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原民喜 死と愛と孤独の肖像 (岩波新書)

感想・レビュー
144

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魔魔男爵
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ネタバレ『羊と鋼の森』で本屋大賞受賞した宮下奈都が好きな作家ぽいので気になって読んだ。三田文学の合評会で柴田錬三郎が他人を酷評してる時、窓から木を見て、他人の争いに参加しない内向的なナイスな女々しい男で魅力的だが、広島の被曝者なので、1951年にPTSDのフラッシュバックに耐えられず鉄道自裁して残念でした。慶應の同じクラスに山本健吉がおり、指導教授は西脇順三郎。後輩の遠藤周作がイエス・キリストのような人と原を慕っており、内向的で無口で挨拶さえ出来ない生活能力のない青白い文学青年原の46年の生涯を見事に描いた評伝
0255文字
Oki
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キリスト教徒の遠藤周作はこの自死をどうとらえていたのだろう。 「沈黙」と何か関係があるのだろうか?
0255文字
白井
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★★★★★/ あまりにも繊細で神経質で、これほどまで生きにくさを抱えた人を見たことがない。『しかし貴方の死はなんてきれいなんだ。貴方の生はなんてきれいなんだ。』『あなたは死によって生きていた類まれなる作家でした』……この本に、この人物たちに出会えてよかった。良いことばかりではない、この世の中を生きる人に 寂しくも寄り添ってくれる本と思いました。
白井

230pにて紹介されていた「鎮魂歌」とても胸にくるものがあった。詩のほうも自分は初心者だけれど、原民喜さんの作品に触れていこうと思う 人生の楽しみが増えて嬉しい。

01/14 00:14
0255文字
ねこ
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ネタバレ『夏の花』で知られる作家・詩人、原民喜の人となりを描いている一冊です。原民喜のこども時代のことから、丁寧に描かれているので、より人間像にせまることができているとおもいます。最愛の妻とのわかれ、被爆した当時のこと、戦後のこと、遺書などが、くわしく綴られていて、興味深くよむことができました。読み終えて、タイトルの意味がよくわかりました。
0255文字
ホースケ
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繊細すぎるが故に、死へ誘われるかのような人生を送った原民喜。掲載されている作品を読むと、彼だからこそ表現出来たと思われる、優しさや哀しみの言葉が心静かに染み渡っていく。それは著者の言う「透明度の高い湖のような深さがある。」ということなのだろう。相次ぐ肉親の死や最愛の妻の死、そして被爆。そのような境遇におかれた者の見つめる先には、ひとつの結論しかなかったのかもしれないが、ふと、現代ならば、生きることにもっと貪欲になっただろうか。そんな思いが何度もよぎった。「夏の花」原の生涯を重ね合わせながら読んでいきたい。
0255文字
ダダダンダ
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去年の夏、新潮文庫の『夏の花・心願の国』という原民喜の作品集を読んだので。特別カバーの岩波新書。内容は、彼自身が残した言葉から“死”と“愛”と“孤独”という観点で、原の生涯について書かれている。読みやすい文章で、幼少期から死と共にあった彼が自死するまでを追った重い内容でありながら、サクッと読めた。読んでいて苦しくなるくらい、繊細で鋭敏な神経の持ち主だということが文章から伝わってくるんだけど、『死んだ人たちの嘆きのためだけに生きよ』と言っているように、原爆体験を書くために原は己を生かしていた。
0255文字
三宅伸弘
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大好きなお父さんと 大好きなお父さんとお姉さんを早くに亡くして、死の側から世の中を眺めて心情風景のみを書き続けてきたのに、 原爆で多くの死に直面し、 見たまんまの事を書かざるをえないって 辛過ぎるし、 当たり前だけど、 死もいろんな死があるんだよなぁ って改めて思った。
0255文字
takao
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ふむ
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二戸・カルピンチョ
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小さな頃から不思議なのは、何故小説家は自死しなければならないのかと。死を含めてその生の纏まりであることは誰にも言えることだが、いつ来るかもわからないものを常に意識することは難しい。意識したくないから生きているのか。意識せずにいられない人の生きづらさ。決して死にたくて仕方ないという人ではないと思う。死にも生きた証があり、輝きを見ることができるのは、なんとなく知っている。小説を詩をかいて残してくれてありがとう。
0255文字
passerina17
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羊と鋼の森に原民喜の事が出てくる。 美しい文章を書く人らしい。 岩波書店のこちらを借りた。 人となりが見て取れるだろうと。 純粋な人。生きづらさ抱えた人 この人から発する文章は優しく美しい。 著者の梯久美子さんが引用する原爆を受けた時の原のメモが心をつらぬく。それを踏まえて夏の花を読みたいと思った。
0255文字
よしじ乃輔
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良書。原爆をテーマにした「夏の花」の著者。知っているのはそれだけでした。生きてゆくことがむずかしい程の内向的で無口。幼少時の肉親の死。世俗知の無いの人生を支え理解しあった妻の死。広島の原爆投下で見た死。死を見つめ、書き残すため生きた人生とその幕引き。自分から声高に主張しない小さな声は、悲しみに立ち止まる人の気持ちに寄り添うよう。著者がこうして今、著してくれた事で知ることのできた作家と作品でした。
0255文字
寺基千里
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あえて自殺の話題から始める事で、いかに原民喜という作家が死に取り憑かれながら、生を全うしたのかという事がクリアに見えてきた。そんな彼の死生観は思わずこちらのメンタルが引っ張られそうなくらい刺激が強い。それでも、彼の経歴を振り返る中で様々な死と原爆の惨状を直面したからこそ、こんな死生観が芽生えてしまうのにも納得した。 この手の本は、書き手なり作品の読み方が強く印象に残ってしまうから作品に触れる前に読むか迷うが、この死生観を知っているのと知らないとでは原民喜作品に対する見え方が変わるので、読んで正解だった。
0255文字
マリリン
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死も生も、なんてきれいなんだ。原の作品も生きざまも遠藤の一言に尽きる。原の作品を再読したくなる。桐山の時代に対する怒りの深淵がようやく掴めた。心酔し敬愛していたからこそ原の死を嘆き、時代に対する憤りを感じ、意志を継承したかったのではと思った。晩年の遠藤と祐子と三人の自然体な関係がとてもよい。幼少期から死を近しく感じた原。貞恵との幸せなひととき。あまりにも純粋で繊細な精神の中に宿した、もうひとつの強靭な意志は貞恵の魂が宿ったのだろうか。...死は僕を生長させた。愛は僕を持続させた。孤独は僕を僕にした。
ポテンヒット

晩年の遠藤と祐子さんとの関係、良かったですね。後に梯さんが祐子さんに話を聞けたのも驚きでした。彼の死を肯定しますと答えられたのも何となく分かる気がしました。

08/30 19:30
マリリン

ポテンヒットさん、選書が👍でした! ありがとうございます。祐子さんの話を聞いてみようと思った梯さん、私も驚き感動しました。そうなんですよね、肯定しますとの返答は一緒にいた時間が少なくても、三人が心の深いところで解りあっていたのを感じました。

08/31 10:42
0255文字
Rosa
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自ら選んだ最期 でも そこには眩しい光の優しい世界が見えます. 美しいものを遺して逝った人. 「・・・・・・肯定します」 数十年経って発せられた タイピストのお嬢さんUの言葉に 天国でもきっと救われているでしょうね.
0255文字
ポテンヒット
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幼子のような剥き出しの感受性のまま大人になった原。この世はさぞ生きづらかったろう。貞恵と出逢えたのは奇跡のようであり、人生の面白い所でもある。佐藤春夫と対面した話は、あまりにもナイーブ過ぎて笑ってしまうが、貞恵との仲睦まじい様子が窺える。対照的な遠藤周作と仲が良かったのも、お互いに通じる部分を本能的に嗅ぎ取ったのだと思う。終盤の雲雀の話からは涙なしに読めない。愛する者を亡くし、被爆し、孤独に耐え、すでに生ききったと感じたのか。冒頭にあった遠藤の言葉「貴方の死は何てきれいなんだ」を漸く理解したように思う。
ポテンヒット

原民喜は気になりつつも未読だったのですが、梯さんの本があると知って手に取りました。結果的に人となりを先に知って良かったかなと思いました。「夏の花」などの作品も読みたくなりました。8月はちょうど良い時期ですね。

07/30 21:17
マリリン

「夏の花」は心に沁みる作品でした。8月になると梯さんの作品を読みたくなるようで、昨年は「サガレン...」2年前は「散るぞ悲しき」を読みましたが季節が導くのかもしれませんね。

07/30 23:09
3件のコメントを全て見る
0255文字
GIOco
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友人のおすすめにて。夏の花も読んだことがなかったので、序章でびっくりしてしまう。なかなか人の世は生きにくそうな原氏の軌跡というのはとても興味深かった。貞恵さんとのエピソードはほのぼのしてしまう。遠藤周作と友人とのエピソードもよかった。資料が少なさそうだけど、著者の熱い書きぶりで面白く読めた。華燭は探して全文読んだけど、幸せの予感が満ち溢れていてよかった。引用されている戦時中の小品などさりげない日常の風景が書かれているのもよかったし、「夏の花」「美しき死の岸に」「ちいさな庭」も読んでみたい。
0255文字
二戸・カルピンチョ
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原民義に生まれついたそのぎこちなさは、病だったのでしょう。死に怯えながら、しかし近しい人の死は哀しみながらも、その魂を傍に感じながら生き続けた。そんな原が文学に出会え、妻に出会え、また仲間に出会えた事が嬉しい。そして広島での被爆、目にした全てが彼を突き動かした。彼の中にある死と、広島の無数に転がる死との隔たり。これを書く事が天命であると、「夏の花」を完成させた。彼の中で何度も反芻したであろう彼自身の死。怯えていたはずなのに、怯えていた通りに電車のレールに横たわるとはどういう事だったのか。読後の溜息が出る。
二戸・カルピンチョ

昔の文学者の命を削るようにして書く様を知る時は、脳の表面に力が入る。

02/10 21:06
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yumi..✽
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とても繊細な精神は、世界から押しつぶされそうになって、世間との関わりや生活で、どもったり身動きできなくて、ぎくしゃくしてしまうさま。慈しむ時間もあったけど、彼にとっては、戦争や、父や姉や妻の死などの試練の方がたくさんあった。その中でも、折れずに書き続けたことは、父や妻や姉、戦死した者との、魂や心の交信があったのだろうと思う。幻想を見る目と、現実を見る目が、独特のバランスで持ち合わせていてすごい。儚く美しい小説や詩を、また、読みたくなる。
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chiroleen
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遠藤周作さんのエッセイで知った原民喜さん。その人生をあらためて知ったことで、あらためて夏の花を読んでみたくなった。
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kashiha
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新書の棚にて、題名が気になって。原民喜氏がどのように生きたのかを、原氏の小説や詩、そして原氏に関わった様々な人たちの証言から考察しまとめた本。副題、死と愛と孤独は、生きている人間全てが知っているものだが、原氏のは独特で更に強烈だ。社会性がなく、なんだか不思議な人のように思う。原氏の代表作である「夏の花」を、私は高校生の授業にて初めて読んだ。教科書ではなく教師から配布されたプリント印刷だった。教師からの熱意が感じられ、その熱意を受け取らなければならない、と思った授業だったことは覚えてる。→
kashiha

→原氏が死んだ妻を思って作った散文「かけかへのないもの」は哀しみが深くて純粋だ。最後に紹介されている「永遠のみどり」は、暖かな希望を信じたい気持ちにさせられた。この夏は、夏の花を四半世紀ぶりに読み返したい。

06/28 22:08
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カエルの昼寝
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ネタバレ原民喜、2〜3年前に何かのきっかけで名前を知り、その直後に書店で本書を見つけ、即購入。即購入したものの長らく積んだままになっていたものである。広島大学に住んでいたので、それなり広島のことは知っているつもりであったが、原民喜を全く知らなかったことは不勉強の至りである。さて、本書であるが、原民喜という優れた文才の持ち主でありながら、現代でいうところの全くのコミュ障で不器用な人間を「死」「愛」「孤独」という面から書かれた評伝である。
カエルの昼寝

書き出しが原の電車への飛び込み自殺から始まっていてインパクトが大きい。そして、自分にとって大きな存在であった父の死、姉の死と語ることで、死に対して大きな恐れを抱くきっかけとなった少年時代が述べられる。「愛」の章では最愛の妻、貞恵について主に書かれている。しかし、民喜にとって幸福絶頂であったと思われる結婚生活も貞恵の死により、わずかな期間で終わってしまい、彼を待ち受けていたものが「孤独」であり、被爆体験になる。

04/04 07:51
カエルの昼寝

本書を読んだことで、原民喜という作家にかなり興味が湧き、『夏の草』はもちろん読んでみたいし、広島の平和公園や原爆資料館をもう一度丁寧に見学したいと思った。

04/04 07:51
0255文字
katashin86
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サブタイトル「死と愛と孤独」をたたえた原民喜の人生とその文学の案内。読み終えてすぐに「夏の花」を手に取ることになった。
0255文字
yumi..✽
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こんなに美しく「死と生」を大切にすることができるのかと、驚いた。生活能力もコミュニケーションも苦手で下手っぴの裏側に張り付いた、静謐で純粋で優しい、生活と言うよりは「命・魂」の営み。生前・死後の魂のことばを紡ぐわざは、生命の尊さも、失う悲しみも、目を背けずに経験し、感じ、思い、考え抜いた末だからこそのわざ。すべてのもの越えて、わたしたちの命と死の重みと、悲しみに寄り添ってくれるコトバは、原民喜の死後も読んで心を動かすことで、生き続ける。まだ、彼が紡いだ詩や小説の前に、丁寧にかかれた本書を読んで、よかった。
0255文字
─
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著者の澄み通るようなまっすぐで丁寧で誠実な文章が、原民喜の人生を語るためにぴったりの形式で、一度も引っかかることなく素直に心に浸透してきた。読みながら我慢できずに、原民喜全詩集(岩波文庫)、夏の花・心願の国(新潮文庫)を購入。概略を頭に入れた上で今日から少しずつ大事に読もうと思う。遠藤周作の影法師をふらっと入った古本屋で見つけ、「原民喜」の短編を読めたのは僥倖だったし、あれ以上にない完璧なタイミングだったと思う。私は原民喜、あなたの文章に触れるためだけに生まれてきたのだと思うほどには。
0255文字
くり坊
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巻末の原民喜略年譜に「『原民喜全詩集』(岩波文庫)に付された年譜(竹原陽子編)」とあり、著者もあとがきにて原民喜研究者として竹原陽子氏の名前を挙げています。どうやら、この本の出来栄え、影の立役者は、先達があったからこその1冊であるようです。次は岩波文庫で『原民喜全詩集』 https://www.iwanami.co.jp/book/b248819.html を読みたいと思います。
0255文字
しほ
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★★★★★
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かさお
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『夏の花』を書いた被爆作家『原民喜』幼い頃から神経が過敏で『死』『人』を恐れ、人前で口を開く事もまともに出来ない。良き理解者の妻に先立たれ広島で被爆。そこで彼の内なる世界は『生』と『死』が反転する。常に死と寄添っていた自分が何故生き残ったのか。この地獄を書き残さねばならない。愛する者のいる死の世界は優しい筈だったのに。戦後の飢えと貧しさの中での作家活動。それは、草の代わりに針がびっしりと敷かれた針の野を裸足で血を流しながら歩く様なもの。その心情を思うと珍しく涙腺が緩んだ。これをふまえて『夏の花』を読もう。
0255文字
なる
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原民喜の作品自体を語るのは、まだ自分の表現力ではためらいがある。なので研究本の感想を。被曝作家として『夏の花』が採り上げられる前の、幼少期からのことが詳細に調べられており貴重。著者の深い愛が伝わってくる。繊細で、二枚目で、細身で、人付き合いが極端に苦手で、デカダンで、陰鬱で、至上の名作『心願の國』を置き土産に自裁する、という非の打ち所がない人生。こう在りたいよ。だいぶ歳の離れた遠藤周作との仲の良さも意外なところで興味深い。
なる

発刊記念のイベントで、著者の友人でもある三浦しをんさんをゲストに招いてのトークショーが神田で開催された。三浦さんも原民喜のファンだそうな。結構な細かいことまで存じ上げていて、さすがだぜ、と思った。ちょっと意地悪な質問をしてみた。文学一辺倒でなくて、『夏の花』が話題になって以降、生活のために文を売るという打算的なところはなかったのか、みたいな。当時は原民喜レベルの原稿料ではやっぱりダメだったみたいですね。生活の困窮、原爆の後遺症、最愛の妻に先立たれる…否定することはできないわ。

06/26 00:54
なる

入門書としてはとてもいい本なので、ここから興味を持って行く人が増えるのは純粋に嬉しい。若いうちに出逢った方がいい作家の一人だし。ただその反面、ある程度の心構えをしておかないと引っ張られる。太宰のデカダンもいい。芥川の不安もいい。けれど最も刹那的で悲哀のある畳み方をした人として彼の他に知らない。流麗な晩年の作品群。悲しみを同衾することなんかできないわ。なのに涙が出てくる。圧倒的な美しさ。危ない。

06/26 01:03
0255文字
モリータ
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◆2018年刊。原民喜の生涯を「死と愛と孤独」の三部構成で描く評伝。◆幸福な家庭に生まれながら、愛する父・姉と死別し心に破傷を得た幼少期。慶應予科に進学し、生涯に渡る文学の友、貞恵夫人との幸福な結婚生活を得た青年期。そして夫人の死別と広島での被爆、再び上京し、書くべきものを書き、静かな自死に至るまで。◆俗世間での暮らし(というか日常のやりとり)もままならぬ性格なのに夫人や文学の友に好かれ、支えられたのは、真摯さと確かな観察眼、筆力が備わっていたからか。遺書の原本に見られる穏やかな筆跡からもそう伺われる。
モリータ

◆著者の描き方も好ましい。反戦・反原爆的思想によっていたずらに人や作品を称揚したりせず、また人格や行動の奇矯さ、社会への非適応ぶりをあげつらったりすることもない。原民喜の穏やかさ、不器用さに寄り添った記述になっているように思う。また、こうした時代・思想を象徴する作家の評伝について回る、新解釈・新事実のアピールや、過度に論争的な態度といったものとも無縁であるのも読みやすさの一助か。

06/04 20:09
モリータ

◆「夏の花」はともかく、その他の諸編をつくづく読み飛ばしていたと反省。本書で描かれたような作者の個性と背景、そして「死と愛と孤独」への間合いがわかれば、「病妻もの」「原爆文学」といったレッテルを一旦離れて、味わいながら読むことができそう(ただし「鎮魂歌」は次読んでも辛いだろうと思う)。

06/04 20:14
0255文字
Akira Suzuki
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正直に言おう。この原民喜という作家・詩人を自分は寡聞にして知らなかった。「狂う人」の梯久美子氏が書いたもの、ということ、岩波新書には珍しい特別カバーのついた装丁だったこと、でたまたま手にした。この作家の自殺の様子が描かれる冒頭から一気に引き込まれた。そして原爆文学の代表作「夏の花」を世に出し、ガリバー旅行記の翻訳もしていたことを知り、自分の無知を恥じることになった。時の流れに埋もれそうになっている原民喜を新しい観点から再評価する本書は優れた伝記と言えよう。
0255文字
はるたろうQQ
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評伝というより原民喜の小説案内として有用な本。夏の花や詩は読んだことがあるが、全集が読みたくなる。自死を扱った序章と第三章、特に戦後東京に出てきて自死するまでの所が生彩に富んでいる。「永遠のみどり」は遠藤周作と祖田祐子との不思議な関係が鮮やかに描かれている。一方で父や妻貞恵が彼にとって重要な人物だったことは分かるが、彼らとの関係が今一つ明確にならない。原自身の小説以外に資料がないという限界かもしれない。コミュニケーション能力がない彼が左翼運動へ参加した理由も分からない。評伝を書くには難しい人物なのだろう。
0255文字
YUKI
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雲雀になって透明のなかに飛んで行ったあなたが、いまどこかで微笑むことができていますように。「僕は堪へよ。静けさに堪へよ。幻に堪へよ。生の深みに堪へよ。堪へて堪へて堪へてゆくことに堪へよ。一つの嘆きに堪へよ。無数の嘆きに堪へよ。嘆きよ、嘆きよ、僕をつらぬけ。還るところを失つた僕をつらぬけ。突き離された世界の僕をつらぬけ。明日、太陽は再びのぼり花々は地に咲きあふれ、明日、小鳥たちは晴れやかに囀るだらう。地よ、地よ、つねに美しく感動に満ちあふれよ。明日、僕は感動をもつてそこを通りすぎるだらう。」
0255文字
沙 月
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原民喜の生い立ちから死までを理解させる見事な構成で、原民喜の作品群を咀嚼する上では必読。 原は非常に寡黙な人間だったとある(その寡黙っぷりは本書を読んで確かめてほしい)が、それは自分自身や、自己の内に生きている他者(死者)との対話を重ね、思考やイメージを純化させて作品に昇華させていた結果である。彼がまるで世界から自分を切り離さんとするかのごとく生き、それでいて人に世に愛情を持っていたところに、寂しさと共に不思議な温かさを感じた。 遠藤周作にとって原民喜が心から慕い信じた先輩だったことは意外な発見であった。
0255文字
nchtakayama
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さりげなく、丁寧に、友人らにお別れをして、最期に一杯呑んでから、吉祥寺と西荻窪のあいだ、線路に横たわり…序章から、なんだ涙が止まらない。大学時代の左翼運動。人前では上手く喋れないし動けない、世渡りがそんなに下手なあなたがどうして。悔いも恥もあったろう。遠藤周作がキリストの教えひっくり返してでもきれいだと言った原民喜の死に方を、私も美しいと思う。死も生も、同じこと。遠藤周作はじめ、原民喜の周りの人たちのやさしさも、深く美しい。そして何より、あなたの詩が!天にも昇る気もちだ!
0255文字
わいほす(noririn_papa)
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先日、原民喜の全集を読んだのは、この本を読む前に、まっさらな状態で小説を味わいたかったから。そして今、この豊穣な評伝により、また深く原民喜の世界に惹きつけられている。それは大江健三郎が「若い読者がめぐりあうべき、現代日本文学の、もっとも美しい散文家」と評する原の文章の美しさでもあり、遠藤周作が心惹かれその思いを引き継いだという人物への興味でもある。遠藤が「イエスの生涯」での無力なイエスのモデルに原を重ねていたとすれば、イエスの祈りと父なる神は、原にとっては美しい言葉と心に棲む亡き愛妻なのかもしれない。
0255文字
p31xxx
新着
‪原民喜は被曝後の極貧、生活力もなく体重はBMIの基準の半分ほどしかなかった。ガラスの窓に割れやしないかと怯え、健康な人々の笑い声にも阿鼻叫喚の被災地がフラッシュバックする。その中で美しいものを見つめようと言う強さは、‬あまり類を見ない種の強さだ。道端でこの人とすれ違ってもその強さに気づかない。作品そのものにも、大江健三郎が文庫の解説で「磁力」と呼んだ悲惨な体験へ引き寄せられる力と同じくらいの(逆向きの)力を働かせていて、著者の表現の抑揚は注意深く抑えられている。
0255文字
kayoyo
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とにかく壮絶で短い人生。こうしか生きられなかったのだなぁと思うほど、純粋なこころが見えるような気がします。
0255文字
ふろんた2.0
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★★★★
0255文字
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原民喜 死と愛と孤独の肖像 (岩波新書)評価85感想・レビュー144