形式:文庫
出版社:文藝春秋
形式:単行本
出版社:情報なし
「文学論はいやだよ」と断りを入れておきながら囲碁をするために著者を家に招いておきながら、最終的には文学談義に興ずる尾崎一雄。「批評を気にしちゃダメだ。ああいわれてこう直し、こういわれてああ直ししてちゃ、これが俺だという骨張ったものが出てこない。」自らの経験に即したリアルな言葉だったのだろう。
芥川賞候補に上がりながらも落選した著者を、普段めったにかけない電話で励ます藤枝静男。「落ちたが、あんなもの気にすることはない。きみのもののようなのを認めないのは、認めない方が悪いんだ。だからぼくが代りに賞をやるよ。いつか道具屋で見た大きな甕があったろう。あれを持って来させていまうちにあるから、いつか取りに来給え。電話をかけたのはそのことを言うためだ。じゃ、さよなら。」ーなんてかっこいい大人たちだろう。中野孝次自身の人柄もあるのだろうけれど、いい人に巡り合ったんだな、と思う。
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