形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:光文社
形式:文庫
面白いものを用意すれば読者は勝手に食いつくが、面白いのかどうか分からないものを作者の好みで出されたら、恐らくそれがレストランだったら客は席を蹴って帰ってしまうでしょう。作者は描きたいものを描きたいように書く。でもそれではいけないのだと思います。これを読んでいてそう思いました。それは究極的に読者との対話の場なのだと思います。作家はプロ。読者に満足してもらわねばならないのです。だから最初の段階で、お話の構図を(読者目線で)分かりやすく説明するか、(読者目線で)魅力的なキャラクターを登場させなくてはならない。
また作中に登場するいくつかのハプニング。それは、常に主人公(読者が身を重ねている分身)のことを決定的に危機に陥れなければならないのです。でなければ続きを読もうとは思わない。微温的な出来事は、それ単体では良いとしても出すタイミングを考えなければならない。出すタイミングが良ければ、それが次のハプニングの弾みになったり、軽い状況説明になったりもする。しかし出すタイミングを間違えれば完全に無駄なシーンです。そういうのは出すより全くの没にしてしまった方がいい。その辺の感覚がうとい作家だなという感じでした。頑張って。
家庭事情で大阪から母紀子の故郷群馬へ引越す春海。嘗て昭和の温泉街の賑やかな声や足音が耳の奥で再現される。心地いい音だ。一方、今やDXに時間と消費が分散され、各地の観光地が廃れていく事も危惧してしまう。そんな中、メガバンクがリゾートセンター計画を推し進め…さて??旧き良き佇まいがカネを動かす道具に晒されるのはどうなのか?信用金庫の地域密着型サポートに一筋の光。読後、【吉本新喜劇】で面白おかしく、金融庁長官のメガバンク御白洲裁きと最後の勇之介と勇太の涙ホロリの場面が目に浮かんだ。是非、吉本新喜劇で見てみたい!
いくらお祭りでも、高校生から「蕎麦、食べていけ!」と命令口調で言われるのは嫌だなぁ。「蕎麦、食べてって!」のほうが可愛いと思う。
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