形式:新書
出版社:岩波書店
形式:Kindle版
230pにて紹介されていた「鎮魂歌」とても胸にくるものがあった。詩のほうも自分は初心者だけれど、原民喜さんの作品に触れていこうと思う 人生の楽しみが増えて嬉しい。
晩年の遠藤と祐子さんとの関係、良かったですね。後に梯さんが祐子さんに話を聞けたのも驚きでした。彼の死を肯定しますと答えられたのも何となく分かる気がしました。
ポテンヒットさん、選書が👍でした! ありがとうございます。祐子さんの話を聞いてみようと思った梯さん、私も驚き感動しました。そうなんですよね、肯定しますとの返答は一緒にいた時間が少なくても、三人が心の深いところで解りあっていたのを感じました。
原民喜は気になりつつも未読だったのですが、梯さんの本があると知って手に取りました。結果的に人となりを先に知って良かったかなと思いました。「夏の花」などの作品も読みたくなりました。8月はちょうど良い時期ですね。
「夏の花」は心に沁みる作品でした。8月になると梯さんの作品を読みたくなるようで、昨年は「サガレン...」2年前は「散るぞ悲しき」を読みましたが季節が導くのかもしれませんね。
昔の文学者の命を削るようにして書く様を知る時は、脳の表面に力が入る。
→原氏が死んだ妻を思って作った散文「かけかへのないもの」は哀しみが深くて純粋だ。最後に紹介されている「永遠のみどり」は、暖かな希望を信じたい気持ちにさせられた。この夏は、夏の花を四半世紀ぶりに読み返したい。
書き出しが原の電車への飛び込み自殺から始まっていてインパクトが大きい。そして、自分にとって大きな存在であった父の死、姉の死と語ることで、死に対して大きな恐れを抱くきっかけとなった少年時代が述べられる。「愛」の章では最愛の妻、貞恵について主に書かれている。しかし、民喜にとって幸福絶頂であったと思われる結婚生活も貞恵の死により、わずかな期間で終わってしまい、彼を待ち受けていたものが「孤独」であり、被爆体験になる。
本書を読んだことで、原民喜という作家にかなり興味が湧き、『夏の草』はもちろん読んでみたいし、広島の平和公園や原爆資料館をもう一度丁寧に見学したいと思った。
発刊記念のイベントで、著者の友人でもある三浦しをんさんをゲストに招いてのトークショーが神田で開催された。三浦さんも原民喜のファンだそうな。結構な細かいことまで存じ上げていて、さすがだぜ、と思った。ちょっと意地悪な質問をしてみた。文学一辺倒でなくて、『夏の花』が話題になって以降、生活のために文を売るという打算的なところはなかったのか、みたいな。当時は原民喜レベルの原稿料ではやっぱりダメだったみたいですね。生活の困窮、原爆の後遺症、最愛の妻に先立たれる…否定することはできないわ。
入門書としてはとてもいい本なので、ここから興味を持って行く人が増えるのは純粋に嬉しい。若いうちに出逢った方がいい作家の一人だし。ただその反面、ある程度の心構えをしておかないと引っ張られる。太宰のデカダンもいい。芥川の不安もいい。けれど最も刹那的で悲哀のある畳み方をした人として彼の他に知らない。流麗な晩年の作品群。悲しみを同衾することなんかできないわ。なのに涙が出てくる。圧倒的な美しさ。危ない。
◆著者の描き方も好ましい。反戦・反原爆的思想によっていたずらに人や作品を称揚したりせず、また人格や行動の奇矯さ、社会への非適応ぶりをあげつらったりすることもない。原民喜の穏やかさ、不器用さに寄り添った記述になっているように思う。また、こうした時代・思想を象徴する作家の評伝について回る、新解釈・新事実のアピールや、過度に論争的な態度といったものとも無縁であるのも読みやすさの一助か。
◆「夏の花」はともかく、その他の諸編をつくづく読み飛ばしていたと反省。本書で描かれたような作者の個性と背景、そして「死と愛と孤独」への間合いがわかれば、「病妻もの」「原爆文学」といったレッテルを一旦離れて、味わいながら読むことができそう(ただし「鎮魂歌」は次読んでも辛いだろうと思う)。
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