形式:単行本
出版社:彩流社
形式:Kindle版
「そしてトラウマ的経験を根本的なところで支える、意味の空白や間隙を伝達できるトラウマの表象様式が必要であることをカルースが主張していることは重要である。(p160)」「わたしは、二十世紀後半において想起することの道徳的、倫理的な重圧のことを考えたならば、「生に対する歴史の利害」でニーチェが示した忘却についての議論は適切とは言えないという私が以前に行った指摘を再検証してゆく。(p165)」
こういった文章が高頻度で登場するのでは好ましい訳書とは言えないだろう。訳註もほとんどないので、訳書として読む利点が日本語に置き換えられているという点しかなく、しかもその置き換えも翻訳と呼びうるものではない、不信感を抱かせるものなのだ。本書を手放しで賞賛している人たちには「本当に読めていますか」と問いかけたいし、訳者と出版社の方には「もう少しちゃんと仕事をしましょうよ」と言いたい。誤った知識を伝達されかねないので、これなら自力で原書を読んだ方がいいと思った。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます