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白の闇 (河出文庫)(Kindle版)

感想・レビュー
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cucurucho
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かつてない壮絶な読書体験。突飛な設定で、人間の普遍的な行動原理をこれでもかというほど鋭利に、容赦なく描き切る。コロナ禍前に読んでいたならば、これほどリアルに、自分事として受け止められなかったであろう作品の1つ。人々が突然、次々と失明していく恐怖の中で、人間はどこまで利己的で残酷になれるのか、どこまで尊厳を保てるのか。これに比べれば我々の状況はずっとマシだと救われるような気持ちと、既に同じレールに乗っているのだという絶望感とが入り混じる。落ちてる時に読んだらダメ。登場人物の布陣も見事で喝采を送りたい一冊。
0255文字
こつ
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目が見えなくなったら人々はどうなるのか。社会の当初の混乱ぶりがコロナ禍とも重なります。白い闇の病が広がるにつれ隔離病棟が、そしてその先の外の世界が阿鼻叫喚の地獄と化していきます。もし本当に世界中の人々の目が見えなくなったら、こんな世になってしまうのでしょうか。今夜は悪い夢でもみそうです。
0255文字
genyaman
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パンデミックに関する小説と聞き手にしました。コロナ渦の初期に読んでいたら、さらに恐怖だったろうと思いました。登場人物が最初に紹介された呼び名のまま固有名詞としては登場せず、「」がないので会話なのか、誰の言葉なのか判別しにくい文体は、慣れれば意外と読みやすく、また手探りで暮らす登場人物への共感を効果的に高めていると思いました。極限状態で人間や社会がどうなってしまうかを突き詰めた圧倒的な想像力と、人間の真理を突いたグロテスクかつリアルな表現は、読んでいてつらい部分もありましたが、一気に読み切ってしまいました。
0255文字
きょん
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ありえないような病が蔓延していく様に引き込まれる。目を背けたくなるような光景、耐えられない臭い、屈辱、その全てが目の前で展開しているように詳細に描き出され、引き込まれる。わたしたちが見ている世界とは、何なんだろうか。
0255文字
西之助
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 年明けにNHKのEテレで放送の「100分deパンデミック論」でこの小説が取り上げられたおり、それを観て興味を持ちました。  パンデミックも含めて、今の世界の情勢がどんどん悪い方に向かって行けば、こういうディストピアになるかも知れないと思って怖くなりました。  人を指導する立場の人(特に政治を司る人)はこの小説を読んだ方が良いのでは、と思いました。  それにしても読みにくい。文章も難解なので1回だけでは理解できない部分が多いとは思いますが、再読しようとは思いません。
0255文字
syuppon
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0255文字
ふくみみ
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ネタバレ「100分de名著」で紹介されていてパンデミックの話として興味を持って読みました。感染症と気づかれるまでの人々の描写は「感染広がっちゃう〜」とハラハラしながら読めたけど、精神病院に隔離されて兵士も統率を取らず衛生状態や食糧も放ったらかしは自分にとっては無理ゲー過ぎて感情移入して読めなかった。一人だけ目が見える女性が、一般的には他の人の決めたことに従う生活をしてきたと思われる身の処し方から未知の状況でどう決断していくかの話なのかな。
0255文字
OHNO Hiroshi
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視力がなくなり、真っ暗ではなく、真っ白になる伝染病が発生し、次々感染し、隔離され、監督しているはずの兵士たちも視力を奪われる。その中でも、食糧や武器を持った者がいた。しかも、一人だけ視力を失わなかった者がいた。その展開が閉塞感と共に、ながーく続く。もうこれまで。ボロボロになりながら、グループは修羅場をなんとかくぐり抜ける。希望はあるのか。原因不明のまま。スッキリ爽快することはない。重苦しい世界。最後まで読んで、なあんだ、とは思ったが、それまでたくさん死んだ。
0255文字
ほんままこと
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ネタバレ人々が次々と失明して目の前が白く眩しい状態になる謎の伝染病が広がる世界を描いた小説。作者はポルトガルで初のノーベル文学賞受賞者となった。発病した者たちは強制的に施設に収容されるが、目の見えない者ばかりなので不潔や暴力がはびこっていく。その中にたった一人の目の見え女性が紛れ込んでいる。彼女はこの現状の中でどう進んだら良いのか。人間の悪があからさまになると同時に、自尊心や道徳、勇気とは何が問いかけられている。読んでいるとリアルな恐怖で衝撃を受け、思わず自分の血圧を測った。
0255文字
tokko
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感染者を隔離するのは感染症の拡大防止政策としては当たり前なのかもしれないが、その「暴力性」にはあまり焦点が当てられない。感染者の中にいる非感染者である医者の妻が、一体何と闘っているのか(政府?軍?配給の略奪者?)、分断や対立を克明に描き出すサラマーゴの筆力は素晴らしいです。「見えない」ことが感染するというテーマそのものも奥深い。医者の妻が見たものは、実は私たちが普段「見えない」ものなのかもしれない。ある意味で私たちも「感染者」の一人なのかもしれない。そんなことを考えながら読みました。
0255文字
ひでお
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パンデミック小説というよりパニック小説。人間が、未知の病で予期できない状況に置かれたとき、個人として社会としでどのような行動をとるか、を非常にリアルに描きます。原文と同様に、会話文の地の文がカッコ無しで続けられるので、最初は非常にとまどいますが、読んでいくと、それがむしろスピード感と感情の放出を肌で感じられる効果を生んでいるようでした。
0255文字
スズキアキ
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こわくてこわくて続きが気になってしょうがなくって、ハイペースで読み切りました。 いやー、本当にこわい・恐ろしい・とても興味深い小説でした。 サラマーゴの小説、もっと読みたい。地の文と(文字通り)地続きの「」のない会話、ページのほとんど全てが文字で埋め尽くされているずっしりとした重量感に反してするする読み続けられてしまう語り口、クセになる感じです。
0255文字
てっちゃん
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一見読み難そうな文章だが、読み始めると引き込まれてしまった。感染症の蔓延で原始社会になってしまった時、人間の理性とはどうあるべきか考えさせられる。コロナ禍の中でこそ読むべき作品だ。
0255文字
ミッキー・ダック
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視界が白一色になる伝染病が蔓延し、失明者は隔離施設に収容された。感染を恐れ施設の対応は劣悪。収容人数が増えるに従い、食糧の奪い合い、排泄物や死体等による環境悪化が生じ、食糧を独占し人々を支配する悪党が現れる。極限状態で人間の尊厳が失われおぞましい状況に。一人失明していない目医者の妻が、仲間や監視や悪党に気づかれないよう何とか人間らしさを取り戻すべく孤軍奮闘する。◆失明による行動の難しさや不安、感染大流行で崩壊する社会の脆さ、生きるために食べることの厳しさ、人々の助け合いの大切さを思い知らされる。
ミッキー・ダック

作者は色々な場面で色々な人物に、『人が生きていく上で不可欠な二つは、食糧と組織』『最悪なのは無秩序だ』『人が互いに敬意を払い、規律を守らない限り、秩序正しく出来るわけがない』と言わせ、飢えや汚穢のどん底でも必死に秩序と人間の尊厳を守ろうとする人々を描く。◆隔離施設で起こった事は、実は現実社会の縮図でもある。これほどの極限状態ではなくても、理性を失わせるような出来事、人間の尊厳を失わせるような悲劇は、よく見れば日常的に起きている。差別、侮辱、脅迫、虐待、略奪、貧困、戦争、、、コロナ禍での出来事にも。

02/09 17:56
ミッキー・ダック

◆訳者あとがきで、『人間が理性の使用法を見失ったとき、たがいに持つべき尊重の念を失ったとき、それはこの世界が実際に味わっている悲劇なのだ』という作者の言葉の引用。原題「見えないことの試み」によって、「見えない現実」を見せる実験。◆訳者が言うように『語りの地の部分と会話の間に「」などの記号がなく、段落も極端に少ない、読みにくいスタイル』だが、不思議と直ぐに慣れる。◆本書は1995年刊。作者はポルトガルの作家で、1998年ノーベル文学賞受賞。感染症絡みの「ペスト」「デカメロン」とならぶ世界的ベストセラー。

02/09 17:56
0255文字
fseigojp
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いわゆる感染症パニックものだが、1995年のポルトガルでの発表なので、1987年のEC加盟、1999年のマカオ返還などの国内事情が、どうからんでいるのか興味深い
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ととむ
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突然人類が失明していくパンデミックもの。 ストーリーテリングに淫することなく淡々と叙述されるストーリーがいい感じ。まあしかし実際問題人類は滅亡だわな。全員盲目になったら。白の闇ってとこが実に秀逸。ゴールディングの蠅の王との対比があったけどちょっと違うかなあ。ちといい話すぎかも。
0255文字
metro
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コロナ禍になって唯一よかったのが、カミュのペストなどと一緒にこの本が書店に並んだこと。ずっと読みたかったので助かりました。世界中の人々が全員失明したなか自分だけが目が見えたらどうするかと妄想がはかどる。
0255文字
原玉幸子
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ポルトガルに生を受けた1998年ノーベル文学賞受賞作家の1995年の作品は、次から次に突然皆の目が見えなくなりパニック状態に陥るディストピア世界で、不安を抱え緊張感を持ち乍ら読み進めることになります。人間の浅ましさと飢えと暴力と死、逆に、糞便の汚れの中で尊厳も何もない人間が、撫でる、触る、涙することを通じ、嫉妬、憐み、愛情、安らぎを覚えるとの、負と正の感情の錯綜、そして哲学的な問い。著者の「切り口」を読み解けずに(最後まで分からない!)困惑しつつも、人間の深い複雑な混濁を感じます。(◎2020年・秋)
0255文字
オールド・ボリシェビク
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初読の作家だが、異様な迫力で読ませた。段落が長く、引用符も用いないというスタイルなので、読みにくいこと極まりないのだが、それでも読ませるのだ。なぜ、失明が社会に伝染するのか、その説明は一切ない。しかし、崩壊する社会の果てに何が待つのか。示唆的である。
0255文字
窓猫
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セリフが地の文に織り込まれている。サラマーゴの独特の文章表記を反映したものだと思うが、訳文はとても読みやすかった。「視点人物」である女性以外は皆、目が見えなくなってしまい、非常に非人道的状況、不潔な環境になる。これは寓話なのでそうなのだろうが、近未来SFだったら、別の展開になったと思う。もともと目が見えない人たち――見えなくとも、生活やコミュニケーションができる人たちがリーダーシップをとるとか。この小説にも、もとからの盲人がひとり登場するが、否定的な描かれ方なのが残念。文庫版訳者あとがきがよかった。
0255文字
しょちっち
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感染症小説で紹介されていた ある日人々に病がはびこる 失明し目の前が白くなるという うつると知らずに医者や周りの人々が次々と失明してゆく 感染がみとめられると患者は一か所に集められ地獄に近い生活を余儀なくされる 気持ちが滅入っているときは読んではいけない ただ、収容所から出られたとき、そしてそこからまさに手探りで生きてゆくとき、教会でであう謎の目隠しなどその後にも興味深い展開が ノーベル賞作家さんだそうだ
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