形式:単行本
出版社:幻冬舎
ドガもセザンヌも、印象派の立上げメンバーなのに、最も印象派らしくない。ドガは線によるデッサンを重視し、筆触分割を部分的にしか採用しなかった。目の病気もあり、人工照明の効果と人の動作の美を追求した。セザンヌは、下手さを逆手に取り、筆触そのものから絵画を構成する独自の画風を確立。デッサンも遠近感も質感もない、一つの絵に複数の視点が混在するセザンヌの絵は後にピカソらのキュビズムに影響を与え、「現代絵画の父」となった。
ゴッホとゴーギャンは印象主義と20世紀絵画を繋ぐポスト印象主義の代表。ゴッホは実際に見たものしか掛けなかったと言われており、病んだ心が歪んで見せた糸杉や星月夜は、内なる苦悩を視覚化する表現主義を先取り。ゴーギャンは、輪郭の内側を単色ベタ塗りする「クロワゾニスム」や、現実と空想を同じ画面に描こうとする「綜合主義」を確立し、自由な色彩表現でフォーヴィスムに先駆けた。
「デューラーVSクラーナハ」。デューラーは「野うさぎ」「祈る手」と地味にうまい。「1500年の自画像」などからも自分は実力があると思ってる節がある。対して、クラーナハは「マルティン・ルターの肖像」ぐらいしか知らず、「ヴィーナスとクピド」や「ヴィーナス」など裸にワンアイテムとエロに力を入れたらしいが、結構肉体が貧相な感じの人が好きだったみたいで、個人的にはデューラー勝利かな、と思った。
「クールベVSマネ」。写実主義のクールベは「オルナンの埋葬に関する歴史画」「画家のアトリエ」など選んだ題材が庶民だったので、個人的には「う~ん、ちょっと暗い…」と思うものもあるけど、やっぱり絵は上手い。「眠り」「波」などエロや自然が題材だと、その写実主義感がいい感じに働いて結構好き。対して、マネは「オランピア」「草上の昼食」など有名策はあるものの、ちょっと印象派っぽいふわっとした感じが好きになれない(印象派の父と呼ばれてるからそうなんだけど)。そのため、個人的にはクールベ勝利かな。
しかも対比されてるの、●●(漢字二文字)のドガだし(笑)
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