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「他者」の起源 ノーベル賞作家のハーバード連続講演録 (集英社新書)

感想・レビュー
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みぃちゃん
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自己を認識するためには他者がどうしても必要になるから、延々に他者を創造してしまうのが人間なのかな。「人種とは考えかたであり事実ではない」。白人が白人であるために、黒人の存在は必要不可欠。 黒人はアメリカにしか存在しないっていうのが目から鱗で、確かにと思った。肌の色が黒だと一口に言っても、実際には黒にもグラデーションがあって、色々な背景とそれに根差した葛藤があることを知った。
0255文字
mawaji
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小林エリカ「彼女たちの戦争 」の「ブラック・イズ・ビューティフル…」の資料の中から手に取りました。著者が論考する他者化のからくりはちょっと難しいかったので訳者解説がかなり理解の手助けになりました。黒人は最初からアメリカ建設に従事していたのに支配者層だけがアメリカ人であり、他のものは非アメリカ人と認識されているのは確かにおかしい話です。必ずしも一枚岩ではないアメリカの黒人社会という記述を読んで有吉佐和子「非色」を思い出しました。人種という構造物がいかに移ろいやすく、絶望的なまでに無意味であることを知るべき。
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にたいも
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トニ・モリソン(1993年ノーベル文学賞受賞)による、2016年のハーヴァード大学での連続講演を基にした1冊。『ビラヴド』の基になった事実の新聞記事との出会い、幼少期に感じたアフリカへの複雑な感情、「カラー・フェティッシュ(肌の色への病的執着)」を題材にした『青い眼がほしい』と「人種消去」をした短編『レシタティフ』『ホーム』『神よ、あの子を守りたまえ』、トニ・モリソンがどのような背景をもって創作してきたかが彼女自身の言葉で伝わってくる。
にたいも

森元あんり先生の序文における〈アメリカの奴隷制度にはキリスト教も少なからず加担している〉ことへの解説、そして、荒このみ先生の訳者解説における〈なぜアフリカン・アメリカンと呼ぶのでしょうか。ただのアメリカンではいけないのでしょうか。〉という問いかけが心に残る。

03/03 10:23
0255文字
フクロウ
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「アメリカの黒人」が置かれた微妙な地位、細分化などを文学から読み取り分析する本。モリスンによれば、「白人」概念は「黒人」概念との分節で成り立っており、共依存の関係にある。被差別集団である「黒人」を、差別集団たる白人が必要としているのである。また「アメリカの黒人(アフリカン・アメリカン)」の起源はアフリカ(奴隷)ではあるが現在の具体的なアフリカ諸国に対してどこまで帰属意識があるかは微妙であり、他方でカリブ海出身の黒人たちとは同じ黒人であれまた違う集団なのである。
フクロウ

メルヴィル『白鯨』における「白」の意味は白眉。人種とアイデンティティの問題は、性とアイデンティティ同様、相当深く絡み合っている。

08/06 19:07
0255文字
潜水艦トロイメライ
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薄い割に難解で本の要約の授業に使う発表のパワポには不向き
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niki
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敗北感でいっぱいです。難しくて理解できなかった。 『青い眼がほしい』を読み本書を手にしたが、自分は何にもわかっていないのだと悲しくなる。これからも少しずつトニ・モリスンに挑もう。/白人の農園主たちは奴隷女と関係を持ち、奴隷を増やすことが奨励されたという指摘は衝撃だった。/いかにして人間は、非人種的な子宮から人種主義を育む子宮へ移動するのか。/愛はただ神聖であり、常に難しいもの。やさしいと思っていたら、あなたは愚かです。それが自然なことと考えていたら、あなたはまったく見えていない。
0255文字
晴天
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本書における「他者化」という概念には、アメリカにおける人種問題にとどまらない迫力がある。異質な他者を理解するためその一部分のみ捉えて認識して反芻するうちその認識は制御不能となり、また他者に対する自分たちこそ正統で普遍的な人間であるとして振る舞うのは、あらゆる場面で生じうることである。また、異質な存在は、まったくの他者だけではなく身内の中にも見いだされ、外敵よりも劣った、善導されなければならない不完全な人間として扱われるというのも、扱ったことも扱われたことも思い返される。心して読まないとインパクトが大きい。
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tyfk
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訳者(荒このみ)解説に『暗闇で戯れて』(未訳か?)の内容紹介があり、この夏読んだポー『アーサー・ゴードン・ピムの冒険』のモリスン読みが紹介されてて、「黒い歯」とか「雪のような完璧な白」とかおぼえてなくて、あわてて確認する。
tyfk

5章は『ビラヴド』からの引用が2箇所あり、たとえばエンディングの「それは申し送りするべき物語ではない」と訳されてて、そんなフレーズあったっけ? 確認したら、吉田迪子訳では「人から人へ伝える物語ではなかった。」となってて、だいぶ印象が変わるよなと。

11/29 20:53
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相沢ユウ
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この本で主張されていることはシンプルだと思う。「自己を崇高で唯一の存在たらしめるために「他者」が発明された」 そのことをアフリカンアメリカンというアメリカ内他者のプレゼンスを通して書かれている。しかし、核は掴んでるはずなのに、論じられていることが理解できない。とても不思議な体験だった。長ーい解説が付いているのは納得である。再読の必要があるだろう。 最終章「よそ者の故郷」は概ね分かる。それも『ぼくらの戦争なんだぜ』で出てきた「満州生まれの日本人作家」のことを思い出し、それに対照することができたからだ。
0255文字
あやほ
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「青い眼がほしい」しかまだ読めていないので、モリスンの講演のところは残念ながらピンとこない部分が多かったけど、少しずつ作品を読み進めて行きたい 翻訳者さんのあとがきがとても分かりやすかった 文学も分析すると、その時代を生きていた人の意識が見えてきて面白いと思った アメリカ建国の時からすでに黒人の存在が意識されていて、建国の中心となった人のそれを隠そうとする姿勢から今日の複雑な状況が生まれているのかなと思った モリスンの視点は鋭い、私もいろんな人の視点を受け入れつつ自分の視点も大事にしようと思った
0255文字
タキタカンセイ
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正義の味方としてナチスドイツを叩いたアメリカ自身も深刻な人種差別の国だった…ある程度わかっていた事だが、ここまでとは思わなかった。 ヨーロッパからの移民がアメリカ人=「白人」としてまとまるためには黒人奴隷という「他者」が必要だった、という著者の論旨には唸らざるを得ない。著者の小説も読まなければ、と思いました。
0255文字
まよ
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西加奈子が尊敬する作家というのとラジオ飛ぶ教室でも取り上げられていたこともあって、トニ・モリスンはずっと読んでみたかった。 人がどのようにして他者を作り出し、またその他者によって、無意識的にでも自己の存在価値や存在意義を高めていくのか。文学を紐解くことで、アメリカ文化とイデオロギーを解き明かすハーバードでの講演録が納められている。アメリカのこと、全く知らないんだと実感。文字では知っていた気になっていたけど、心に迫るものがあった。日本にとって良くも悪くも近い国だけど、人間が持つ闇の存在を改めて。
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こへこへ
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定期図書借読。文学を通し「他者」とはなにかを問い、アメリカ社会の理解を深めようとした本。論考の結論はアメリカ社会における「アフリカ」について知ることだと説く。よそ者への知的好奇心の正体。他者を所有し、支配し、管理させたがる。カラー・フェティッシュ。よそ者性の害悪。アフリカには無垢と腐敗、野蛮と純粋、不合理と分別が混在している。トランスグローバルで踏み込んでくる人びとの私たちを動揺させる圧力・圧迫。文化的武装。人類の共通性に抵抗させる。「肌の色は人間や個人の実体ではなく、政治上の実体」、黒人問題<<白人問題
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水をこぼす
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ネタバレ引用される著書はほんの触りですが、アメリカの暗部に深くもぐりこませてゆく文章の力に圧倒されこれがノーベル賞作家というものかと...自分が20年前に著作を読み(理解できていれば)映画や音楽ですらアメリカ文化全般の受容の仕方は全く違ったものになっていたと思う。「黒人はアメリカにしか存在しない」という人種主義的な観点も(日本では?)一般化しているとは思えず、ノーベル賞から30年もの隔たりに気が遠くなる。個の確立に「他者化」が必要なのであれば、その時生まれる妄想・支配・暴力をどう乗り越えればばよいのだろうか。
0255文字
mori009
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正直、頭にすんなり入ったのは訳者あとがきだった(本文は難解で、、)
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sutekibito
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本編は、文脈を捉えにくく、本編は難解。訳者による解説で、少しは理解できた。
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テツ
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アメリカの黒人作家として初のノーベル文学賞を受賞したトニ・モリスンによる講演録。人は他者と出会い関わることで自身と他者との差に気づく。多くの他者と交わることで彼ら彼女らの差に気づく。人と人とを比べたら違いが見出せるのはあたりまえのことだけれど、それがどのように狂った形で熟成されていったら南北戦争時代から今この瞬間まで尾を引くような差別意識に変化していくのか。大切なのは他国で起きた他人事だと思うことなく、自らの内側で無意識に発生している小さな差別意識について敏感になること。それが育つ前に自覚すること。
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ばんぶー
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正直にいいまして、私にはかなり難しい本でした。ただ、「人種」に生物学的な根拠があるかのように言うことが、おかしいとは日ごろから思っておりました。そしてアンクルトムにみられる「ロマンス化」ということも、非常に気色悪いことではありますが、よく理解できます。問題は、題名そのものですが「他者」の起源と、我が内なる差別とどうたたかうのか、今の情勢を考えると絶望的とも思えますが、そういう時代だからこそ、今多くの人に読んでほしい一冊だと思います。
0255文字
はま
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何度か読み直さないと、著者トニモリソンの深い示唆は私にはわからないだろう。ただ、米国建国を支えた奴隷制度の凄惨な実態、特にレイプによる奴隷生産、奴隷の母親が哀れに思う子を殺す場面は、激しく感情を揺さぶられた。また、その過酷な事実を知る、子孫の黒人アメリカ人の深層心理においては、現代に残る差別が続く限り煮えたぎる思いが消えることがないであろう。よそものへの恐怖が差別を産み、人権を奪い、それを隠蔽までしてしまう人間の闇の部分を直視し、私たちひとり一人がそうならないため、自分事化する努力がいるのであろう。
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ykshzk(虎猫図案房)
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アフリカ系アメリカ人として初のノーベル文学賞受賞作家による本。人は生まれながらに人種差別主義者なのではない、ならば一体どこでどうやって人を差別する人間になってゆくのか?を探る手がかりとなるはずの本なのだが、読み解く力が足りずに終わる。日本人である私としては「他者」の概念は、自己ではないものという意味でより抽象的なもの。一方、アメリカで「他者」と言えば、そこにはまず人種があり宗教があり、支配被支配の歴史に根付いた関係性があり。「他者」の解釈を「よそ者」と限定すると分かりやすいかもしれないが、それでも難しい。
ykshzk(虎猫図案房)

「黒人が居るのはアメリカだけである。アフリカには黒人はいない。彼らはガーナ人であり、ケニア人である。」「アメリカにおける黒人と白人は、お互いが自己を定位するために相手を必要とする意味で、ほとんど心理学的な『共依存』の関係にある。」など、何かに気づかされる箇所はあったものの。人がどうやって差別主義者になるのか、ということについてならば、今100分de名著でやっている「黒い皮膚・白い仮面」のほうが答えが見つけ出せそうだ。

02/09 15:50
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とよぽん
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高橋源一郎さんのラジオ番組「飛ぶ教室」で取り上げられた本。アフリカ系アメリカ人として初のノーベル文学賞を受けた作家・思想家。人間は「他者」と出会うことで初めて自己の何たるかを知り、そこから差別が生まれる、と。「私たちは人間という種なのだ。それだけのこと」とモリスンは人種という用語を規定する。鮮やかだ。人種がイデオロギーとして利用されることを「人種主義(レイシズム)」ととらえる。アメリカの歴史は黒人なしでは成り立たなかった。とても深くて鋭い考察。モリスンの小説『ビラヴド』を是非読みたい。
0255文字
NORIKUMA
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引き込まれてしまい、一気に読んだ。黒人差別の書籍。奴隷をモノとして扱い、暴力を与える白人も心にヤミを抱えている。そして、暴力を受ける黒人側も、自分の子供を自ら殺す母親のように、心に大きな傷を抱えている。非常に深い話。現在でもそれが繰り返されているように、人間が理性では解決できないものが根底にあるのだろう。古い奴隷制度の話に焦点が当てられているが、現在のこと、また未来はどうあるべきかということも書かれていれば良かったと思う。これからが知りたい。(図書)
0255文字
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
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浅田すぐるさん推薦本。まとめ:生まれ持ったものと後天的に獲得したものの重さの違い。図書館で借りたので帯はいま初めて見ました。他レビューにもありましたが私も自己と他者についての哲学的な記述と思ってましたが帯のとおり(主に)黒人差別について語られたもの。肌の黒さは同じであっても奴隷体験の有無で白人社会での扱いが変わる、いわば上級黒人的なものが生まれ、それがまた差別を強める。キリストはなぜ金髪白人なのか、欧州へのコンプレックスまみれのアメリカが作り出した自分たちより格下の存在。→
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン

→またしてもアメリカにやられてしまってるかとウンザリ。

11/27 16:50
0255文字
newneutralwater
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・タイトルから「他者」についての哲学的議論を期待したが、アメリカにおける黒人差別に焦点を当てた本だった。 ・アメリカの差別の歴史についてはよく知らなかったが、ここまで凄惨なものだったとは。「差別」一語でまとめて語ることの不可能性を思い知らされた。この本が「他者化」をキーワードに差別者の心理構造を一般的にを語りつつも、常に黒人差別の具体的文脈と絡めて説いているのは誠実で適切だと感じる。 ・過去の文学作品から「他者化」の視点を引き出しているが、それ自体は古典的な文学理論の応用という感じで目新しさはなかった。
0255文字
かふ
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トニ・モリスンも幼少時に曾祖母から白すぎる(異物が混入)と咎められて、それが人種差別について考える出発点になった。アフリカ・アメリカンの「ブラック」に対するロマンス化。それは奴隷としてのアフリカ起源に対する誇り「ブラック・イズ・ビューティフル」というスローガンもそうだが、そのことで差異化(他者化)してしまうのも人種というものに囚われて黒人を差別する白人至上主義者と同根である。アフリカの黒人は黒人といわない(ケニア人でありガーナ人)。そう(黒人を他者化)教え込まれてきた文化的素養があるのだった。
かふ

例えば『風と共に去りぬ』で奴隷の扱いが現代から見るとありえんとか言われても違和感を感じてしまう。フェミニズムの問題もそうなんだが。今読んでいる森鴎外『雁』なんて女性蔑視を描いた作品なので発禁にしろとは言えないと思うのだ。その問題を論じることは必要だ。トニ・モリスンのこのハーバード大学の講義は正直難解であるが、自作についての解説をしているので、それは参考になるのかと。第四章『「ブラックネス」の形状』では『パラダイス』を、第五章『「他者」を物語る』では『ビラウド』の自作解説。

10/05 05:42
かふ

ターハネシ・コーツの序文がわかりやすいかも。人種差別がアメリカで絶えず問題化されるが「人種というのは考え方であり事実ではない」。人種という特権を得るための利他主義であり、アメリカの黒人差別との闘争はその解除を求めてきた。ブラック・イズ・マターのスローガンもそこにある。

10/05 05:43
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0255文字
おさむ
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西加奈子さんお気に入りのトニ・モリスンのハーバード大での講演録。黒人女性初のノーベル文学賞作家が、黒人差別はいかに生まれたかを丁寧に検証する。自らの作品の表現法の狙いも紹介しており、ファンにはたまらないかも。過去の具体的な文献資料から浮かび上がるのは、アメリカの黒人は支配層の白人と社会によって「歴史的に創造されてきた」ということ。「よそ者を定義する事で自分自身を定義するのが人間。私たちは前例によって他者化を学ぶ」。BLM運動は日本人にはなかなか理解できない点もあるが、本著は確実に理解の一助になるだろう。
0255文字
コトノハ小舟
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アメリカ「黒人」問題の根は深い。アメリカにしか「黒人」はいないし、それはアメリカにしか「白人」がいないのとセットなのだ。このセットという所が肝である。レイス(人種)問題をテーマとしてきた著者はアメリカの主たる文学をひきあいにそれを描きだしてみせる。馴染みの「ハックルベリーフィンの冒険」も「トムソーヤの冒険」も。私達の眼に映る「他者」「よそ者」は誰なのか?自分の影、認識してはいないが既に知っている自分自身なのではあるまいか?それを拒絶したい時、私達は「他者」を所有し支配し管理したいとおもあのではあるまいか?
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アキ
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Black lives matterがアメリカ全土から全世界に拡がりを見せる中、トニ・モリスン氏のハーバード大学での連続講義を読み、人種差別についておぼろげながらアメリカでの経緯を知ることができた。「人は、差別主義者に生まれるのではなく、差別主義者になるのである。」という言葉は、差別主義者という言葉を何にでも置き換えることができると感じた。アメリカでは黒人をアフリカ出身、奴隷出身、肌の色合いなどで異なる立場を表わすことに戦慄を覚える。白人は黒人を意識して白人になるという文学作品を例に、著者が言うように⇒
アキ

⇒「よそ者」を定義することで自分自身のアイデンティティーを確立するのが我々だとしたら、日本人のアイデンティティーって何なんだろう?今後確実に増加する外国人労働者との関係性も考えるべきなのだろう。

09/01 08:02
0255文字
ドラゴン
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講演記録だが、なかなか難解。巻末の訳者解説がとても分かりやすい。200ページの本の中で50ページが解説に当てたれているのも納得。人種問題の複雑さと根強さ。ジャマイカ系とアフリカ系で更に差別があることも分かった。ブルースとレゲエの起源とその違いかな。
ドラゴン

本文の難解さは訳のせいでもあると思うけど、その分訳者が解説で頑張ってるのかもしれません。

08/15 22:10
0255文字
きいち
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自己を立ち上げるには、必ず必要となる他者。でもここでトニモリスンが問題視している「他者化」は、一対一で向き合う相手を意識しることではなく、その一人の個が取り込まれた帰属先をでっちあげること。ロマンス=物語として。モリスンじたいが、アメリカ文学で書かれてきたその他者化にあらがった創作をぶつけてきたのだということを知る。作品の外の文脈を参照しない作品はないのだから。大変そうだけど読みたいな、まずはビラブドから行こうか。◇人種の問題でなくとも、例えば我々なら男女で同じことをやっているに違いない。
0255文字
ひょん吉
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アメリカ文学を読んでいる人は、 より深く理解出来るのかも知れません。 他者化については、正直なとこ、なるほど!という腹落ちまでには至りませんでしたが、 アメリカを知るための一つのピースになる本ではあるかもしれません。 オバマが「アメリカの黒人(奴隷をルーツにもつ)」ではないことは、同じ黒人のようで決定的に違うことや、奥さんのミシェルが純粋なアメリカの黒人だったので、受け入れられた、という話は、なんとなく理解しやすかった。産まれながのレイシストはいない。いつ他者化するのか?難しいです。
0255文字
mirie0908
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大昔から繰り返される、他者を支配し搾取・抑圧する歴史。人間の基本構造にビルトインされてるが如く繰り返されるこの行動はなぜなのか。根元を辿って『精神現象学』なんかも昔読んだりしたのだが、この本もそういう方面のもっと直接的解説の本。
0255文字
マリリン
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人はなぜ「差別」をやめられないのか...に興味を持ち読んだ。差別の根底にあるのが「よそ者(他者)」への恐怖心の排除からだとしたら、身体に異物が入ると外に出そうとする反応と似ている。よそ者と親密になる...黙ったままお互いを知る、お互いを受け入れる...そうかもしれない。『アンクルトムの小屋』は子供の頃読んだが、内容は覚えていないものの再読してみたい。マーガレット・ガーナ―が自身の子を殺した心理には心が痛んだ。図書館本だが一読しただけでは深く理解できない多くの心理が絡んだ「色」の問題を感じた。
マリリン

ぺたらこさん、ありがとうございます! ビリー・ホリディバージョンも良いですね。この曲は時代背景がどんな形で浸み込んでいるか...と、感性でしょうかそれぞれ味わい深いです。

07/26 06:54
マリリン

プラチナムさん、きっかけはそうでも継続されてしまう事は問題ですね。いじめ然り、そこに無意識の怖い所があり、反射を意識し、思考する事で変えて行く事ができるような気がします。人間の業だけど、だからこそ変える事もできるのではと思います。

07/26 07:01
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0255文字
よっし~
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社会の分断やヘイト運動が世界で大きな問題となっている現代において、きわめてタイムリーな一冊といえる。『青い眼がほしい』の著者による、人の心が「よそ者」をつくりだす病理と実例を明快に語る。ことに、アメリカにおける人種問題はじつは「白人問題」だとし、過去の文学的巨匠らの作品を俎上に載せ「白人と奴隷の関係性の美化表現」による「ロマンス化(馴致)」を指弾している点は画期的といってよい。個人的には、本書で紹介されるプランテーションの主人による「日記」がきわめてグロテスクで、恐怖を覚えた。
0255文字
namoken
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講演録だからと安易な気持ちで手に取ってみたものの、軽い読み物ではなかった。参考文献に挙げられている他の書籍と合わせて読むべきもので、これ一冊でどうにかなる類の本ではなさそう。
0255文字
anarchy_in_oita
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「他者化」=「イメージの重層化・一人歩き」。アメリカ社会に根付く、病的なまでの「ホワイトネス」への渇望はなかなか日本人には納得しづらいと思う。というより演習で精読し、教授のアメリカ社会についての解説を聞いた現在でもなお、半信半疑の自分がいる。文学作品による差別の「ロマンス化」を指摘しながら、最終的に筆者は現実の他者を受け入れることに未来を見出している。概ね同意である。だけど、この筆者の私見がモリスン教あるいはモリスン主義としてイデオロギーに回収されないでほしい。(関係ないがアナキズムと親和性高そう)
anarchy_in_oita

追記:支配するサイテーな白人-支配されるかわいそうな黒人っていう構図を何度も反転可能性があるものだと示そうとしている点はかなり意義深いと思う。そのおかげである程度「他者」の起源という大仰なタイトルが回収されてる

07/11 04:20
0255文字
らぱん
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トニ・モリスンの2016年の講演録で演題は「帰属の文学」。直接にはアメリカにおける黒人差別問題の背景を説いており、今現在起きている警官によるジョージ・フロイド殺害事件をきっかけにして、再浮上しているブラック・ライヴズ・マターを理解する助けになった。一方で自分に響いてきたのは、差別の根底にある人間の意識で、自己の認識や群れたがる習性から発生する他者(異者)への恐怖や異物の排除と言うようなものだ。問題のある制度や法律の改善はもちろん必要だが、自分の不安や恐怖が産む劣等感や優越感などの間違いを認め改めたい。↓
らぱん

↑オバマ大統領のころに出てきて現在どんどん大きくなっている「ブラック・ライヴズ・マター」というのが、いま一つわからなかった。日本に育った日本人である自分は、つまり異なる文化背景を持ったものとして「アメリカの黒人」という意味が理解できていなかったことがわかった。また、差別する側と差別される側のそれぞれの帰属意識など、複数の視点から事象を多角的に見直すことの必要性と面白さを教えてもらった。主題は差別に留まってはいない。咀嚼すべきことは多くあり、考えていきたい。

07/03 21:54
0255文字
buchipanda3
新着
トニ・モリスンによる講演録。演題は「帰属の文学」で、アメリカの歴史や文学において黒人がどのような存在として意識されてきたかについての論考がとても見識の高い文章で述べられていた。「他者化」、つまり他者という定義によって、白人が自身の立場を認識し利己的な安堵をもたらすという歴史的事象が建国以来から繰り返され、またそれを文学によるロマンス化でその意味合いが社会に深く浸透していった。よそ者に対する恐れ、一元的な了見、そういった一面は現代でも色濃く残っているのだと思う。本作で頻出した著者の作品はぜひ読みたい。
0255文字
カオリ
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まさに、今読むべき本なのかも。とはいえ、半年ほど数ページめくっただけで放置していたのだけど。
0255文字
コニコ@共楽
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去年、トニ・モリスンの訃報を聞いた。アメリカにおいて黒人であり、女性である立場から力強い発言、そして作品を残された人だった。自由平等を掲げるアメリカにおいて人種やジェンダーがイデオロギーとして利用され、人々の意識に「他者」を生み、差別を起こしていると、考えさせられた。アフリカン・アメリカン等ハイフン付きの人種カテゴリーの中で、コケージャン・アメリカンはなく、そのカテゴリーが標準であるという事実が見逃しがちになる。文学を読む時に、もっとこういった人種やジェンダーの問題に目を向けることも大切だろう。
0255文字
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「他者」の起源 ノーベル賞作家のハーバード連続講演録 (集英社新書)評価64感想・レビュー64