骨太の作品だが、経営・経済系を学ぶ学生さんにも専門分野を問わずに挑戦して読んで欲しい一冊。競争戦略論の分析的手法でマネジメントを学習するのは経営・経済の環境を一度「静止させて」俯瞰して考察して理解する視点を得る意味があるので悪くはなく、基礎的スキルとして必須と思われるが逆に教科書的過ぎる面があろう。数々の事例を研究し、科学的手法というよりも本質直観力で「核心」を洞察する野中氏の才能は正に経営学の根底を流れるArt of war(兵法)で、分析重視のままで雁字搦めになっている全ての組織や個人への警鐘だろう。