形式:単行本
出版社:朝日新聞出版
形式:Kindle版
形式:文庫
久坂部さんの本はお医者さんならではのリアリティもあって、面白い本多いですよね。
karutarotonさん、リアルすぎていつも怖いです😨
患者とその家族、そして医者本人とのコミュニケーションの上で決定されるもの」というものだ。それがどの現場においても至高の医療というつもりはないが、作者および主人公はその哲学を終始変えないので、安定している。感情的になって患者に同情しすぎたり、あるいは問題行動を起こす患者にイラついたりしない。また威張ってうんちくを傾けることもない。この作者の態度は好ましかった。「仕事」という範囲をしばしば超えて、三杉は誠意をこめて患者と接するが、それによって同時に重荷を背負ってしまうこともある。しかしそれは真の誠意である。
看護師たちが認知症患者への愚痴大会を開いた時も、三杉は決して悪い言葉を口にしなかった。もちろん三杉にも、自らの責任を咎められる恐怖はあって、後半は過去の失敗をどう償うかというテーマに焦点があてられる。そこを乗り越える三杉の姿や、三杉を支える妻の姿勢は美しかった。また余談ではあるが、友人でかつての医者であり、今は小説家を目指している坂崎のクズっぷりはすごかった(笑)。最高のクソ詐欺師で、同時に出版社やジャーナリストへの嫌悪感も紙幅を費やして語られている。でも誇張という気がしないのが作者のすごいところだ。
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