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贅沢なる人生 (文春文庫 な 21-4)

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金吾
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題名からして3名に対するリスペクトを感じます。特に大岡昇平への気持ちは読むだけで羨ましくなるぐらい良かったです。
0255文字
なる
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評論家・作家として確固たる実績を残すに至った著者が、その過程で贅沢にも触れあうことができた三名、大岡昇平、尾崎一雄、藤枝静男についての生前の思い出を交えながらその文学性を分析する。いずれも著者が壮年になってから知己を得たので、感情的でない観察をしているけれど、まるでどれもが追悼文のような、優しくて愛の溢れた分析になっている。特に著者が若い頃から作品に触れていた大岡昇平へは、こちらまでもらい泣きしてしまいそうなくらいに穏やかなエピソードが挿入される。ちょうど恩師を亡くしたタイミングだから特に印象に残る。
なる

「文学論はいやだよ」と断りを入れておきながら囲碁をするために著者を家に招いておきながら、最終的には文学談義に興ずる尾崎一雄。「批評を気にしちゃダメだ。ああいわれてこう直し、こういわれてああ直ししてちゃ、これが俺だという骨張ったものが出てこない。」自らの経験に即したリアルな言葉だったのだろう。

05/20 01:05
なる

芥川賞候補に上がりながらも落選した著者を、普段めったにかけない電話で励ます藤枝静男。「落ちたが、あんなもの気にすることはない。きみのもののようなのを認めないのは、認めない方が悪いんだ。だからぼくが代りに賞をやるよ。いつか道具屋で見た大きな甕があったろう。あれを持って来させていまうちにあるから、いつか取りに来給え。電話をかけたのはそのことを言うためだ。じゃ、さよなら。」ーなんてかっこいい大人たちだろう。中野孝次自身の人柄もあるのだろうけれど、いい人に巡り合ったんだな、と思う。

05/20 01:11
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贅沢なる人生 (文春文庫 な 21-4)評価100感想・レビュー2