伝授』唯一の伝授継承者である細川幽斎が、智仁親王へ古今伝授を託した際に添えられた和歌がお気に入り。『いにしへも今もかはらぬ世の中に/心の種をのこす言の葉(衆妙集・599)』
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kaizen@名古屋de朝活読書会
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#明治天皇 #短歌 あさみどり澄みわたりたる大空の広きをおのが心ともがな #返歌 あおみどり交通信号にた色の広告交差点には避けよ みどりあお山の木々の隙間から空を見上げる我が心かな
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mk
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宮廷芸能として出発した和歌文学の歴史を、歴代の天皇と皇統の歩みに重ねて確認するという意図は理解できるが、結果として焦点がぼけた整理報告のようになっているのはいただけない。天皇と和歌という大きな主題を前にしたばあい、無論さまざまな語り方があってよいが、著者の専門領域に近い後水尾天皇歌壇の特質を引き出す過程で、前後の時代に考察の糸口を広げてゆくというアプローチもありえたはず。江戸期の天皇の存在形態は、文化伝統に奉仕するという天皇イメージの雛形でもあるはずで、そこを起点にした和歌史の再構成を是非期待したい。
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鯖
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歴代の天皇の和歌とその背景と。江戸時代に従四位下に序せられたベトナムから海を渡ってきた象さん(きさ)を見て霊元帝が読んだ歌がよかった。「なさけ知る きさの心よ 唐人に あらぬやつこの 手にも慣れきて」(異国の象つかいでなく、日本の奴にもなれてえらいぞうさんだなあ パオーン)一番心に残ったのは、今上帝の「津波来し 時の岸辺は 如何なりしと 見下ろす海は 青く静まる」…地が海が、少しでも長く平らかに鎮まり続けてくれますように。
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たっきー
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和歌の歴史においていかに天皇が中心的存在であったかが時代とともに説かれる。確かに文学と天皇というのはもっと重視されて良い視点であろう。和歌文学史として読むにも良い一冊。文学研究のあるべき姿であると思う。
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太田左衛門大夫
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元服前の天皇は和歌を詠まないから、「天皇と和歌」というタイトルが当てはまるのはごく一時期で、実は当てはまらない時期の方がずっと長い。かういふタイトルは本屋のさしがねだらうが、むしろ勅撰集の歴史にきちんと焦点をしぼるべきだらうと思ふ。
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nagoyan
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優。万葉時代の「国見」、平安・鎌倉期の「勅撰集」、次いで、「古今伝授」の時代を経て、今日まで至る「歌会」。天皇の政治は、和歌をはじめとする文化であり、また、和歌をはじめとする文化を権威づけえた者は、天皇において他になかった。私は、歌の力によって国を治めようとしてきた天皇の歴史は、手垢のついた権威・権力二元政論に収まりえないものだと感じた。
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天皇と和歌 国見と儀礼の一五〇〇年 (講談社選書メチエ 641)評価68感想・レビュー14