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私の旧約聖書 (中公文庫 い 42-4)

感想・レビュー
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たつや
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麻雀放浪記の著者による、旧約聖書に挑んだ、面白いコンセプトの一冊でした。面白かったです。あと、文章が意外にも上手いですね。
0255文字
さっちも
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人生においてあと2、3回読むのではないかと思った。砂漠の思想なんですよね。シビアな世界のシビアな生き残りをかけたメソッド。用心深く、クレバーで、抜け目がない人間が繁栄する。のび太やオバQが主人公になりえるトリックスター歓迎の調和を重きにおいた村社会と根本的に違う。語るほどに本書の重さからかけ離れていくようなのでこれくらいに。
0255文字
さっちも
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「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。伊丹万作の戦後論だったかで言われていた箴言が気になって本書を拾い読み。最初に読んで、嘘を見抜けないことの罪がたびたび問われる、この旧約聖書論には面食らった。今は、これがやっぱり真理だと思う。責任転嫁できたところで負債を負うのはやっぱり自分なのだから。西欧のこの価値観に100%賛成ではないけど、こちら側は絶えず牽制していかねばならない。
0255文字
澤水月
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空襲体験で家・畳・布団などすべて焼け、「地面というのは、泥だ」という痛感が根源、「認識の軸」にある。初期連載名が「はぐれ者の旧約聖書」であるように自身文字通りの一匹狼感、「しのぐ」嗅覚を頼りに生きてきた筆者にとって旧約聖書は信じる対象ではないけれど折にふれ思い返す気になる存在。旧約に綴られる物語、イェホバと人とが交わした契約のヒリつくやりとりを「カードの差配」で例えるのはさすが麻雀作家!「編纂者というか、作者というか」「鋭い設定を考える」…など歴史フィクションと見た捉え方も面白い。(コメントへ続
澤水月

子を捧げさせられるエブラハム、極限の苦境にイェホバの応答求めるヨブ記の箇所は真に迫り、やはり原典読んでから遠藤周作などは読み直したいと改めて思った。そして吉本隆明が解説という豪華さ。1984〜86連載、1991年改題刊行。今後再読すると思う

01/16 10:18
0255文字
イプシロン
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再読してつくづく思ったのは色川の洞察力の鋭さと思索の深さだ。空襲後の焼け野原に立ち、自分は虚飾(家屋やあらゆる人為的道具)の中で生きてきた、ほぼ確実なのは大地(大空、大海)といった自然だけだと気づく感性が凄い。すなわち、人為的なものを失っても狼狽しなくてよいと気づく場面が凄い。だとしても、その自然も常に動的であり、自分がいる場所を規定する基準点にならないと気づく。伝道の書にある「空の空」辺りがそこだろう。であるなら、自分の仕事を楽しむという、分を知った生き方しかない気がする。しかしそれでも基準点が欲しい。
イプシロン

そんな色川の思いにあった基準点こそ『旧約聖書』であり、永遠性、普遍性、絶対性、全知全能といわれる「神」の概念だったのだろう。ゼロポイントがあってはじめて人間は自分がいまどっち方向に何ポイント進んだところにいると知り、心安らぐものなのだろう。基準点を何にするかは人それぞれだろうが、それが無く、自分本意の生き方というのは、色川の言うとおり盲目飛行(根無し草のような生き方)に他ならないのだろう。大変考えさせられる再読であった。

03/09 00:18
0255文字
バーベナ
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信仰はないけれど、気になる聖書。色川さん凄く解釈が面白い。ちょっと何度も読み返すことになりそう。神と契約をしてそれを守らなければ・・と、神を脅すとか。神様にもいろいろあるもんだ。
0255文字
dubonnet
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一番笑ったのは「列王紀略上」あたりを「中だるみ感」とバッサリと。筆者が生きてきた中でエポックメイキングな出来事を挙げるなら旧約聖書との出会いと空襲の体験の二つに絞られるように思う。焼け野原を眺めて今まで人が作ってきた全ての物が喪失されその地面に不変の軸を思う。神の裁きに触れれば人間の命など鴻毛より軽い。無宗教者である筆者が神と人との距離感を自身の人生と照らし合わせイェホバを近しい存在として語るやり方は強引(笑)ではあるが共感を生む。学歴がなく不良であったとへりくだって前置きしながら文体は饒舌で自由闊達だ。
dubonnet

私も筆者と同じ無宗教者だからニュートラルな状態で人と神との近しい存在、対等さに共感するのかも。「神の律」にそむいたのだと考えた時、例えばタイタニック号の沈没とか水遊びの水難事故とか色々な災難も人間による「自然を甘くみたら」「科学技術の進歩による慢心」「欲をかいたが為の神への冒涜」などと漠然と感じてしまう。神という存在がそういった人間の傲慢さや慢心を戒め書に書き記したのだとしたらそれが人間の叡智なんでしょうね。雑感でした。筆者の滑舌のよい語りが移った酔っぱらいのデュボネでした。

09/01 23:07
0255文字
ゆーいちろー
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色川武大と言えば、言わずと知れた阿佐田哲也で、「麻雀放浪記」で、無頼な人なのではあるが、何故だかそのエッセイを読むと、ひどく優しい。筆者の背景には「劣等感」が明らかにあり、それが結局他者や、弱者への優しい視点につながっている。そんな人が「聖書」を読んだら?というのが本書の眼目である。キリスト教の信仰を持たない日本人が、聖書を考えたらどうなるだろう?という思考実験でもある。唯一神の過酷さ、理不尽さ…日本人にはなかなか理解しづらい神という存在に対して時に突っ込み、時に理解しようと努める姿勢は一つの参考になる。
0255文字
hanchyan@大丈夫大丈夫 立てなおそ立てなおそ
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いねむり先生こと色川武大による旧約聖書の読書ガイドてか感想文。旧約聖書を一個の創作ととらえたうえで「空想科学読本」ぽい感じのツッコミが入るのだが、初っ端から「アマチュア」「プロ」「エラー」「十九対二十一」~etc、とまあ、おなじみの言説から始まってまずは一安心(笑)。お好きな方は思わず「ざわ…ざわ…」てなっちゃうこと請け合い(笑)。全編を通じてしばしば老荘ぽさを感じるが、それは自分が常々「一匹狼のバクチ打ち」えお「小国寡民の究極形態」になぞらえて憧憬の念で視ているからからかもしれない。
あも

知らないところで!(笑)どぅわっぷー!!セリーヌディオンみたいなやつは覚えた!

08/16 00:42
7件のコメントを全て見る
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イプシロン
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本書は旧約聖書を親しみやすく繙いた著作ではない。旧約の流れを概述しつつ、色川の人生観によって神と人との距離感が思索されていくもの。無宗教、中立的という視線から考察された内容は鋭く興味深かった。神を擬人化しているだけに、神の仕業=自然の摂理といえない面があり、神と人との「契約」を守るのは、人間にとって困難であろうという考察は鋭い。そうしてみると、モーセの十戒をはじめとする種々の「律法」は神と人の中間に位置し、なんとか守れる気がするように思えた。人間社会に大切なものは、「契約」ではなく「律法」なのだろう。
イプシロン

社会で律法を厳守したとしても、自然災害などは防ぎえない面がある。そこにこそ神と人との契約(苦難を受け入れる覚悟)が必要という趣旨が旧約にあるのは興味深かった。旧約の時代でさえ、政治によって解決されない問題こそ宗教の独壇場だと考えられていたことが知れたのは大きな収穫だった。

07/12 15:04
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Viola
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面白かった。人生観においては独特のものさしで我々の先入観に喝を入れてくれる色川氏、別名阿佐田哲也。彼が真剣に向き合った旧約聖書の読み解き。信仰がないからこそ違った角度から疑問を投げかけ、自分なりに理解する、旧約の登場人物たちの心の声を代弁して蘇らせ、思わず笑っちゃうとこも。自分と何か大きな権威との対話だという小説観が彼を旧約に導いたのか。本作は旧約を読んでいる方が絶対面白い。著者は力尽きたというけど、新訳版も読みたかったなぁ。
0255文字
s
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色川武大という信仰からは最も遠いイメージを持つ作家が綴る、旧約聖書についての随想。阿佐田哲也の筆名でも知られる著者は、博奕で生きていた若い頃、偶然に近いきっかけで旧約聖書を手に取り、人間の叡智に恐れを抱いたという。内向的で、コンプレックスを抱え、自身の内面に神を育ててきたという著者は、旧約聖書に描かれた神と人間との契約を、気分屋で嫉妬深い「イェホバさん」に振り回される、ある意味で人間同士の関係のように読み解いていく。
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joyjoy
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信じていないことを前提にしすぎ。。。
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nureyev
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文語体の旧約聖書をテキストにしてるんですね 筆者の神との距離の取り方に共感を覚えました
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林克也
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旧約聖書を書いた作家たちを物語書きとして大いに評価するという色川さんの視点に大いに納得しました。「旧約聖書の実にすぐれた特長の一つは、神という架空の人物を登場させ」というところなど、思わず手を打ってしまいました。そして、かつて村上春樹がイスラエル賞受賞のスピーチで言った、嘘を紡ぐのが小説家の仕事であり、政治家の仕事である、という言葉は、近・現代というのではなく、この旧約聖書を書いた人たち(小説家)と、その嘘を利用して人々を騙くらかしてきた政治家たちのことも含めての発言だったんだ、と気づきました。
0255文字
あ
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全く似合わないものを…とも思ったものの、神様ごっこは彼の一人遊びの十八番だったよな。イェホバ氏…じゃなくて神を同列に眺めて論じるのは、無頼漢のやけっぱちのように言いながらも、万能者の不作為の技の偏りを追って行くものの、細心さと読みきる大胆が入り交じって見える。もうこれが唐突な最期に近いので、怒りに触れちゃったのかなあ。ところどころ図星を指しちゃって。
0255文字
Hisatomi Maria Gratia Yuki
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ユダヤ人がアッシリアやエジプトや、その他のアフリカの文明人に囲まれた田舎の弱小豪族だった頃が浮かび上がってくる。そして、そういう状況だから生き抜くために厳しい一神教の神を必要としたのだ、ということも。そして一神教の神との契約とそれに伴う葛藤が繰り返し解説されることで、あちらとこちらの神の概念の違いがよくわかる。ハッとさせられたのは、旧約には神の国とか、来世的な救いが一切ないんですよね。ほとんどどの宗教にも、特に新約聖書で約束されるそれがない、その厳しさに震える。
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Minyole
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物事をここまで深読みして思考を巡らせることができると、同じものを見ても見てる世界が違うんだろうな、楽しいだろうなと思いました。以前、小説版の旧約聖書を読んだときには、神様は結構ヒドいことするんだなとか、ほかの部族の神とはどういう関係なのかくらいしか考えなかったので。本当はおっかない人が丁寧な言葉を使っているような独特の文体にも魅力を感じました。
0255文字
taka
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聖書初心者でも、分かるかというと半分程度といった感じ。やはり実際に読んでおくことを進める。神と人間が契約関係であることは理解できた。作者のアウトローな感性における寄り道風な箇所は読みやすくて好き。
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