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明日なき身 (講談社文芸文庫)(Kindle版)

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パピプペポ
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私小説。ホームレス一歩手前の凄絶な日常を淡々と描いている。読みながら終始、出版社と著者と読者、この三者結託して織りなす悪趣味な事業に自分も今まさに荷担しているかのような居心地の悪さを感じ続けた。現代が舞台ということもあるだろう。大正昭和の私小説ならば、金銭感覚や生活様式の違いからフィクションと変わらない心持ちで読むことができるだろうから。280円の鉢植えを買うことも躊躇う作家が書いた私小説を、1650円払って読む人がいる。しかも著者は行方知れずなので、出版社から著者に利益が回ることは無いのだ。
パピプペポ

「作品」としては、「ムスカリ」が良かった。青い小さな花の存在が鮮やかで、救いがある。次の「ぼくの日常」はしっちゃかめっちゃかで、ちょっとよく分からない。「明日なき身」「火」は出来が云々という以前に内容が壮絶すぎて…しかしこれも紛れもない現代の現実なのだ。私自身、もしかしたら何十年か後にこの様な身の上となるかもしれない。最後の「灯」は生活保護ビジネスに呑み込まれてしまった著者の、諦めまじりの空虚な日常。作品としてはこれも良い。しかし文字通りこれが最後なのだと考えると、言いようのない寂しさを感じる。

12/20 16:18
0255文字
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明日なき身 (講談社文芸文庫)評価100感想・レビュー1