形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:バジリコ
「倒錯保守=反天皇主義者」の卑劣さは、美智子様、雅子様、愛子様に対する人権無視に等しいバッシング、沖縄の基地移転を巡る住民への弾圧と、百田直樹に代表される「言論の自由」否定論、「妄想保守」の危なさは、「雅子様を「反日左翼」と決めつける西尾幹二等が挙げられる。百田はともかく、これで西尾を読む気になる人もいなくなるだろう。ここまで品性下劣な言説も許容するのが「言論の自由」というものだが、安倍政権はその抑圧に邁進しているという一点を挙げるだけで、基本的人権の否定者であり、国民の代表に値しない。
本書を読んで、こういった卑劣な保守主義者に対する怒りを覚える。にもかかわらず、安倍政権倒閣を唱える国民運動は盛り上がらない。「他に代わりがいない」という一般的な意見は一面的には正しいが、殆ど政治的ニヒリズムに過ぎないだろう。にしても、「良識的な」言論界において戦後の歴代首相で、ここまでボロクソに言われている総理も珍しくないか。「戦後最悪の政権」である。鳩山由紀夫はその政治的稚拙さを批判されているだけで、その思想は評価に値する。/最後に明記しておくべき事は、今上天皇の思想は、「弱い立場の人を見捨てない」。
鈴木邦男は民族自決の意を理解した人だと思う。だから自衛隊が国を守るものであってほしいと思うと同時に、他国の自決権を侵害する物であってはならないとの自覚を、強烈なまでに持っている。これはレイシストたちには理解できない考え方なのかもしれない。安倍晋三応援団である桜井誠、櫻井よしこなどのレイシストたちは、日本中華主義を信条としているため、他国の自決権など考えたこともないのだろう。鈴木邦男はこれらの人を反天皇主義者と呼んでいる。天皇が靖国参拝を行わない信条、そし被災地に行く信条をこれらの人が理解していないからだ。
これについては昭和天皇も同じ感慨を持っていたようである。『独白録』から、下記が引用されている。/…私がもし開戦の決定に対して拒否権を行使したとしよう。国内は必ず大内乱となり…/ p221 日本人に限らずステレオタイプに反応して行動する人は多い。それらの人に冷静になることを求めても無理である。理性を持った人間が最悪の結果になることを防ぐ方法を取るしかない。昭和天皇の独白は、それを示している。
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