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378年 失われた古代帝国の秩序 (歴史の転換期)

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igunatu01
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本書は旧帝国が打ち立てた「普遍」を支えるものが武力しか残らずそれが崩れ去った時、新たに統治を担うこととなった者達は旧帝国の「残骸」をどのように活用していったかが描かれている、とまとめられると思うが、その「残骸」には旧支配者、被支配者の相互に影響を与え合った刻印(本書でいえば法、または宗教等)が刻まれ、そこから浮かび上がってくる「普遍」は旧来の「普遍」とは大きな変化がみられるものだったということができるという雑感を抱いた。
0255文字
tsuki2b
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歴史の転換期第2巻。ローマ帝国と漢・西晋が滅亡し、古代から中世への移行期とされてきたこの時代。378年アドリアノープルの戦い、383年淝水の戦いを転換点とする。帝国の秩序がどのように失われ、新しい時代へと変容していったかは興味深い。人名国名が入り乱れる。
0255文字
T.J.
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ローマと漢帝国以後の東西世界がどのように展開していったのかを、5章だてで概観。ローマに対するゲルマン族を異民族として扱う固定観念が広く浸透していたこと、そうした観念と実情とには往々にして齟齬があったことは、中国の華夷観念とも相通じるところがあると感じられた。
0255文字
ピオリーヌ
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やはりこのシリーズは良い。ローマ、中国史が好きな方どちらにもお薦め。第四章では苻堅を主として五胡十六国時代の中国の多元化が語られ、第五章では江南の開発が取り上げられる。南川高志「ローマ的世界秩序の崩壊」を読む。378年のアドリアノープルの戦いの影響は大きく、30年後、ローマが打ち立てていた世界秩序の破壊へと繋がったとする。また「最後のローマ人」とも呼ばれるアエティウスへの評価に異議を唱え、アエティウスはローマ帝国における内なる「他者」だったとする。このアエティウスの解釈は新鮮。良い物読んだ。流石南川先生。
ピオリーヌ

第三章で『ローマ皇帝群像』からハドリアヌス帝やセプティミウス=セウェルス帝のエピソードが引かれており嬉しい。また同章について。ローマ的水道建設のあり方として、最近読んだ鯖田豊之氏の言葉が引かれている。「どんなに距離が遠くとも、良質水源を探して直接流下で導水する」最後のまとめも腑に落ちた。「水道に代表されるように、あらゆるものがコンスタンティノープルの犠牲となり、すべてのがこの都市に収斂されるように形作られた世界のあり方こそ、ビザンツ的世界秩序なのであった。」

02/23 15:27
ピオリーヌ

赫連勃勃が築いた統万城の遺跡写真もある。行ってみたい。

02/23 15:27
0255文字
さとうしん
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ローマ的秩序がなお保たれているようでいて、気がつけばゲルマン的秩序、あるいはビザンツ的秩序に置き換わっている東西ローマと重なり合うようで重なり合わない漢帝国以後の中国。前巻と合わせて、中国史の古代・中世をヨーロッパのそれと歩調を合わせようとした宮崎市定の発想がどの程度妥当なのかを読者に探らせるような内容となっている。
さとうしん

北魏が拓跋姓から元姓に改める一方で、もともと劉姓だった赫連勃勃が匈奴語に由来する赫連姓に改めたり、慕容姓だった高雲が高句麗に由来する高姓に改めたという記述を見てると、楊堅がもともと普六茹姓で李淵が大野姓だったというのも、徳川家康が源氏を称したという程度のもので、取り立てて騒ぐほどの意味はないかもしれない。

03/13 22:36
さとうしん

あとは西ヨーロッパにおいて聖書が「君主鑑」として読まれたとか、コンスタンティノープルが実質的に帝国の首都となったのはテオドシウス朝の時代という話が面白かった。歴史に教訓を求めるという方向は古今東西を問わずあるもんなんだなと。

03/13 22:37
0255文字
サアベドラ
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東洋史と西洋史の両側から世界史を眺めるシリーズの第2巻。第1巻でユーラシアの両端に登場したローマ人と漢人の帝国が、中央ユーラシアの寒冷化を引き金とする動乱の中で瓦解し、変質していく過程を描く。異民族が流入したことで帝国が崩壊したのではなく、これまで内部に取り込んできた異民族を「他者」として意識し、排除するようになったことで、世界帝国の地位から転落していく。古代文明の威光は物質的にも精神的にも失われ、危機の中で生まれた普遍宗教が人々の新たな拠り所になっていく。中世はもう目の前。前巻より面白かった。
0255文字
naoto
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歴史の転換期として、11の時代を1冊ずつじっくり見ていくシリーズ…かな?西のローマ帝国に、東の漢帝国が分裂する時代のお話。勉強不足な部分が多いのでとりあえず通し読みしたって感じだけど、類書を読んでしっかりこの時代を把握したいな。
0255文字
ta_chanko
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「国を統合する理念より排他的思潮が強まるとき」とは、まさに現代?共時性・関連性に着目。その背景には何が?
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MUNEKAZ
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ローマ帝国の分裂に中国の南北朝と、前巻で描かれた両古代帝国の崩壊を扱った一冊。広大な領土を支配した「帝国」故に多くの民族を内包し、それが帝国の強さにもつながっていたのだが、アドリアノープルの戦いや淝水の戦いなどの負け戦でその強さ、威信に揺らぎが生ずると、隠された軋轢や矛盾が噴き出す様は興味深い。ある意味で「多様性」とは、国家の強さに担保されているのかもしれない。またフランク王国にビザンツ帝国、のちの隋唐帝国など、崩壊の中から新たな秩序が立ち現れる姿も、述べられている。
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